- 2026/03/19 掲載
なぜJALは「ジェットスター」を刷新? ANAと“真逆”になったLCC戦略、その本当の狙い
連載:北島幸司の航空業界トレンド
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ダイヤモンド・オンラインでの連載、ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。
なぜカンタスは撤退? ジェットスター“日本化”の決断
ジェットスター・ジャパン(以下JJP)はこれまで、JALとカンタスグループ、三菱商事(後に東京センチュリーが参画)による共同事業として、日本のLCC元年と言われる2012年以降14年間にわたり運営されてきた。オーストラリアのカンタス航空とジェットスター航空(JST)が持つLCC運営のノウハウと、JALの国内ネットワークを融合させたビジネスモデルは、日本におけるLCC市場の確立に寄与した。しかし、今回の合意によりカンタス航空は保有する全株式を譲渡する。代わって新たな株主として参画するのが、数々の日系エアラインに資本参加して実績の高い日本政策投資銀行(以下DBJ)である。
新体制はJAL、DBJ、そして引き続き株式を保有する東京センチュリーの3社を中心に構成される。
DBJが持つ航空業界の知見と地域活性化へのネットワークが加わることで、JJPは日本資本主導のLCCとして再出発を切ることになる。これは、海外資本との合弁では時間を要する意思決定を、日本側主導でより迅速かつ柔軟に進めるための戦略的選択といえる。
ANAとJAL、なぜ「LCC戦略」は真逆になったのか?
JALグループの戦略において、羽田空港はフルサービスキャリアであるJALの国際線・国内線を担う役割を持つ。一方で、成田空港はZIPAIR、JJPとスプリング・ジャパン、LCC3社の戦略拠点として位置づけが強化される。JJPは今後拡張が予定されている成田空港をネットワークの中心に据え、国際線を拡大する方針を示している。首都圏2大空港のシェアが高まれば、経営がより強固になることが容易に想定できる。対するANAグループは、本体で羽田と成田、LCCのPeach Aviationで成田と関西という2大都市圏を戦略化する。関西空港から長距離国際線の乗り継ぎ需要は少ないものの、首都圏有事の際のリスク分散はできる。
つまり、日本の2大航空グループのLCC戦略は大きく異なる構図になりつつある。ANAグループはPeach Aviationを中核とする「LCC1社体制」を採用する一方、JALグループはZIPAIR、JJP、スプリング・ジャパンの3ブランドを役割分担させる「複数LCC体制」を維持している。前者は経営資源を集中させる戦略であり、後者は市場ごとに異なるブランドを展開するポートフォリオ型の戦略と言える。
一概にどちらの戦略が有利とは、現段階では答えは出ない。ただし、ANAはブランド統合による効率性、JALは複数ブランドによる市場対応力を重視するという違いが明確になった。
この先で注目すべき点は、2026年10月に予定されている新ブランドの発表である。 【次ページ】「ジェットスター」は消えるのか?新ブランド誕生の意味
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