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- 2023/05/23 掲載
マイクロソフトのインダストリアル・メタバース、ボッシュのグリーン水素製品とは
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト
アルファコンパス 代表
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRM、インダストリアルIoTなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長をつとめる。主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』『デジタルファースト・ソサエティ』(いずれも共著)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。また、企業のデジタル化(DX)の支援/推進を行うコアコンセプト・テクノロジーなどのアドバイザーをつとめている。
デジタルツインやインダストリアル・メタバースが進展
すでに述べたように、インダストリー4.0は、2011年のハノーバーメッセで発表されています。ドイツ産業界におけるMade in Germanyのアップデートであるインダストリー4.0はビジョンではあるものの、今後は、適応性のあるユースケースに小分けして提供される必要があるとしています。
その中で、本年は特にデジタルツインやインダストリアル・メタバースに関する取り組みが進んでいることが確認できました。
アセット管理シェル(AAS: Asset Administration Shell)は、インダストリー4.0の代表的なショーケースプロジェクトであり、ハノーバーメッセの多くの出展者が現在自社製品に取り込み、顧客に提供しているコンポーネントの標準化を実現するものになってきています。そしてインダストリー4.0を支える重要なテクノロジーであるデジタルツインを支えるグローバルスタンダードになるとしています。
こういった中で、マイクロソフトはインダストリアル・メタバースで遠隔技術者の共同作業をサポートするデモを展示しました。
この中で、マイクロソフトはインダストリアル・メタバースにより、離れた場所にいる技術者が、時間や場所の壁を越えて共同作業ができるようにすることを目指しているとしています。実用化されれば、製造業の現場に革新的な変化をもたらすとのことでした。
IoTでデータを取得し、そのデータを見える化し、さまざまな判断に役立てることまでは、多くの企業ですでに取り組まれていますが、あらゆるデータを可視化してシミュレーションまで行えるようにすることが今後必要であり、それを実現するのがデジタルツインです。
それをさらに、コミュニケーションの部分まで仮想環境で行えるようにするのがメタバースというのが同社の考え方です。
機械がアバター化すれば、“ちょっと調子が悪い”といったメッセージを機械自らが出してきて、物理的に離れた場所に置いてあっても修理までできるようになります。
筆者も場所が離れていても寄り添う感覚でコミュニケーションがとれることがインダストリアル・メタバースの中で最も重要な要素なのだろうと感じました。
ハノーバーメッセ2023ではマイクロソフト以外にも、フランフォーファー研究機構、シーメンス、SAP、AVEVAなどがインダストリアル・メタバースの展示を行っていました。
ボッシュやダッソー・システムズの「デジタルツイン」
自動車部品や電動工具大手ボッシュ傘下のBosch rexrothは、AASを使用し、サプライヤなどさまざまな企業とブース間で連携し、柔軟な製造を行うためのカスタマイズ可能なデジタルツインソリューションを紹介していました。ブラウンフィールドおよびグリーンフィールド資産の技術的統合とオーケストレーションを簡素化し、ライフサイクル全体にわたってデータとプロセスの透明性を実現するとしています。
ダッソー・システムズはデジタルツイン、PLM(BOM)、MES、ARなどを組み合わせ、ユーザのエクスペリエンス価値を高めるための方策について訴求していました。以下の4つのユースケース事例を展示し、エンジニアリングチェーンにおける全体最適の必要性を訴求していました。
- メンテナンスエンジニアの生産性を高めるユースケース
- 検査プロセスの生産性を高めるユースケース
- ワークプロセスの生産性を高めるユースケース
- 最終検査の全自動化(ロボット化)のユースケース
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