• 2026/04/03 掲載

中東情勢が「ANA・JAL」を襲う…燃油高だけじゃない、今夏に来る「最悪シナリオ」とは(2/2)

連載:北島幸司の航空業界トレンド

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燃料高だけじゃない…「運航コスト高」がヤバすぎる

 今回の危機が深刻なのは、燃料高騰に加え、物理的な空域制限が運航コストを直接的に押し上げている点である。3月に入り、イラン周辺の空域制限を受け、JALは羽田-ドーハ線を4月10日の羽田発まで運休することを決定した。

 東京からロンドンへ向かう直行便が中東回避ルートを採用した場合、ボーイング787-9型機での試算では、1便あたり約6トンの燃料が追加消費される。

 現在の価格水準では、往復で500万円近い追加コストが発生し、1路線あたり月間1億5,000万円規模の利益圧迫要因となる。燃料搭載量の増加は収益性の高い貨物の積載制限(ペイロード・ダウン)を招き、路線の収益力を根本から削り取っている。

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燃料搭載量の増加で、床下で輸送する国際航空貨物の搭載量を減らす可能性も出てきた
(筆者撮影)

 ウクライナ戦争でロシア上空が通過できない上に、今度は中東上空も飛べない状況なのである。

ANA・JALどうなる? 今夏に来る「最悪シナリオ」

 今回の事態が日本の航空会社にとって大きな試練となるのは、燃油サーチャージという仕組みだけでは「増え続ける運航コスト」を賄いきれないことにある。サーチャージはあくまで燃料の単価上昇を補填するものであり、ルート変更に伴って発生する追加の人件費や機材整備費、さらには貨物積載量の減少による減収分まではカバーしていない。

 今後は、単なる燃料代の転嫁を超えて、路線の収益性そのものをいかに維持するかが焦点となる。

 最新の動向では、ルフトハンザグループが中東を避けた代替ネットワークの構築でアフリカやアジア路線を増便している。ANAやJALもまた、高効率機材への集約や路線の再編といった、より踏み込んだ経営判断を迫られることになるだろう。

 中東の情勢が落ち着かない限り、日本の空は、サーチャージによる「制度的な値上げ」と、ダイナミックプライシングによる「実務的な値上げ」の波にさらされ続ける。6月以降、過去最大級のサーチャージ負担が現実のものとなったとき、ようやく回復を見せた海外旅行需要がどのような反応を示すのか、極めて厳しい局面が続くと予想される。

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