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- 2023/09/15 掲載
まさかの“荷待ち6時間”に大激怒……国さえも本気にさせた「ヤバすぎる物流事情」
連載:「日本の物流現場から」
配車担当が激怒、荷待ち6時間でも「冷たい対応」…
事の次第を説明しよう。3PL企業であるA社は、通関業者B社で集荷し、貨物を指定先へトラック輸送するように、荷主C社から依頼された。デバンニング(海上コンテナから貨物を卸すこと)は、通関業者B社が行う。
荷主C社の依頼を受け、A社配車担当の田中氏(仮名)は、7台の大型トラックを手配し、朝イチで通関業者B社に向かわせた。ところが延々と荷待ちを強いられ、耐えかねたドライバーは「もう昼も過ぎたんだけど!」と、田中氏にSOSを求めた。
電話で話しても埒(らち)が明かない──と直感した田中氏は事務所を出て、現場、すなわち通関業者B社に直接足を運んだ。まず現場で荷役を担当しているフォークリフト・オペレーターに声をかけた。
「あの、すいません。ウチのトラック、もう3時間以上待っているんですけど…。いつ、ウチの貨物、積み始められますかね?」
だが、フォークリフト・オペレーターは、「さあ…」と冷たい一瞥をくれるだけで、田中氏のことを、まともに相手にする人はいなかった。そこで、田中氏は通関業者B社の事務所を訪れ、フロントマンに同じことを聞いた。
「今日は忙しいので…、ちょっと予定が見えないんですよ」
さすがにフォークリフト・オペレーターほどつっけんどんではなかったものの、慇懃無礼(いんぎんぶれい)にあしらわれるだけだったという。
「いや、ウチだって、入庫や出庫が重なって、他社のドライバーを待たせてしまうことはありますよ。でもね、俺だったら…、『ヤバい』と思ったら、とりあえず手元の業務は後回しにしてでも、現場を手伝って、1分でも早く入庫・出庫できるように努力しますけどね」と田中氏は憤慨していた。
結果、田中氏が配車を手配して通関業者B社へ集荷に行ったトラック7台は、いずれも長時間の荷待ちを強いられ、最後のトラックは、積み込み開始までに6時間も待たされた。
6時間も待たされた「2つの理由」を考察
田中氏は、6時間もの荷待ち時間が発生した理由について、以下のように推測する。- 荷主C社が、大型トラック7台分もの貨物を、1日で出荷させようと無理強いをしたことが、そもそも間違いだった。
- デバンニングおよびトラックへの積み込みは、すべて手荷役だったことが、さらに通関業者B社のキャパオーバーを招いた。
「ただね、それにしても、『ごめんね』の一言くらい、B社の連中も言えないもんかね」と田中氏はため息をつく。
もっともだと思う。田中氏が手配した7台の中には、協力会社のドライバーもいた。最後の1台が積み込みを終え、通関業者B社を出庫するまで、田中氏も気が気でなかっただろう。 【次ページ】荷待ちに冷たい対応…問題は“どこ”にあるのか?
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