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- 2024/06/24 掲載
デルタ電子の「超現実的」なAI戦略、非IT分野も「AI×○○」でこう変わる
“次々世代”見据えるデルタが注力する「4分野」
デルタ電子は1971年に設立され、電力や温度管理などエネルギーインフラやその関連のソリューションを提供する企業だ。台湾に本社を持ち、毎年利益の8%をR&D(研究開発)に投入しており、R&D施設は中国、欧州、日本、シンガポール、タイ、米国に存在する。「COMPUTEX TAIPEI 2024」で基調演説を行ったのは、2013年に設立されたデルタリサーチセンター(DRC)のツィッカー・チウエ(Tzi-cker Chiueh)氏で、「AIがいかにオートメーションアプリケーションに革命をもたらしたか」がテーマとなった。
DRCは2022年に「DRC 2.0」を宣言し、次々世代、さらにはまったく新しい製品ラインを生み出すことを目的としている。ミッションとして掲げているのは以下の4点だ。
予知保全、バーチャルフィジカルインテグレーション、シミュレーションモデリングなどの技術を用い、製造工程の効率化とボトルネックとなる問題点の割り出しを行い、コストとリスクを下げる。
2. AI
データ分析、映像解析技術、セマンティック分析(ユーザーの意図をくみ取った分析)などの技術を集約することにより、自動運転、スマートエネルギーマネジメント、オートメーション技術を開発し、効率化とサービスの質の向上を目指す。
3. インフォメーション、コミュニケーションテクノロジー
サイバーセキュリティ、ワイヤレスコミュニケーション、ARアプリケーションなどを用いて革新的な産業サービスを提供する。
4. ライフサイエンス
プレシジョンメディシン(精密医療)、光機械一体型技術に焦点を当て、特に核酸検出製品に注力しつつ、ライフサイエンスの発展に貢献する。
データセンター乱立で「電力配分」崩壊? デルタ流「解決策」
これを踏まえ、チウエ氏はまず、AI半導体の世界的な増加、それに伴う電力需要の増加などを説明。「2026年にはその市場規模は182億ドルに成長する」という予測を掲げた。しかし、それに伴う電力需要、特にデータセンターの冷却にかかる電力の増加が今後の世界の電力配分を脅かす存在になることも強調した。こうした事態に対応するためにデルタが開発するのが、新世代のデータセンターパワーアーキテクチャーだ。
特に、クーラント・ディストリビューション・ユニット(CDU:Coolant Distribution Unit)と呼ばれる装置は、高効率ポンプなどの導入により従来製品と比較して冷却効率を30%上昇させ、熱交換によるエネルギーロスも30%削減することが可能だという。 【次ページ】デルタ電子が注力するAIソリューション3つを詳解
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