- 会員限定
- 2024/04/24 掲載
サントリーが「地産地消」を目指す切実理由、製造拠点も激変させる「大改革の中身」
2030年に輸送能力は「23%減少」
サントリーの国内主要事業である「飲料・食品事業」「スピリッツ事業」「ビール事業」「ワイン事業」に関する物流の状況について、サントリーホールディングス サプライチェーン本部 物流部 部長の塚田 哲也氏は「お得意先さまへのお届け数量は、飲料、お酒を合わせて年間約6.5億ケースに上ります」と説明。これは、1日当たり約200万ケースに相当する。工場から各出荷倉庫への輸送を含めると、年間の輸配送数量は約15億ケースにまで拡大するという。こうした貨物を扱う全国の配送センターは約50拠点、商品の一時保管倉庫を含めると200拠点を超える。一方、全国の製造拠点は自社工場と委託製造工場合わせて全国に50~60カ所で構えている。
サントリーの製造特性について、塚田氏は「(商品によって)製造する工場が毎月変わる特性があります」と述べる。これにより、納品までの物流工程も一部変更する必要があるなど複雑化しているというのだ。
こうした状況に加え、「物流の2024年問題」が大きな課題として積み重なる。現在のままでは2030年には、輸送能力が2022年比で23%減少(サントリー試算)することが懸念される。そうした中でも商品を着実に届けられるよう、物流改革を行っていく必要があるのだ。
サントリーの「3つの物流課題」
物流改革を行うには課題を明確にする必要がある。サントリーでは何を課題としているのだろうか。1つ目は、「創る」だ。「従来の商品設計」では運べないという課題である。わかりやすく例えると、500ミリリットル製品を大型車で1000ケース運べていたところが、デザインを重視したペットボトル容器を採用したことにより700~800ケースしか運べないといった状況だ。これでは同じ輸送能力でも運べる量は限られてしまう。
サントリーもデザイン重視で輸送効率の低い商品(容器・容量)が増え、これらを商品企画、設計の段階から変えていくことを課題としている。
2つ目は「作る・運ぶ」で、これは「従来のネットワーク」では運べなくなるという課題だ。塚田氏は「製造拠点は特に、首都圏、関東エリアに集中しています。このため首都圏・関東エリアから東北エリアや関西エリアへの長距離輸送が発生してしまいます」と現状を説明。トラックドライバーの時間外労働上限規制に対応すべく、長距離輸送が増えないような製造体制の見直しを急務としている。
3つ目は「売る」で、「従来の売り方」では運べなくなる課題だ。現状は基準ロット(100ケース以上)未満の発注に対応したり、パレット単位ではない少量の輸送にも対応しているため、トラックドライバーや倉庫作業員の負荷が高い。こうした状況から、従来の販売の進め方では物流が対応できないという危機意識を持っている。
これら3つの課題に対しサントリーでは、「サステナブルな調達・取引」を目指し、これまでにも主に7つの取り組みを推進。そして、物流危機を全社の問題と捉え、物流部門のみで完結させない、各部門との連携を強化していく方針だ。では具体的にどのような取り組みなのか。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR