- 会員限定
- 2024/08/23 掲載
トヨタに逆風…? 反EVのトランプが大統領でも「テスラが超有利」な“3つの理由”
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
ハリス氏当選なら「継続路線」も「目標引き下げ」か
民主党大会が8月22日に閉幕し、ハリス副大統領が次期大統領候補者として正式に指名された。ハリス氏が大統領選挙を勝利して政権を取れば、基本的にバイデン大統領の環境・エネルギー路線を継承すると見られている。こうした中、米沿岸部の洋上風力発電は採算割れで撤退する企業が相次いでいる。補助金による事業呼び戻しで地元住民の税負担が増え、さらにコスト増で電気代が急騰、EV普及の逆風となっている。
こうしたEV販売失速や再エネ開発の行き詰まりで、民主党が推進する環境・エネルギー政策の排出基準や達成時期が非現実的であることが明確になっている。そのため「ハリス政権」は、市場におけるEV需要と消費者の生活の現実に合わせて目標値の引き下げや達成時期の後倒しを迫られることになろう。
意外と「EV全廃」を目指していないトランプ氏
翻ってトランプ前大統領は選挙戦の前半において、盛んにEVに対し「口撃」を行っていた。このこともあり、再選した場合にはバイデン政権が成立させたEV推進の根拠法や各種環境規制が一夜にしてひっくり返される、との印象を抱く人は少なくなかった。しかし実際には、「大転換」よりも「修正・継続」が基調となろう。事実、現行のEV推進策は民主・共和の超党派で可決された2つの大規模法案が根拠になっており、トランプ氏が就任初日に発出すると見られる大統領令のみで覆せるものではないからだ。
さらに、意外に思われるかもしれないがトランプ氏は、EV全廃を目指していない。逆に選挙戦のラストスパートに入った現在では、「EVはすばらしい」と、従前の否定的な立場を軟化させている。
そして、「トランプ2期目」でEV政策決定に影響力を行使すると見られるのが、EV最大手テスラの総帥であるイーロン・マスク氏の存在だ。 【次ページ】テスラが有利に…トランプ氏によるEV政策「3つの修正」
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR