- 2026/02/02 掲載
なぜANAとJALは“同じ道”をやめたのか? 主力機選定で起きた「決定的分岐点」の正体
連載:北島幸司の航空業界トレンド
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。
30周年で見えた「名機777」の役割と熱気
2025年12月23日、ANAがボーイング777の国内線就航30周年を記念するイベントを開催し、羽田空港は特別な熱気に包まれた。1995年と同じ日、同じ路線で実施された特別便に合わせて、現役のパイロットや整備士、客室乗務員が登壇し、777が果たしてきた役割を振り返った。特別便の搭乗口付近には、社員から募集した写真が展示され、航空ファンがその歴史に思いをはせていた。ランプエリアでは、ANAグループの社員たちが横断幕を掲げ、日本の空を長年支え続けてきた機体への感謝とねぎらいを示した。
挨拶に立った部長の林 和也機長は次のように語った。
「かつて4発機が主流だった長距離国際線において、双発機として安全性と信頼性の高さを証明した画期的な機体です。導入当初の試行錯誤を経て、技術の発展とともに現在の双発機時代の先駆けとなりました。私にとっても、18年にわたり乗務し機長昇格を果たした思い入れの深い機体で、長年お客さまに支えられながら日本の空を支え続けてきた名機です」
そもそも、ANAとJALが“同じ道”を歩んできた理由
日本の航空会社が3発エンジン機を使用していた時期を除き長年にわたり同じ大型機を選び続けてきたのは偶然ではない。1980年代に中距離路線で活躍したボーイング767が双発機の効率性を証明したことで、それまで安全性の観点から多発機が常識とされていた長距離・大型機の領域でも双発機への期待が高まっていった。その流れを受けて1990年代後半、満を持して登場したのが777だ。747に匹敵する収容力を持ちながら、767で培われた双発機の経済性と最新の信頼性を兼ね備えた777は、まさに日本の航空界が求めていた「理想の機体」だった。
777は、ANAだけでなくJALにとっても“主力の中の主力”として機能してきた。ボーイングは日系2社を含む初期導入エアラインに「ワーキング・トゥゲザー」プログラムを提示し、現場の声を設計に反映。結果、両社は幹線から超長距離まで777を重用し、双発機の信頼性を底上げしたETOPS(双発機安全ルール)の進化とともに、777は日本の空の“安全と効率”を象徴する存在となった。
実際、両社がボーイング787の導入までほぼ同じ機種構成を選び続けてきた事実は、ボーイング機への絶大な信頼を物語っている。しかし就航30周年を迎えた今、新たな変化が訪れている。将来のフラッグシップ機の選定で、ANAとJALの判断が明確に分かれたのだ。 【次ページ】ANAとJAL、判断が分かれた裏にある「経営の本音」
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