新規会員登録再開のお知らせ

新規会員登録を9月14日9:30より再開いたしました。ログアウト状態になっている方はお手数ですが再度ログインをお願いいたします。

  • 2026/10/08 06:50 掲載

日立・ヤマトも大注目…日本人のシリコンバレー連続起業家が挑む「物流AI革命」の正体

連載:デジタル産業構造論

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。
日立製作所やヤマト運輸、シャープなど、日本を代表する企業が注目している「物流AI」がある。仕掛けるのは、シリコンバレーで約20年を過ごし、AI領域で起業を重ねてきた連続起業家の鈴木 智之氏率いるLeeapLabsだ。倉庫内の移動距離を約20%削減した技術から、次に挑むのは調達・生産・配送までをつなぐサプライチェーンの全体最適。さらにAIエージェントで、人が10~20分かける仕事をわずか20秒にする技術にも挑んでいる。日本の人手不足を変えるかもしれない「物流AI革命」の驚くべき正体に迫る。
執筆:法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO

 野村総合研究所、産業革新投資機構JIC-VGIなどを経て現職。法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 准教授として、産業価値デザイン研究室にて生成AI・AIエージェントや、フィジカルAI・AIロボット、データスペースなどデジタル技術・先端技術をビジネスや社会の価値へ転換するための手法論の教育・研究を実施。

 戦略・DX支援企業のd-strategy,inc(企業のAI変革、DX戦略、デジタルソリューション戦略)を創業し代表取締役として、フィジカルAI、AIエージェントをはじめとするデジタル化・自動化・技術変化の中での企業やスタートアップのDX/ソリューション・イノベーション戦略を支援。

 また、グローバルでのスタートアップエコシステム連携プラットフォームのThird Ecosystem,incの代表取締役CEOとして海外・国内のスタートアップエコシステム(VC/CVC/企業/大学/政府機関/スタートアップ)の連携・活性化、スタートアップ企業やエコシステム企業の海外展開支援や、海外スタートアップの日本展開に取り組む。

 Inclusive AI,incにおいて盲ろう者(目が見えない・見えづらく、耳が聞こえない・聞こえづらい)、視覚障害者、高齢者等向けのAIエージェントなどのAIサービス開発を実施。「制約のある方を含めすべての方が前向きに活き活きと暮らし、学び、挑戦できる世の中」をAIエージェントやフィジカルAIを通じて実現していくことを目指す。

 最新刊として『フィジカルAI進化論~自律するロボットとともに作る産業の未来~』(SBクリエイティブ)を26年10月1日に出版予定。

 その他、近著に『生成DX~生成AIが生んだ新たなビジネスモデル~』(SBクリエイティブ)、『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社)があり、ビジネス+IT連載『デジタル産業構造論』、MONOist等にてWebメディア連載。

 youtubeチャンネル『フィジカルAI時代の産業論 (d-strategy / Third Ecosystem 小宮昌人)』 @dstrategyinc にて生成AIをはじめ産業のデジタル化を解説

日立・ヤマトも大注目…日本人のシリコンバレー連続起業家が挑む「物流AI革命」の正体の画像
サプライチェーンの全体最適を図る取り組みの中身とは(後ほど解説します)

シリコンバレー連続起業家の正体

photo
シリコンバレー連続起業家
LeeapLabs Founder & CEO 鈴木智之氏
 LeeapLabs(リープ・ラボ)の代表を務める鈴木智之氏は、2006年に渡米して以来、米国シリコンバレーに20年にわたって在住し、直近の約10年間は一貫してAI領域の事業開発に取り組んできた連続起業家(シリアルアントレプレナー)である。

 鈴木氏の技術的専門領域は、インフォメーション・リトリーバルと呼ばれる情報検索技術である。グーグルが上場した当時は、ディープラーニングによる画像解析などが台頭する以前の時代であり、世界の技術トレンドの中心は検索技術や、Amazon・YouTubeに代表されるレコメンデーションシステムであった。

 検索とレコメンデーションは技術的に表裏一体であり、共通する技術要素が多い。鈴木氏はこの領域で自然言語処理にも深く携わり、高度なAI技術の知見を蓄積してきた。

 この巨大なデータ群に対する情報検索やデータ解析における深いバックグラウンドこそが、物理空間における複雑なデータのシミュレーションや最適化モデルを構築する同氏の強みとなっている。
編集部おすすめ動画

日立も大注目した「倉庫最適化」技術を開発

 鈴木氏はLeeapLabsを創業する前、最初の起業としてDatumix(データミックス)という会社を立ち上げ、約8年間にわたり経営。物流に関する知識がまったくない状態から3年間もがきながら現場のオペレーションを学び、倉庫管理システム(WMS)や各種制御機器から取得できるデータを活用したシミュレーションおよび最適化ソリューションを構築した。

画像
【画像付き記事全文はこちら】
デジタルツインとAIを活用し、倉庫内の設備や作業を統合制御する次世代WES(倉庫実行システム)の全体構成図

 倉庫内のオペレーションにおける最大の課題は、入出荷の忙しさに激しい波がある波動だ。この波動を吸収するには、人と自動化機器・搬送ロボットの処理能力やタイミングを合わせる必要がある。鈴木氏はこれらをシミュレーションによって同期させることで、忙しさを平準化し、全体の作業時間を短縮、大幅なコスト削減につなげた。

 また、棚のロケーション配置や出荷経路の最適化においては独自の特許技術を取得。従来、どの棚にどの製品を置くかは現場の長年の経験則に依存していた。だが過去の出荷実績データに基づくABC分析により、頻繁に出荷されるA品を作業場所の近くに、出荷頻度の低いC品を奥へという従来型から、A~Cのカテゴリ数を無制限に多く、かつ季節性(例:夏にはよく売れるが冬には売れない)や共起性(例:ノートとペン、や鉛筆と消しゴム)を考慮できる機械学習拡張によるグラデーション状に配置するアルゴリズムを開発した。

 シャープとの共同実証実験(PoC)においては、倉庫内のデータをAPI経由で処理した結果、作業員の歩行距離および自律走行搬送ロボット(AMR)の移動距離を約20%削減することに成功。これは、たとえば9時から17時まで(休憩なしで)かかっていた業務を、15時までに終わらせるほどの劇的な効率化を意味する。この特許技術の発表を契機に、ヤマト運輸の本社からも声がかかり、協業の議論が始まった。

 さらに、出庫時の最適な経路設定や、複数のAIフォークリフトおよび搬送ロボットの制御最適化でも実績を残した。日立製作所とのPoCにおいては、AIフォークリフト3台に対する最適なパレット搬送タスクの割り当てを実施。

 フォークリフト同士が近接することで発生する待機ロス(デッドロック)を回避するため、事前学習でリアルタイムにタスクの順序を並び替え、稼働効率を最大化させた。この制御シミュレーションにおいても、同様に業務時間を大幅に短縮する成果を得ている。

画像
倉庫内の設備や荷物の動きをデジタル空間上に再現した、Datumixのデジタルツインによるシミュレーション画面

 こうしたDatumixの取り組みは海外からも評価された。2020年には、オーストリアに本社を置くデータサイエンス企業のStartUs Insightsが、物流・サプライチェーン領域でデジタルツインやAIを手掛ける世界のスタートアップ135社を分析。その中から有望な4社のうちの1社として、Datumixを選出した。

 倉庫技術を探索していた日立製作所が、この英語の選出記事を発見し、Datumixに日本子会社(Datumix Japan)があることを知って連絡を取ったことが接点となり、日立製作所、そして日立物流(現ロジスティード)を交えた5年間に及ぶ3社共同プロジェクトへと発展した。 【次ページ】ヤマトやシャープらも参加した「次なる挑戦」
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報が
本メディアサイトに公開されます

基本情報公開時のサンプル画像
報告が完了しました

「」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報が
お相手に公開されます

基本情報公開時のサンプル画像