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ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド 提供コンテンツ

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  • 2026/10/02 掲載
AI時代に「選ばれ続ける企業」は何が違う? リコー×ベインが示す「3つの源泉」
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AI時代に「選ばれ続ける企業」は何が違う? リコー×ベインが示す「3つの源泉」

AI時代に持続的な差別化につながる要素とは何か──複合機・プリンタ市場の構造変化を見据え、リコーはデジタルサービスの会社として進化を続けてきた。一方、生成AIの急速な進展は、デジタルサービスの競争環境そのものを変えつつある。では、AI時代にも選ばれ続けるサービスとは何か。ベイン・アンド・カンパニーが1000本超のアナリストレポートを分析すると、「3つの共通点」が浮かび上がった。リコーの遠藤 早苗氏とベインの井上 真吾氏が、その正体をひも解く。

複合機を起点に事業領域を広げるリコー、次にたちはだかるAI

 コロナ禍を経てハイブリッドワークが定着し、オフィスの風景は大きく変わった。リコーソフトウエアビジネスユニット・プレジデントの遠藤 早苗氏によれば、複合機やプリンタの台数だけでなく、プリントボリュームも減少しているという。この傾向は今後も緩やかに続くと同社は見ている。

「プリントのボリュームやプリンタがこれから増えていくということではなく、減っていく中でも、どうやってお客さまに価値提供していくかを考えています」(遠藤氏)

 こうした市場環境の変化を受け、リコーが進めるているのが、複合機を起点に、より顧客の業務へ踏み込む事業への転換だ。ドキュメントの運用管理を支援するマネージドサービスやITサービス、業務プロセスを自動化するプロセスオートメーション、働く環境そのものを支援するワークプレイスエクスペリエンスへと価値提供領域を広げている。

 しかし、デジタルサービスへ軸足を移せば安泰というわけではない。生成AIによって、従来は個別のソフトウェアやサービスとして提供されていた文書要約や検索、議事録作成などの機能の一部も、AIが代替できるようになりつつあるからだ。

 では、AI時代にも代替されにくく、継続的に価値を生み出すサービスの条件とは何か? ベイン・アンド・カンパニーが1000本以上のアナリストレポートを分析すると、「3つのキーワード」が浮かび上がった。

 その内容を聞いた遠藤氏は「勇気をもらった」と語る。なぜなら、その3つはリコーが長年培ってきた強みと重なっていたからである。

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1000本超を分析、AIに代替されにくいサービスの「3条件」

 ベイン・アンド・カンパニーの井上 真吾氏が紹介したのは、いわゆる「アンソロピック・ショック」後に発行された1000本以上のアナリストレポートの分析だ。投資家や株式市場がどのような企業を評価したのかを調べたところ、AIに代替されにくいサービスを考えるうえで、3つのキーワードが浮かんだという。

「1つ目は固有のデータが蓄積されること、2つ目は顧客の業務に深く入り込んでいること、3つ目は物理的な介在があることです」(井上氏)

 第1の「固有のデータ」は、大量の情報を保有すればよいという意味ではない。たとえば毎回の会議を文字起こしして議事録を作るだけなら、汎用AIでも実現できる。一方、「どのような参加者で会議を行ったらうまくいったか」といった固有の情報が蓄積され、それをサービス改善へフィードバックできれば、汎用AIとの差別化につながる。

 第2は顧客の業務に深く入り込むこと、第3は現実世界との接点である。たとえば会議室のディスプレイやカメラ、センサーと連携し、物理空間の情報まで活用できるサービスは、デジタルだけで完結する汎用AIには代替されにくいと井上氏は見る。

 もっとも、この3条件を満たせば自動的に競争優位を築けるわけではない。重要なのは、こうした要素を実際のサービスへ組み込み、顧客価値につなげられるかである。

「その3条件、実はリコーの強みだった」

 この3条件を聞いた遠藤氏は、「まさにリコーが近年取り組んできたこと」と振り返る。生成AIへの巨額投資を続けるデジタルピュアプレイヤーと、AIそのものの性能や投資規模で競うのは容易ではない。しかし、顧客固有のデータ、複雑なワークフロー、物理的・人的な接点であれば、リコーが長年培った資産を生かせるからだ。

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顧客基盤・接点力・技術を生かし、ワークプレイス全体へ価値を拡張

「デジタルピュアプレイヤーが圧倒的に強く、AIへの投資規模でも事業会社が追いつけない中で、どう勝っていこうかと考えていました。固有のデータ、複雑なワークフローへの入り込み、物理的・人的な介在は、私たちのようなパートナーが一番価値を出せるところだと思います」(遠藤氏)

 この強みを象徴するのが、「紙とデジタルの間」に残る業務である。物流では荷物とともに紙が動くことがあり、金融や保険、教育、医療などにも紙を介する業務が残っている。

 重要なのは、単に「紙をなくす」ことではない。紙で届いた情報を取り込み、デジタルのワークフローにつなぎ、その先の業務まで含めて最適化することだ。同じ業界でも企業ごとに業務フローは異なり、標準的なサービスをそのまま導入するだけでは現場に合わない場合もある。

 つまり、紙そのものではなく、紙とデジタルが混在する複雑な現場を理解し、顧客ごとの業務へサービスを実装できることが強みになる。

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「暗黙知」を企業固有の価値に変える、リコーが描くAI活用戦略

 井上氏も、複合機などを通じてワークプレイスや顧客固有の業務を理解してきたことは、物理的な接点と固有データを組み合わせたサービスを設計するうえで有利な立場だと見る。

 一方で、強みを持っているだけでは競争力にならない。重要なのは、それを実際のサービスとして実装し、顧客へ提供できるかである。

リコーが試す「AIと会議する」未来、議事録作成のその先へ

 その挑戦を具体的にイメージできる取り組みの1つが、リコーが東京・品川の共創拠点「RICOH BIL TOKYO」で実践・検証している「AIと共にはたらく」会議環境だ。

 すでにAIを使えば、会議音声の文字起こしや議事録作成はかなり自動化できる。だが、遠藤氏が着目するのはその先である。会議では、声の大きい人の意見に全体が流されたり、同じ論点を掘り下げ続けたりすることがある。

「音声を文字に起こして議事録を作るだけではなく、AIが中身やコンテクストを理解すれば、『そろそろクロージングのディスカッションをするタイミングではないですか』といった支援もできるようになると思います」(遠藤氏)

 リコーでは、会議音声を取得して議論を構造化し、AIがディスカッションを支援する環境を試している。人間なら無意識に抑えてしまう発想まで含め、AIが多くのアイデアを提示する効果も期待できるという。

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音声認識から議論の構造化まで、AIが会議を支援する仕組み

 ただし、現時点で日常的な会議に広く導入されているわけではない。遠藤氏によれば、現在は特別な環境での取り組みであり、どの用途なら効率や議論の質を高められるのか、今後さらに検証が必要だ。場合によってはオーバースペックになる可能性もある。

 それでも、単なる議事録作成とは異なり、会議の内容や結果を蓄積し、業務プロセスや物理空間と結び付ければ、サービスの性質は大きく変わる。AIに情報整理や議論の発散を任せ、人間は最終的な意思決定に集中する。そこに新たな価値が生まれる可能性がある。

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AIが議論を構造化し、経営者は「最終的な意思決定」に集中

「データを全部整えてから」は不要? AI活用で重要な順番

 AIに代替されにくいサービスの条件として「固有データ」が挙がると、まず大量のデータを収集、整理しなければならないと考えがちだ。だが、井上氏はデータ整備そのものを目的化することに注意を促す。

 もちろん、AIが使える状態にするための環境整備は必要だ。企業によってはオンプレミス環境などにデータが眠り、活用できていないケースもあり、クリーニングが必要になることもある。

「データが蓄積されることでフィードバックループが回り、お客さまへの付加価値やサービスの価値が上がっていく。そのループを考えたうえで、必要なデータを整備するという順番が重要です」(井上氏)

 つまり、先に考えるべきなのは「そのデータを使って何を実現するのか」だ。目的を定めずにデータを整備しても、「ためただけ」で終わりかねない。

 一方、遠藤氏は、すべてのデータが整うまで待つ必要はないと見る。リコー自身にも、まだ掘り起こせていない情報や、十分にクレンジングされていないデータはあるという。

「私たちもまだ模索しているところは多くあります。ただ、すべてのデータを掘り起こして整備してから始めるより、今あるデータからでも始めていったほうがいいと考えています」(遠藤氏)

 井上氏が「何のために整えるのか」という目的からの逆算を求める一方、遠藤氏は「すべてが整うまで待つ必要はない」という実践的な考えを示している。重要なのは、データを整えること自体ではなく、顧客価値を高める循環を回せるかどうかである。

「PoCするそばから陳腐化」、最後に選ばれるパートナーの条件

 AI時代に企業を悩ませるもう1つの問題が、技術進化の速さだ。遠藤氏は、日本企業では新技術が登場した際、既存業務への影響が小さい周辺領域からボトムアップで試すケースが多いと指摘する。

 しかもAIの場合、その間にも技術が進化してしまう。

「AIの進化が速すぎて、PoCをやるそばから少し陳腐化してきてしまうことがあります」(遠藤氏)

 さらにPoCまでは進められても、本格導入の段階では別の壁がある。日々のサポートや運用を任せ、長期にわたって業務を預けられる相手が必要になるからだ。

「お客さまはPoCまでは進められても、業務を預けようとすると、そこから先の経営判断になかなかいかない。伴走できるパートナーが、実は少ない環境なのです」(遠藤氏)

 だからこそ遠藤氏は、固有データ、複雑な業務、物理的・人的な介在という3条件に加えて、顧客の業務を理解し、運用まで伴走しながら、技術の進化とともにサービス自体を変え続けることが重要だと語る。

 井上氏も、AIによって情報収集や分析のスピードが上がる一方、戦略コンサルティングの価値は「クライアント企業の意思決定の確度を高めること」にあると説明する。さらに、市場や技術の変化に合わせて軌道修正し、成果が出るまで伴走する部分は、AIに完全には置き換えられないと見る。

 AI時代に選ばれ続けるサービスとは、単に「最新のAIを使っているサービス」ではない。固有データ、業務への深い組み込み、物理的な接点を生かし、顧客への付加価値を継続的に高められるかが問われる。

 AIの性能が急速に一般化していくからこそ、企業が長年築いてきた顧客との接点や業務理解には、改めて価値が生まれる可能性がある。ただし、その資産を持っているだけでは足りない。それをAIと結び付け、使われるサービスへ変え、進化させ続けられるか。リコーの挑戦は、AI時代に既存企業がどう戦うかという問いを映している。

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