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- 2025/06/11 掲載
「2025年版ものづくり白書」要点まとめ、製造・設計・生産管理?1番DXが進む部門とは
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「
DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
トレンド解説:製造業が直面する「巨大3テーマ」
本白書では、近年、世界各国が「産業競争力の向上」「脱炭素(カーボンニュートラルの実現)」「経済安全保障(国際的な供給網の強靱化など)」という3つの視点を一体的に捉え、政策を進める動きが広がっていると指摘しています。特に、地政学リスクやエネルギー供給の不安定化など、事業環境の不確実性が増す中で、製造業の企業は、脱炭素や経済安全保障の観点を踏まえた中長期的な成長戦略と投資判断が求められるようになっています。
また、製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、企業の「稼ぐ力」を高めるとともに、GX(グリーントランスフォーメーション)を進めるうえでも重要な施策と位置づけられています。これらは、国全体の産業競争力を底上げするカギとされています。本白書では、これら取り組みの実施状況などが紹介されています。
トレンド解説:欧州・米国・アジア「環境戦略」の行方
2024年9月に元欧州中央銀行総裁のマリオ・ドラギ氏が取りまとめた報告書「The future of European competitiveness」(欧州の競争力の未来:ドラギレポート)では、「欧州に待ち受ける3つの変革」として、下記の点に言及しています。- (1)イノベーションの加速と新たな経済成長エンジンの発見
- (2)脱炭素化を継続しながらのエネルギー価格の低減とサーキュラーエコノミーへの移行
- (3)不安定さが増す地政学への対応と他国への依存度の低減
こうした提言を踏まえ、2025年1月、EUの欧州委員会は、ドラギレポートの提言内容を具現化する形で、EU域内経済の立て直しをはかり、競争力強化を実現するための5年間の政策「競争力コンパス」(Competitiveness Compass)を公表しました。
一方、アジアでは、日本が主導する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC:Asia Zero Emission Community)」の枠組みのもと、地域各国が脱炭素化に向けた協力を進めています。AZECは「脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障の同時達成」および「多様な道筋によるネット・ゼロ(実質排出ゼロ)の実現」を掲げ、2024年10月には首脳級会合において「今後10年のためのアクションプラン」が採択されました。現在は、このアクションプランに沿って、各国との連携のもと、具体的なプロジェクト推進と国際ルールづくりを両輪で進めています。
そのほか、米国では、気候変動対策が揺れ動いています。2025年1月に米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏は、パリ協定から脱退する方針や、化石燃料の増産などを通じてエネルギー価格の低下を目指す方針を示しており、これらの方針の下、さまざまな大統領令に署名を行っています。米国は、第1期トランプ政権時の2020年のパリ協定脱退後、バイデン政権の下で同協定に復帰していましたが、2025年1月に国連へ離脱通告をしており、2026年1月に同協定から再度離脱することになりました。
こうした国際的な動きを背景に、各国の経済産業政策では、「産業競争力の強化」「脱炭素化の推進」「経済安全保障の確保」といった要素を、相互に関連づけて包括的に捉えるアプローチが主流になりつつあります。
調査データ:製造・設計・生産管理?1番DXが進む部門とは
ものづくり企業において、デジタル技術を活用した業務改善の状況を工程別に見ると、「製造」、「生産管理」、「事務処理」および「受注・発注・在庫の管理」の工程において3割強から4割強の企業が、「企画・開発・設計」および「品質管理」の工程においては2割程度の企業が、デジタル技術を活用した業務改善を行っていることがわかります。従業員数に基づく企業規模別にみていくと、従業員301人以上の企業では各工程での実施率が高くなっています。
「製造」の工程では、従業員数50人以下の企業が31.5%であるのに対して、従業員数301人以上の企業では67.9%となっています。
また、デジタル技術を活用した業務改善を行っていない企業は22.0%となっています。

調査データ:製造業「デジタルツール」導入したキッカケ
デジタル技術の導入・活用を進めたきっかけを見ると、「経営者・役員の発案」、「社内からの要望(経営者・役員以外)」の順に多くなっています。また、会社の規模によってもキッカケは異なるようです。
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