- 2026/08/26 06:40 掲載
なぜ日本は成長できない? 開業も廃業もG7最下位…“企業が消えない国”の致命的弱点
篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第194回)
中央大学国際情報学部教授/九州大学名誉教授
九州大学経済学部卒業、九州大学博士(経済学)。経済企画庁調査局委嘱調査員、日本開発銀行ニューヨーク駐在員、ハーバード大学イェンチン研究所客員研究員、九州大学大学院経済学研究院教授等を経て2026年より現職。経済財政諮問会議「成長力加速プログラム・タスクフォース」委員、内閣府経済社会総合研究所主任研究官、総務省参与、社会情報学会理事・同評議員、九州大学経済学会会長などを歴任。貿易奨励会優秀賞、テレコム社会科学賞、ドコモ・モバイル・サイエンス賞などを受賞。専門は情報技術革新の経済効果分析。
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日
人手不足ニッポンを救う?AIが「最強の相棒」になり得るワケ
日本はこれまでDXに苦戦してきたが、イノベーションの渦中にあるAIを課題解決と成長戦略の「かなめ」に位置付け、積極的に社会実装を進めていけば、よりよい未来への道が切り拓かれる。これからの日本で、少子高齢化が大きな制約条件になるのは避けられそうにない。AIの巧みな利活用は、この制約を克服する強力な手段になり得るはずだ。AIは、雇用を「代替」する競争者というよりも、不足する人的能力を「補完・拡張」する伴走者として、さまざまな分野で日本の課題解決に貢献できるだろう。
たとえば、医療分野では、医師に囲い込まれていた専門知を誰もが共有しやすくなる結果、患者に直接触れて処置を行う看護師や介護士の対応力が高まると考えられる。同時に、高度な知識と技能を有する医師がAIを有能な相棒として使いこなせば、最新の研究成果や知見を手際よく取得するのが容易になる。
このほかにも、AIの社会実装は老朽インフラの維持管理などに有用だ。現場に出向いて目視で対応するこれまでの取り組みには限界があり、IoTの活用と併せて、人手不足とインフラ管理の両面で人口制約下の日本に役立つのは間違いない。
AIの社会実装で“稼げる”日本へ…カギは「創造的破壊」
AIの社会実装が本格化すれば関連投資が増加し、それが経済成長の牽引力になる経路も生まれる。現状では、データセンターや半導体関連の投資が注目されているが、これらはAI producing Biz(AIを供給するビジネス)の領域だ。より重要なのは、これまで存在しなかったような新事業を創出し、新たな雇用と付加価値を生みだすAI enabled Biz(AIで可能になるビジネス)の領域だ。この領域こそが、成長戦略としてのAI社会実装の本丸といえる。
そこでは、新技術への投資と仕組みの見直し(無形資産への投資)をテコに新たな付加価値を創出する効果が期待される。ただし、その実現には、古い分野から新しい分野へ経済資源をシフトさせる「新陳代謝」のダイナミズムが欠かせない。まさに、イノベーションを「新結合の遂行」と論じたシュムペーターの「創造的破壊」そのものだ。 【次ページ】ノーベル賞で注目…「創造と破壊」が生む成長のメカニズム
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