- 2026/03/12 掲載
「産業用AI市場」を徹底解説、トヨタも巨額投資…2030年“24兆円市場”の10大トレンド(3/4)
産業用AIに欠かせない、超成長市場「DataOps」
従来、産業界では断片化されたデータシステム(例:サイロ化されたSCADAネットワーク、MES導入、データヒストリシステム)が長年の課題でした。しかし、AIソリューションが構造化され、高度なコンテキストやリアルタイムデータの重要度が増すにつれ、製造業者はデータマネジメント手法の変革を迫られています。
DXの重要な基盤として位置づけられるようになったデータマネジメントにおいて、最も注目すべき進展の1つは「産業用DataOps」の台頭であり、現在、急速に成長している産業用ソフトウェア分野の1つです。
IoTアナリティクスのレポートによれば、産業用DataOps市場は2028年までに年平均成長率49%で拡大すると予測されています。企業が運用データフローのクリーニング、コンテキスト化、オーケストレーションを実現するDataOpsツールを採用しているためです。
たとえば、以下のDataOpsプラットフォームベンダーは、エッジデバイスへの言語モデル展開機能の追加も進めています。
- LitmusのLitmus Edgeプラットフォーム
- CogniteのAtlas AI
同時に、製造業者は従来のサイロを解消し、統一されたデータレイクを構築することで、データストレージアーキテクチャーを刷新しています。これにより、データリネージ、共有コンテキスト、弾力性を備えたコンピューティングリソースが実現され、機能横断的な一貫性のあるAIアプリケーションに不可欠です。
たとえば、IoTアナリティクスが取材したEMEA地域を拠点とする大手航空宇宙・防衛企業では、全機能データを単一(または2つの)信頼できる情報源に統合する取り組みを進めています。同社ではデータ標準化を支援するため、シーメンスのTeamcenter(PLM)、Opcenter(MES)、Insights Hub(産業オペレーションソリューション)を活用しています。
トヨタも動く「AI人材育成」問題
米ERPソフトウェア企業Rootstock Softwareの調査によると、製造業におけるAI導入の最大の障壁は「社内の専門知識不足」(45%)です。この課題に対応するため、回答者の60%が現従業員のトレーニングとスキルアップに積極的に投資し、46%は必要なデジタルスキルを持つ新入社員の採用を進めています。
産業用AI市場では、AI導入に向けた従業員のスキルアップを重視する企業の事例が複数報告されています。
ここでも特筆すべきはトヨタです。2025年5月22日、トヨタ自動車はグループ4社(アイシン精機、デンソー、豊田通商、ウーブン・バイ・トヨタ)とともに、AI・ソフトウェア中心の人材育成を強化するため「トヨタソフトウェアアカデミー」を発足。
同アカデミーでは、AI、データセキュリティ、車両規制などの実践的知識を学べる約100の研修コースを提供しています。さらに、高度なAI・ソフトウェア専門家を集結させ、従業員同士が学び合い、多様なキャリアパスを探求する機会を提供しています。
生成AIが急拡大、産業ソフトは「コパイロット標準時代」へ
IoTアナリティクスの全業種にわたる530件の生成AIプロジェクトのデータベースによると、「カスタマーサポート活動」における生成AIプロジェクトの割合が最も高く、問題解決(プロジェクトの35%)、問い合わせ対応(34%)、アフターセールスサポート(19%)が含まれます。
製造業においては、「問題解決」と「コーディング支援」が特に重要性を増しています。
こうした応用事例により、IoTアナリティクスの2021年版産業用AI市場レポートではまったく言及されていなかった「生成AI」が、主要な産業用AI開発分野へと成長しました。
同社の推計によれば、生成AIは2024年に産業用AIプロジェクトの6%を占め、2023年のわずか1%から顕著な増加を示しています。この割合は2030年までに産業用AIユースケース全体の約4分の1に拡大すると予測されています。
産業分野における生成AIの代表的な活用例には、運用・サービス支援(例:ドキュメント検索やトラブルシューティング)や、OTおよび組み込み資産向けのコード生成が含まれます。
しかしながら、生成AIは製造バリューチェーン全体においても活用が拡大しており、以下などの多岐にわたります。
- 研究開発(例:プロダクトディスカバリー)
- 設計(例:生成デザイン)
- エンジニアリング(例:要件収集)
- フィールドサービス(例:ガイド付きメンテナンス)
製造業における生成AIの導入は、主に産業用ソフトウェアベンダーが提供するコパイロット機能によって推進されています。コパイロットは、最終的な決定権は人間がコントロールしながら、推奨事項や洞察、サポートを提供し、人間を支援・協働することを目的として設計されています。大手および新興の産業用ソフトウェアベンダーによるコパイロット統合の事例としては、以下が挙げられます。
【次ページ】AIはクラウドから「現場」へ、エッジAIが次の主戦場
- シーメンスのEngineering Copilot TIA:PLCエンジニアがSCLコード生成を支援(シーメンスは製造ソフトウェアポートフォリオ全体で十数種類のコパイロットを導入)
- ロックウェル・オートメーションのコパイロット:PLCコード生成とエラー説明のためのFactoryTalk Design Studioを含む
- ABBのGenix Copilot:米ソフトウェア・テクノロジー企業マイクロソフトとの共同開発による、自然言語による洞察、トラブルシューティング、ドキュメント検索機能
- TulipのFrontline Copilot:生産データ分析向け
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