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- 2024/05/09 掲載
自動化しないほうがリスクの時代…オートストア・オカムラ語る、製造業の未来
前編はこちら(※この記事は後編です)
絶好調のロボット自動倉庫「AutoStore」
2024年4月16日に、オートストアは東京都港区の同社オフィスにて会見を開いた。会見にはオートストアの安高 真之氏、オートストア バイスプレジデント兼グローバルアカウントマネージャー デイビッド・クリア氏、さらに販売代理店パートナーであるオカムラの飯寺 亮介氏も同席し、最新の企業導入事例を紹介し、AutoStore活用についてPRした。欧米でオートストアは絶好調だという。同社はノルウェー生まれの会社。1996年に、自社倉庫のために開発された。外部への販売を開始したのは2005年で、2012年頃から大きく成長し始め、2020年には30カ国500システムをインストールした。2024年現在のシステム導入数は1400。54カ国で使われており、ロボットの総数は6万4500を超えている。各国に代理店を設けて販売をしており、2017年~2023年のCAGR(年平均成長率)は42%を達成している。
改めて紹介すると、AutoStoreは5つのモジュールで構成されている。
- アルミニウム製で格子状に組まれたグリッド
- 『ビン』と呼ばれるコンテナ。3種類から選択できる
- システムのコントローラー
- グリッド最上部のトラックを動き回り、ビンの上げ下げを行う移動ロボット。複数種類がある
- 入庫・出庫を行うステーションであるポート。同じく複数種類がある
いずれも基本的な要素から構成されており、「小さな規模から大きな規模まで、(プラスチック製)ブロック玩具ブロックのように自由に拡張可能」だ。
クリア氏は「数千年前から、モノを貯蔵する方法は基本的にそれほど変わっていない」と語った。たしかにそのとおりである。一方、物流においてはさまざまな変化が起きている。その変化に対応する上で、諸問題が生じる。たとえば、倉庫のスペース不足や労働力の値上がり、労働者不足といった課題だ。最終あるいは中間の顧客からの期待や要望も変化している。
物流倉庫の自動化は「成長市場」
ギュッと詰められたグリッドのなかにモノを収容し、ロボットを使って出庫するAutoStoreは、特に容積効率を上げることができるソリューションとして知られている。ただ、それだけではなく、クリア氏はオートメーションにおいては「長期的ソリューションであることが重要」だと述べた。「同じ技術を使って、長期的にも成長できることが重要だ」という。「現時点の自動化技術で解決できることがあったとして、5年後、あるいは10年後でも大丈夫なのか。自動化技術も進むし、社会状況も変化する。そのリスクに対応できるのかと考える必要がある」と指摘した。
物流倉庫の自動化導入は、オートストア調べでは、まだ2割程度にとどまる。つまり、若い市場であり、まだまだ成長の余地がある。実際、多くの倉庫ではまだまだ人手が使われている。だが長期的にサプライチェーンで起こるリスクに備え、顧客期待や労働力状況の変化に対応するためには自動化技術が必要だ。
そして、現場オペレーションで最も問題になるのは信頼性だ。クリア氏は「AutoStoreと似たソリューションを提供する会社はほかにもある。だが高度な信頼性には自信を持っている」と胸を張った。 【次ページ】自動化しないほうがリスクの時代
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