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  • 2022/11/18 掲載

「Unity」「Unreal Engine」とは? 2大ゲームエンジンの仕組み・活用事例を徹底解説

連載:デジタル産業構造論

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ここ数年、産業領域における先端技術の活用が進み、従来のオペレーションの効率化やビジネスモデルの変革が急速に進んでいる。そうした進歩をさらに加速させる技術として、現在コンピューターゲームを動かすためのソフトウェアである「ゲームエンジン」に注目が集まっている。ゲームの技術であったゲームエンジンが産業領域に大きな変革をもたらそうとしているのだ。本記事では、『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)の内容の一部に加え、本記事のために追加した内容をもとに、『ポケモンGO!』に採用されている「Unity」、『フォートナイト』に採用されている「Unreal Engine」といった世界の2大ゲームエンジンの特徴、ゲームエンジンの産業界の活用事例を1万5000字にわたって徹底解説する。

執筆:JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ 小宮昌人

執筆:JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ 小宮昌人

JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ プリンシパル/イノベーションストラテジスト、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員。

日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所を経て現職。22年8月より官民ファンド産業革新投資機構(JIC)グループのベンチャーキャピタルであるJICベンチャー・グロース・インベストメンツ(VGI)のプリンシパル/イノベーションストラテジストとして大企業を含む産業全体に対するイノベーション支援、スタートアップ企業の成長・バリューアップ支援、産官学・都市・海外とのエコシステム形成、イノベーションのためのルール形成などに取り組む。また、22年7月より慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員としてメタバース・デジタルツイン・空飛ぶクルマなどの社会実装に向けて都市や企業と連携したプロジェクトベースでの研究や、ラインビルダー・ロボットSIerなどの産業エコシステムの研究を行っている。

専門はデジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。

近著に『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)があり、2022年10月にはメタバース×デジタルツインの産業・都市へのインパクトに関する『メタ産業革命(仮)』(日経BP)を出版予定。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。

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図表1:ゲーム・コンテンツ産業と、産業・都市領域の融合が進んでいる。その中核技術に「ゲームエンジン」がある
(出典:拙著『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』より作成)



ゲームエンジンとは

 ゲームエンジンとは、ゲームのソフトウェアにおいて、3D描画処理や物理演算、サウンド入力といった共通して用いられる主要な処理を代行して効率化するソフトウェアであり、昨今のゲーム開発においては広く活用されている。ゲームを開発する際、ゲーム内におけるあらゆる処理を1から作りこもうとすると工数がかかるが、これら処理をゲームエンジンを活用することで、開発工程は大幅に削減できる。

 代表的な例が、『ポケモンGO!』など幅広いゲームで活用されている『Unity』と呼ばれるゲームエンジンや、世界的なゲームフォートナイトを展開するEpic Games社が展開している『Unreal Engine』などだ(『Unity』『Unreal Engine』については、後ほど詳しく解説する)。

ゲームエンジンが注目される理由

 ゲームエンジンに注目が集まっている背景には、近年、産業領域で活用が進む「メタバース」と「デジタルツイン」と呼ばれる技術が関係している。

 メタバースとは、「アバターを介して相互交流することができる3次元仮想空間」を指す。メタバースの例としては、バーチャル空間上で複数人が自分のアバターを介して共同作業ができるようになる、メタ(旧フェイスブック)が提供している「Meta Horizon Workrooms」などが挙げられる。

 一方、デジタルツインとは、現実世界に存在する“物体”にそっくりな物体をデジタル空間上に再現し、可視化やシミュレーション、機器の制御などの最適化などに活用するための技術を指す。たとえば、建築物の設計3Dデータとともに、センサーから収集した情報を基に、デジタル空間に本物そっくりな建築物を再現し、建設工程のシミュレーションなどが行われているが、それらに活用されている技術がデジタルツインだ。

 重要なのは、この2つの技術が融合・補完しあうことによって、産業・都市に大きな変革をもたらすことができるようになってきている点だ。そうした、メタバース・デジタルツインを活用した変革を「メタ産業革命」と呼ぶ。そして、このメタ産業革命の実現において重要な役割を担うのが、ゲームエンジンというわけだ。

 具体的に、どのように「メタバース」「デジタルツイン」「ゲームエンジン」が交わるようになってきたのだろうか。

融合が進む「ゲームの技術」と「産業界の技術」

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メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP/小宮昌人著)
本書は60を超える事例を通じて、さまざまな産業・都市でのメタバース×デジタルツインの融合による「メタ産業革命」のインパクトについて解説している
 従来から、イノベーションがゲーム・コンテンツ領域から先に生まれて、産業・都市領域へ応用されるといったケースは多く見られた。近年は、メタバースやデジタルツインを融合した技術の活用が産業領域で進む中、ゲーム・アニメ・コンテンツ領域において活用されてきた技術と、産業・都市領域の技術の垣根も低くなってきており、技術がゲーム領域から産業領域へ(その逆も)といった流れがより直接的につながるようになってきている。

 具体的には、規制や既存の商慣習などに縛られないゲーム・コンテンツ領域で誕生した技術が、スパンの長い取り組みとなる産業・都市領域の取り組みを引っ張り、一方で産業・都市での取り組みがゲーム・コンテンツにフィードバックされるという関係性になってきているのだ。

 また、人材面においても、ゲームエンジンや3Dクリエイターが産業・都市の領域において重宝され、活躍するケースも増えてきている。

どう交わる?「デジタルツイン」「メタバース」「ゲームエンジン」

 これまでも産業領域では、3D設計データやIoTのセンシングデータに基づくデジタルツインの活用が進んできた。下図が製造業や建設業、インフラ管理、農業、スマートシティ・都市におけるデジタルツイン活用の一例だ。

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図表2:産業・都市におけるデジタルツイン活用例
(出典:拙著『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』)

 近年は、これらデジタルツインの技術進化に加え、メタバースやゲームエンジンといった技術が融合することによって、産業・都市の3D活用が加速している。デジタルツインの進化の過程としては下図の通りだ。

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図表3:デジタルツインの進化と、メタバース・ゲームエンジンとの融合の過程
(出典:筆者作成)

 デジタルツインの進化の流れと、その流れにメタバースやゲームエンジンの技術が融合していく過程としては、まず先述の通り(1)デジタルツインが登場しあらゆる産業での活用が進みつつある。こうした中で、(2)DAPSA(ダッソー・アンシス・PTC・シーメンス・オートデスクの頭文字をとった筆者による造語)と呼ばれる大手デジタルツインプレイヤーによる買収を背景に、プレイヤーの集約が進んでいった。

 こうして誕生した巨大な大手デジタルツイン企業は、製造業をはじめ、建設業、スマートシティ、モビリティなど、幅広い領域で統合的にデジタルツインサービス展開している。一方、大手総合系デジタルツイン企業との差別化を図るべく、特化型・低価型のデジタルツインサービスの展開を行う企業も出てきている。

 こうした中、現在、(3)企業があらゆる目的で活用しており個別化している複数のデジタルツインを統合的に管理・シミュレーションをしようとする動きが進んでいるとともに、3D活用が誰の手にも届くような民主化が進んでいるそして、これらを実現するミドルウェアとして「統合UI基盤」を構築しようとする動きが出てきており、その基盤構築を支える技術としてゲームエンジン、そしてより高度なシミュレーションを支える技術としてメタバースが関係してくる。

 後述する『Unity』と『Unreal Engine』といったゲームエンジンや、NVIDIAが展開している仮想空間の開発プラットフォーム「NVIDIA Ommniverse Enterprise」がそのミドルウェアにあたる。これら技術によりユーザーは、既存の3Dライブラリや複数のデジタルツイン、データをつないで統合し3D環境を構築することができるようになってきている。

 また、メタバース技術を取り入れることにより、シミュレーションは高度化しており、たとえば、シミュレーションできる対象が製品・建物・設備などだけから、人や社会活動などに範囲が拡大しているのだ。

 ここからは、主要なゲームエンジン『Unity』と『Unreal Engine』の特徴と、それぞれがどのように産業で活用されているかについて、詳しく解説していく。

【次ページ】『ポケモンGO!』に採用されているゲームエンジン『Unity』、『フォートナイト』に採用されるゲームエンジン『Unreal Engine』をまとめて解説

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