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インダストリー4.0による産業革命を推進するドイツで毎年開催されている産業見本市「Hannover Messe 2024(ハノーバーメッセ2024)」が、2024年4月22日(月)から26日(金)にドイツのハノーバー国際見本市会場にて行われました。最近の製造業における重要キーワードでもある「インダストリー4.0」のコンセプトも、このハノーバーメッセで発表(2011年)されるなど、ハノーバーメッセはデジタル製造技術の進歩を確認する重要なイベントとなっています。今年も、ドイツ現地を訪れた筆者が重要だと考えるトピックについて紹介していきます。
ハノーバーメッセ2024、驚きの「出展企業数」「来場者数」
ハノーバーメッセは、インダストリー4.0による産業革命を推進するドイツで毎年開催されている産業見本市です。
2024年は、出展企業数4000社(約60カ国)、来場者数約13万人(約150カ国)の規模で開催されました。日本企業および日系企業は32社が出展しています。
ちなみに、2023年は、来場者は約13万人、出展企業約4000社、2022年は、来場者数は約7万5000人、出展社数は約2500社、新型コロナ前の2019年のハノーバーメッセの来場者は約21万5000人、出展社数は約6500社となっています。
ハノーバーメッセ2024は、以下の5つの展示エリアとカンファレンスステージエリアで構成されています。
ハノーバーメッセ2024のコンセプト、主要テーマ
ハノーバーメッセ2024のメインテーマは「ENERGIZING A SUSTAINABLE INDUSTRY」(サステナブルな産業の振興)」です。
市場の成長のためには効果的なビジネス・プラットフォームが必要であり、その実現のために、広範な経験と豊富なネットワーク、独自のスキル、そしてハノーバーメッセの強力なブランド力に基づいて、このようなプラットフォームを世界中に展開することが必要であるとしています。
ハノーバーメッセ2024では、主要テーマ(産業トレンド)として以下を挙げています。
パートナーカントリー制度とは? 歴代パートナー国振り返り
毎年ハノーバーメッセでは、1カ国に焦点を当て、その国の技術・製品を集中的にプロモーションする制度があります。また、パートナー国に選定されると、その国の政府首脳や企業が招待されます。
2024年のパートナー国はノルウェーでした。2025年はカナダを予定しているとのことです。過去のパートナー国は下記のとおりです。
■ハノーバーメッセの歴代パートナー国(一部)
2015年:インド
2016年:米国
2017年:ポーランド
2018年:メキシコ
2019年:スウェーデン
2020年:中止
2021年:インドネシア(オンライン開催)
2022年:ポルトガル
2023年:インドネシア
日本は2008年にパートナー国になっています。また、2019年にハノーバーメッセと統合された「CeBIT(セビット:かつて毎年開催されていた世界最大級のICT関連の見本市)」の2018年のパートナー国を務めており、日本企業も118社が参加しています。
2024年パートナー国のノルウェー、何を展示したか?
2024年のパートナー国であるノルウェーが掲げたテーマは「Norwegen 2024:Pioneering the Green Industrial Transition(ノルウェー2024:グリーンインダストリアルトランスフォーメーションのパイオニア)」です。
ノルウェーは低炭素社会への変革への意欲を示し、再生可能エネルギー、カーボンニュートラル生産(Carbon-neutral Production)、グリーンとデジタルソリューションの分野で主要な役割を果たしていくことを強調しました。そして、これらはインダストリアルトランスフォーメーションとゼロエミッションの目標達成に不可欠であるとの考えを示しました。
実際に、ハノーバーメッセにおけるノルウェーパビリオンでは、ノルウェーの主要企業がエネルギー転換とサステナブルな産業のためのプロダクトやソリューションを紹介していました。
また、ノルウェーにはドイツとエネルギー供給ネットワークを作る構想があり、海洋風力、水素サプライチェーン、太陽光など、あらゆる発電チャンスとパワーグリッドを、国境を超えてシステム化することで地政学的リスクに対応する方針を示しています。
注目テーマ「データ共有圏」、展示から見えてきた変化とは
ハノーバーメッセ2024の各展示の中でも筆者が注目したいのが、産業・企業間におけるデータ共有に向けた取り組みです。
生成AIで1分にまとめた動画
VIDEO
たとえば、前回開催のハノーバーメッセ2023では、
Catena-X(自動車業界のデータ連携基盤構築に向けた取り組み) をBlue Printとして発足した、製造業全体にわたるデータ共有基盤の構築を目指すプロジェクト「
Manufacturing-X 」(2022年創設)の展示ブースが追加され、データ共有に向けたトレンドを強く感じることができました。
今年のハノーバーメッセでは、そんなManufacturing-Xを中心に、業界ごと、階層ごとにサブプロジェクトの展開(バーチカル、ホリゾンタル両方向への展開)が進んでいる状況を確認することができました。
また、これと並行して、ドイツはManufacturing-Xの取り組みを中心に、「グローバル」の製造業エコシステムへの展開を進めています。その背景には、ドイツが日本をはじめとしたさまざまな国々と、長期に渡り、製造業のデジタルイノベーションを推進するための信頼関係と協力関係を築いてきたことがあるとしており、多くの国際的なパートナーとともに、「International Manufacturing-X Council」の設立に取り組んでいます。
International Manufacturing-X Councilについては、まだ全貌が明かされていませんが、公表された情報によると、「スマートマニュファクチャリングを実現するのためのフェデレーテッドで、ディセントラライズドで、コラボレーティブなデータエコシステムを実装するための、オープンでグローバルなクロスセクター」であると説明されています。
このように、製造業の国際的な産業データ連携基盤の発展に向けた取り組みが加速している状況が展示ブースから伺えました。ここからは、Manufacturing-Xのサブプロジェクトとなる「Factory-X」「Aerospace-X」「PLC-AAD プロジェクト」についても解説します。
【次ページ】データ共有に向けた重要組織(1):Factory-X
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