- 2026/03/12 掲載
「産業用AI市場」を徹底解説、トヨタも巨額投資…2030年“24兆円市場”の10大トレンド(2/4)
トヨタは1.7兆円投資、AI戦略は「CEO主導」へ完全シフト
企業はもはやAIをパイロット事業として扱っていません。2021年ごろは、AIは組織戦略の中核というより、実験的または補助的な能力と見なされることが主流でした。当時のIoTアナリティクスの調査によれば、AIは製造業者の優先事項トップ3に入っておらず、多くの企業が孤立したパイロット事業として扱っていました。
しかし2025年までに、主要製造業者の大半は、企業のロードマップに専用のAI戦略を組み込みました。AI戦略はもはや場当たり的な探索プロジェクトではなく、ガバナンス体制や業績目標によって支えられ、広範な事業目標と統合されたビジョン主導型へと進化しています。
AI戦略は周辺的な技術投資から、決算説明会でCEOが語る最優先議題へと格上げされました。本レポートでは、企業のAI導入戦略の事例が複数紹介されています。
特筆すべきはトヨタです。同社は1950年以降、トヨタ生産方式の原則に基づき、現代製造業のベンチマークと認識されてきました。2025年度、トヨタはAIとソフトウェア中心の車両開発に1兆7,000億円を投資し、AIにおける「人間の役割」を特に重視しています。
具体的には、従業員自ら機械学習モデルを開発できるように支援し、エンジニアの設計ノウハウを体系化し、リアルタイムで問題を検知することで作業員の安全確保と生産性向上の実現などに取り組んでいます。
産業用AIの「生成AI活用」がまだまだこれからの理由
品質管理・検査分野では、ビジョンAI(画像や動画をAIが解析する技術)の活用が主流で、生成AIの活用はまだ限定的です。
本レポートで分析している48の産業用AIユースケースのうち、「自動光学検査」が約11%のシェアで首位を占めています。比較対象として、生成AIベースの全ユースケースを合計しても現在の市場シェアは5%未満であり、コーディング関連が1%で最大となっています。
台湾の電子機器製造企業であるペガトロンは、自動光学検査の注目事例として本レポートで取り上げられています。同社は、米半導体企業エヌビディアのOmniverse Replicator、Isaac Sim、Metropolisを活用し、自社開発の自動光学検査ツール「PEGA AI」を構築。これにより欠陥検出精度を99.8%まで向上させるとともに、スループットを4倍に改善したと報告されています。
ルノーは1年で約490億円削減、産業用AIのROI事情
「AIバブル」について議論される一方、近年では多くの産業用AIプロジェクトが、コスト削減、稼働率向上、品質改善を通じてその価値を実証しています。
たとえば、フランスの自動車メーカー、ルノーSAの当時のCEOルカ・デ・メオ氏は、2024年2月の決算説明会において、予知保全AIツールの導入により1年間でエネルギーとメンテナンス費用を2億7,000万ユーロ(約493億円)削減したと報告しました。
一方、米パルプ・製紙会社ジョージア・パシフィックは、生成AIベースの文書生成ツール、オペレーター向けリアルタイムガイダンス・アラート用AI搭載チャットボット、自動欠陥検出用AI搭載ビジョンシステムなどのAIプロジェクトを通じ、年間数億ドル規模の価値創出を実現したと報告しています。 【次ページ】産業用AIに欠かせない、超成長市場「DataOps」
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