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  • 2023/08/23 掲載

世界と日本で「太陽光発電」普及に大きな差があるワケ、存在する“理不尽なルール”

連載:「エネルギーの疑問にお答えします。」

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太陽光発電は世界的な空前のブームのただなかにあり、カーボンニュートラル実現の柱となっている。なぜこれほど太陽光発電が拡大できたのだろうか。また、世界的なブームの一方で日本では伸びに鈍化が見られるが、それはなぜだろうか。太陽光発電を取り巻く実態を最新データなどから明らかにする。
執筆:日本再生可能エネルギー総合研究所 代表 北村 和也

執筆:日本再生可能エネルギー総合研究所 代表 北村 和也

早稲田大学政治経済学部卒。ドイツ留学などを経て、日本における再生可能エネルギーの拡大、地域脱炭素の実現などに関する執筆、セミナー、また企業や自治体へのコンサルティングを行う。最近は、脱炭素先行地域選定のアドバイスや、地域経済循環や地域活性化との連動を主たるテーマとする。埼玉大学 社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授。

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図1:世界の再エネ電源の年間追加量【単位GW】(後ほど詳しく説明します)
(出典:IEA)

なぜ太陽光発電は大きく伸びているのか?

 2021年後半に始まったエネルギー費の高騰。昨年2月のロシアのウクライナ侵略開始で、欧州で一時期、天然ガスや石炭の化石燃料が10倍、生み出される電力価格が数倍になるまでの異常値を示した。

 その結果、ロシアに依存するエネルギー安全保障の観点、市民レベルでは生活防衛の立場から、再エネの拡大が喫緊のテーマとなった。特に家庭から産業まで広く影響をもたらす電力では、最も簡便で個人にもアクセス可能な太陽光発電に注目が集まり、2022年は特に大きな伸びを見せた。

 図1は、IEA(国際エネルギー機関)による新規の再エネ電源に関する統計データである。世界で2022年に新たに追加された再エネ発電の能力はおよそ340GWと過去最高で、前年比プラス13%を記録した。およそ3分の2が太陽光発電施設(オレンジ色)で、拡大分(Increase)のほとんども占めている。

 地域別では、ウクライナ危機の震源となった欧州と中国が合わせて全体の85%となっていて、アジアも含めた広い範囲で再エネ電源を求める動きが顕著になっている。

 この動きは、一時的なものではない。

 なぜなら太陽光発電は、脱炭素社会への転換の切り札としての役割が大きいからである。これまで再エネ電源といえば、世界ではまず風力であった。しかし、個人や家庭までの広がりなどを考えると、太陽光への主役交代はすでに動き出している。

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図2:世界の太陽光発電施設の累積導入量と予測【単位TW】
(出典:The Conversation)

 図2にあるように、太陽光発電の設備容量は、昨年1TW(GWの千倍)を突破し、今後(黄緑の棒グラフ)飛躍的に拡大するとされている。

 赤い横線は、他の電源の容量を示していて、すでに2017年に原子力発電を越え、今後、2025年には天然ガス火力、2026年には石炭火力を抜く勢いである。2031年には、天然ガスと石炭、原子力に水力発電を合計した容量を突破する予測となっている。

太陽光パネルの屋根上導入に火をつけた「コスト低下」

 今回の太陽光ブームで特徴的なのは、一般住居へのパネルの設置である。

 拡大が急な欧州各国でもはっきりと数字に表れている。IEAによると、伸長著しいオランダで8割以上、ドイツで3分の1、スペインで2割、スウェーデンでほとんどが住居の屋根上と、各国でGW単位の設置が進んでいる。

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図3:太陽光発電と化石燃料の発電コストの推移
(出典:IRENA)

 電気代の値上がりに苦しむ市民のモチベーションが第一であるが、背景には太陽光発電コストの低下がある。上図のように化石燃料との比較では、2021年に太陽光発電(オレンジ色)が天然ガス発電(黒)を逆転し、2022年には4分の1の安さまで価格差を広げている。

 すでに、天然ガスなど化石燃料の価格は大きく下がっているが、固定価格で緊急時にも使える電源として、さらなる定着は間違いない。 【次ページ】ブームには“ほど遠い”日本の太陽光発電の事情

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