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- 2023/12/12 掲載
「絶対にやってはいけない」建設業の働き方改革、企業が陥りがちな“落とし穴”とは
社会保険労務士・行政書士浜田佳孝事務所代表。Hamar合同会社代表社員。法学部出身でありながら、市役所の先輩や土木施工管理技士である父親の影響を受け、土木技術の凄さに興味を持ち、研鑽を積む。そして、市役所勤務時代には公共工事の監督員として、道路築造工事や造成工事などの設計・施工を担当した実績を持つ。
現在は、「建設業の現場を経験した」社会保険労務士・行政書士として、建設業の労務管理・建設業許可・入札関係業務を主軸に、建設業の働き方改革・安全衛生コンサルティングを始めとした「現場支援」業務を行ってる。また、商工会主催の「建設業の働き方改革セミナー」を開催し、働き方改革に関する多くの相談を建設業者などから受けている。
著書に「 最新労働基準法対応版 建設業働き方改革即効対策マニュアル」がある。そのほか、中小企業の建設業の経営者に向けた YouTubeチャンネルを開設し、建設業界に関係する最新の知識やお役立ち情報などを日々発信している。
従業員を縛る「ワンマン経営」には要注意
目前に迫る「建設業の2024年問題」に対して、なぜ建設業の働き方改革は進まないのでしょうか。1つ目に挙げられるのが「ワンマン社長」による会社経営です。建設業の社長は、これまで事業を自分の手で成功させてきた実績があることから、自信に満ちあふれており、社長自身の個の能力が高い傾向にあります。
そうした背景から、現場の従業員などからは、「社長が色んなことを全部決めてやっているので、自分たちには選択権がない」といった声をよく耳にします。
働き方改革では、従業員の時間外労働を減らすことが求められるため、従業員の抱えている業務量や、その従業員が普段どのような段取りで、どういった姿勢で業務を行っているのかを知る必要があります。
そして、従業員の能力・得手不得手などによって、適材適所の人員配置を行い、業務量を適切に配分するということも求められるでしょう。こういった施策を行うためには、社長が従業員と同じ目線で物事を考えることができるか、といったことも重要なポイントとなります。
そのため、前提条件として、従業員との間に知識や経験など、大きな能力差があることは当たり前、ということを理解しておく必要があるのです。この理解ができていないと、「全員使えない」といった判断をしてしまう可能性もあるのです。
なぜ、こういった当たり前のようなお話をするのかと言うと、労働者の仕事に対する「やる気」が、そのまま業務効率化につながることも多いからです。
このやる気を上げていくためにも、それぞれの従業員が考えていることや持っている能力、得意なこと、苦手なことなどを社長自らが把握しておかなければなりません。自身と同じ能力を求めたり、ワンマン経営に陥ったりせず、従業員の意見に常日頃から、耳を傾ける姿勢を持っていることが結果として事業全体をよくするのです。
漠然としたスローガンは現場の混乱を招く
続いて、建設業の働き方改革をすぐに実現したいという焦りから、組織全体に意図が浸透しないことも非常に大きな問題として挙げられます。よくあるのが、「時間外労働を減らそう」という漠然としたスローガンを掲げただけで、後は各々の部署や人にお任せといったパターンです。現場の声としては、「いやいや、今の仕事で手一杯なのに、どうやって労働時間を減らすんだよ……」という話をよく聞きます。
ほとんどの企業において、毎日時間が有り余っているような人がたくさんいることなど、まずないでしょうから、従業員は、それぞれの仕事をこなすのに手一杯になっています。
その上で、「時間外労働を減らすために努力をしてほしい」と言われても、各々の努力だけでは何ともならないものです。上記のような企業では、普段の業務も従業員が連携/協力できていないことが多く、その結果、ムダな作業が発生しているということもよくあります。だからこそ、働き方改革に取り組むといった際には、最初に「組織全体で話し合う」ということが大切になります。 【次ページ】勝手なシステム導入はかえって「時間のムダ」
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