- 2026/08/31 11:30 掲載
スペースX、ガスタービン部品を内製化──マスク氏、AI電力確保へ最大18カ月短縮狙う
部品内製化の動きは、米スペースXの採用情報でも確認できる。テキサス州バストロップの「Blades and Vanes Foundry」で、発電用のニッケル基超合金鋳造品を製造し、ガスタービン向けの単結晶(SX)や一方向凝固(DS)などの鋳造部品の開発・生産を担当する技術者を募集している。つまり、現時点で確認できるのはタービン一式の内製化ではなく、供給上の要所となる鋳造部品への進出だ。
この動きがAIインフラと直結することは、スペースX自身の開示資料から読み取れる。同社の6月の目論見書 は、2026年2月にxAIを買収し、AI事業の基盤としたと説明する。さらにデータセンター運営では天然ガスとガスタービン技術に大きく依存しており、インフラ拡張は天然ガスの確保だけでなく、ガスタービンと関連設備の入手性、大規模な天然ガス発電を認める規制環境にも左右されるとしている。
一方、ガスタービンの増設を巡っては、設備の確保だけでなく環境規制への対応も課題になってきた。xAIのデータセンターでは、電力不足を補うために導入した移動式天然ガスタービンについて、「必要な許可を得ずに運転しているのではないか」と環境団体などが問題視していた。
ミシシッピ州環境品質局(MDEQ)とMZXテックが7月30日に結んだ合意命令によると、サウスヘイブンでは69基の一時利用の移動式天然ガスタービンが稼働していた。MDEQは、合意命令に定めた条件を満たすかぎり、これらの設備を別個の建設・運転許可なしで使用してきたことは、州の大気許可要件に違反しないとの見解を示した。
一方で、環境面の管理が不要になったわけではない。同命令は2026年7月15日以降、新たな移動式タービンを追加しないことを定め、各設備に停止期限を設定した。さらに14基について、一酸化炭素、二酸化窒素、揮発性有機化合物などの排出試験や、その後の継続的な監視・報告を求めている。
恒久設備は別枠である。MDEQが3月11日に発行したPSD建設許可は、41基の固定式天然ガスタービンを恒久的な電源として認めている。対象設備には選択触媒還元(SCR)や酸化触媒などを設け、窒素酸化物(NOx)、微小粒子状物質(PM2.5)、ホルムアルデヒドなどについて排出上限や監視要件を設定した。
しかも、MDEQの合意命令は、供給網の問題によって41基の固定式タービンの一部で建設スケジュールが遅れているとも記している。マスク氏が鋳造部品の内製化で縮めようとしている「設備待ち」は、AIインフラ拡張の現実的な制約になっている形だ。部品供給を速めても、排出規制や監視への対応まで省略できるわけではない。AIの計算能力を増やす競争はGPUだけでなく、発電設備をいかに早く、環境規制に適合させながら確保するかを競う段階に入りつつある。
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