• 2026/02/06 掲載

ソニーや東エレより強すぎる…時価総額10兆円「キオクシア」が投資家を熱狂させるワケ

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キオクシアホールディングスの時価総額が10兆円規模に達し、業界や市場の視線が今まで以上に集まっている。主力であるNAND型フラッシュメモリーは景気循環の波が大きい半面、AI向けサーバやPCのSSD需要が追い風だ。とはいえ、結局のところキオクシアは何が凄いのか。本稿では、キオクシアが持つ強みや特徴を、半導体関連企業である東京エレクトロンやルネサス、ローム、ソニーと比較しながらひも解いていく。
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具体的なキオクシアの強みや、半導体関連4社との比較などについて解説します
比較は2ページ目で解説

上場からたった約1年で「10兆円クラブ」入り

 キオクシアの価値は製品そのものだけでなく、自社の努力とは関係のない「半導体業界全体の波」に大きく左右される。NAND型フラッシュメモリーは、スマートフォン、PC、データセンター向けSSDなど用途が広い一方、供給過剰になると価格が急落し、利益が一気にしぼむ。

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【画像付き記事全文はこちら】キオクシアは何が凄い? 半導体関連4社との比較などで深堀り解説
(Photo/Shutterstock.com)

 逆に、供給が絞られ需要が重なる局面では、同じ設備でも収益が跳ね上がる。市場が10兆円規模の評価を与えた背景には、AI投資が生むストレージ需要と、供給側の投資調整が同時に進んだという期待がある。

 2026年2月5日時点の時価総額は、キオクシアが約10.63兆円となっている。1月27日に初めて10兆円の大台を突破、上場から約1年1カ月でこの水準に達した。近年のNANDフラッシュ価格上昇とデータセンター需要の強さを背景に、異例のスピードで評価を高めている。

 国内の半導体関連の時価総額(いずれも2月5日時点)を見ると、製造装置の東京エレクトロンが約18.86兆円、イメージセンサーを抱えるソニーグループが約20.59兆円といずれもキオクシアを上回る。一方で、車載・産業向けを主戦場とするルネサスエレクトロニクスは約5.17兆円、アナログ・パワー半導体のロームは約1.00兆円にとどまり、キオクシアを下回る水準にとどまっている。

 数字の大小は事業モデルの違いを映す。装置は設備投資の波に乗りやすく、ソニーはエレクトロニクス以外にも事業を多角化している。

 対するキオクシアは、中核技術であるメモリーと、その応用製品であるSSD事業に特化しているが、それでも10兆円に乗った点が際立つ。ではなぜそれを可能としたのか?

結局、キオクシアは何が凄いのか?

 キオクシアによれば、従業員数は約1万5000人、売上高は1兆7,064億円(2025年3月期)。フラッシュメモリーの生産能力(合弁契約を締結している米サンディスクとの合算)ベースの世界シェアは2024年度で29%だ。出荷数量ベースでは約14%とされ、サムスン電子、SKハイニックスに次ぐ世界第3位の位置にあるという。

 同社は1987年にNAND型フラッシュメモリーを発明した企業だ(厳密にはキオクシアの源流である東芝が発明)。

 一方で、メモリーは標準化が進むほど差別化の難しい領域だが、微細化や積層化、歩留まり改善など、製造技術がそのまま原価と供給能力を左右する。そのため、「量」を作れる企業が強い。

 キオクシアは三重県四日市市の四日市工場と岩手県北上市の北上工場を主要拠点とし、米サンディスクと共同でフラッシュメモリーを生産してきた。キオクシアが四日市・北上で世界最大級の工場群を構築したのは、NANDフラッシュが「生産規模と投資継続力」で競争力が決まる産業だからである。

 四日市工場は敷地面積約69万平方メートルの巨大拠点で、複数の製造棟と組み立て施設を持つ。中でもAIやIoTを活用したスマートファクトリーとして構築しているのが特徴で、歩留まりや稼働を最適化している。

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四日市工場
(出典:キオクシア リリース

 対して、北上工場は2020年稼働の第1製造棟(K1)に加え、2025年から第2製造棟(K2)が本格稼働。218層など最先端世代の3D NANDの生産比率を引き上げる役割を担う。また四日市工場と連携し、需要動向に応じて段階的に生産能力を拡張する「増設と世代更新の中核拠点」として位置付けられている。

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北上工場
(出典:キオクシア リリース

 メモリーは、ロジックよりも価格が需給で動きやすい分、設備投資のタイミングが勝敗を分ける。キオクシア自身も、設備投資は年間の営業キャッシュフローと背中合わせになりやすい構造だ。

 だからこそ、サイクルの谷で投資を止めすぎると次の山を取り逃し、逆に山で投資を膨らませすぎると谷で固定費に潰れる。投資の“振れ幅”を吸収できる規模と財務がある企業が残る。10兆円評価は、その綱渡りを「一定程度は制御できる」と市場が見た結果とも言える。

キオクシアの「追い風2点」

 メモリーは「作った分だけ売れる」産業ではなく、価格下落局面ではあえて減産する判断も必要だが、規模があれば固定費を吸収しながら投資と操業の最適点を探れる。市場が評価するのは、この“調整力”そのものだ。

 これらに加え、生成AIの普及や企業システム構造の変化も追い風となっている。

 生成AIは計算(GPU)だけでなく、学習データや推論ログ、モデル更新のためのデータ移動が膨大だ。従来のHDDと比較してNANDベースのSSD、特にNVMe接続のSSDは、データアクセス速度と消費電力の両面で優位性がある。

 さらに企業システムでは、オンプレミスとクラウドのハイブリッド運用が一般化しており、データ複製が増える。

 こうした構造変化は、単年の需要ではなくストレージ「常時増設」を生みやすい。メモリー市況が持ち直す局面で、キオクシアが収益を伸ばしやすいという見方につながる。 【次ページ】東エレ・ルネサス・ローム・ソニーと徹底比較
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