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  • 2024/01/10 掲載

2024年問題で「物流ビジネス」大激変、NLJと日本GLPが進める「競合→協調」戦略とは

連載:「日本の物流現場から」

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物流はもはや競合領域ではなく、協調領域である──これは日野自動車の傘下に設立された物流会社、NEXT Logistics Japan(NLJ)のCEO、梅村 幸生氏の言葉である。人手不足の上に、「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスの存在。とてもではないが、この荒海を1社だけで乗り切れるわけもない。色々な意味で世間を騒がせている、ヤマト運輸から日本郵便に対するメール便・小型薄型荷物サービスの全量委託などは、その最たる例であろう。競合から協調へと移行する物流ビジネスの変化について、NLJと物流施設ディベロッパーである日本GLPの事例を見ながら解説しよう。

執筆:物流・ITライター 坂田 良平

執筆:物流・ITライター 坂田 良平

Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

photo
NLJが導入している全長25メートルの巨大な車両「ダブル連結トラック」。1人のドライバーで運べる輸送量は飛躍的に拡大できる
(筆者撮影)

日野自動車が物流会社を設立したワケ

 NEXT Logistics Japan(NLJ)は、日野自動車が設立した会社であり、CEOである梅村氏も日野自動車の出身である。特徴的なのが、中小運送会社や大手物流会社、荷主企業などあらゆる企業がNLJの理念に賛同し、参画していることにある。

 具体的には出資、株主となった企業が20社、NLJが推し進めるパートナーシップ制度「NLJ Plus+」に参画した企業が21社に及ぶ(下記に一覧)。

■株主
アサヒグループジャパン、江崎グリコ、ギオン、キユーソー流通システム、鴻池運輸、澁澤倉庫、鈴与、住友ゴム工業、摂津倉庫、千代田運輸、トランコム、ニチレイロジグループ本社、日清食品ホールディングス、日本梱包運輸倉庫、日本製紙物流、日野自動車、ブリヂストン、三菱HCキャピタル、三菱UFJ銀行、ユーネットランス

■NLJ Plus+
味の素、愛知陸運、花王、カバヤ食品、関空運輸、グリーンライントラスト、コーナン商事、サントリーホールディングス、大和製罐、富士フイルムロジスティックス、明治、森永乳業、山岡産輸、ドトールコーヒー、トヨタモビリティパーツ、リコー、アート梱包運輸、キムラユニティー、丸総、カネヨシ、DNPロジスティクス

 梅村氏は設立理由について、「世の中の物流を良くしたい」と語る。同氏は「トラックを『製造する』・『売る』」という立場から物流に長年関わってきたが、実際に運送を担う立場になってみると、モノの見え方がまるで変わったという。また「私どもは運送の素人ですから」と梅村氏は謙遜するが、それゆえに既存のしがらみや発想に縛られることなく、「どうしたらより良い物流を実現できるのか?」に邁進できているようだ。

ダブル連結トラックで輸送量は「なんと4倍」に?

 NLJが持つ凄みの1つに、積載率がある。国内におけるトラック輸送の積載効率(注)は、1990年代には60%近くあったものの、直近では38%にまで低下している。

注)厳密に言えば、積載率と積載効率は違う。積載率は、トラックが積んだ荷物の実重量を、そのトラックの最大積載量で割った値。積載効率は、トラックが実際に運んだ荷物のトンキロ値を、そのトラックの理論上の最大トンキロで割った値。NLJでは積載率でKPIを取っており、また本稿の内容を考慮すると積載率と積載効率の違いを熟慮するまでの誤差は出ないと判断し、積載率と積載効率を同一のものとして記述している。

「直近での(弊社ネットワークの)平均複合積載率は63%。2023年に入ってからの最大複合積載率は89%をマークしました。今後、株主および『NLJ Plus+』のメンバーと物流の効率化をさらに追求していくことで、平均値として複合積載率80%以上を目指すことが十分に可能だと考えています」(梅村氏)

画像
NEXT Logistics Japan CEO 梅村 幸生氏
(NLJ提供)

 同社では、ダブル連結トラック(冒頭の写真)を用いて共同配送事業を行っている。1人のドライバーで大型トラック2台相当の荷物を運べるのだから、輸送量は2倍になる。さらに積載率が2倍(38%から80%)にできれば、1人のドライバーが従来の4倍の荷物を運ぶことができる計算になる。

 さらに梅村氏の言葉で注目すべきは、「複合積載率」という聞き慣れないキーワードである。 【次ページ】複合積載率とは? NLJが重視するワケ

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