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- 2023/09/27 掲載
「電動キックボード不要論」に欠けている視点、「特定小型原付」の種類やメリット
改正道路交通法で導入「特定小型原付」とは
2023年7月、改正道路交通法の施行によって導入された「特定小型原付」とは、車体寸法が全長190cm×全幅60cm以内、定格出力0.6kW以下のモーターを積む電動車で、最高速度は20km/hに制限されている。16歳以上であれば運転免許不要で乗ることが可能だが、2人乗りや飲酒運転は禁止で、ヘルメット着用は2023年4月からの自転車同様、努力義務となる。走行場所は車道左端が原則で、自転車道がある場合はそこも走れる。
法改正ではさらに、「特例特定小型原付」という車種も規定している。こちらについては、「自転車などが通行できる道路標識などがある歩道では、車道の通行が危険であると判断した場合などに、歩道を通行することができる」と明記されている。車両には「最高速度表示灯」の装備が義務付けられていて、歩道を通行している間はこれを点滅させ、その間は6km/hを超える速度が出せない構造になっていると定められている。
では、なぜ特定小型原付が生まれたのか。それは、これまで電動キックボードにふさわしいカテゴリーがなかったことが大きい。
従来は、定格出力0.6kW以下については原付、0.6kWを超える場合は自動二輪などとしていたが、シェアリングの実証実験車両は小型特殊自動車だった。
シェアリングの実証実験車両が小型特殊になったのは、ヘルメット装着が任意となることが大きいと筆者はみているが、その代わり最高速度は、原付の30km/hに対し15km/hになり、交差点では原付では求められる二段階右折が不要で、自動車と同じ曲がり方になるなど、違いがいくつかあった。
その点、特定小型原付は単一のルールとなっただけでなく、自転車に近い内容になっている。しかも自転車で問題になっている、本来は徐行となっている歩道にスピードを出した状態で入ってしまうという危険を法律で制限するなど、安全性にも配慮した姿勢を感じる。
特定小型原付=電動キックボードだけではない
とはいえ、多くの人にとっては利用したことのない乗り物であることに加え、違反や事故が相次いでいることから「日本に電動キックボードは不要」という意見も見かける。筆者はこれだけ世界各地で普及している乗り物を日本だけ排除するのは違和感があると思っているが、もう1つ、特定小型原付の導入に賛同する理由がある。簡単に言えば、特定小型原付=電動キックボードではないからだ。自転車や電動車いすなども含まれるパーソナルモビリティの一種と見るべきなのである。
事実、特定小型原付を定めた改正道路交通法では、電動キックボード「等」という表現になっているうえ、車体寸法やモーターの出力などの規定はあるものの、タイヤの数に関する決まりはない。乗車姿勢についてもしかりで、着座型でも問題なさそうだ。 【次ページ】ホンダ発スタートアップが3輪特定小型原付を実現
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