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- 2025/05/02 掲載
西武新宿線から「あの特急」が消える理由、乗客を奪った“ライバル鉄道会社”とは?
連載:小林拓矢の鉄道トレンド最前線
西武鉄道内の格差、池袋線と新宿線の違いとは?
西武鉄道は、2025年3月14日の旅客運賃改定を発表したが、その中で西武新宿線の「沿線価値向上」を掲げた。具体的にはどのように沿線価値向上を目指すのだろうか。そもそも西武鉄道には池袋線系統と新宿線系統、大きく2つの系統はあるが、池袋線系統の沿線価値が高く、新宿線系統はそうではないという状況が続いていた。新車などは池袋線から導入され、地下鉄の直通も池袋線からという現状がある。
当然、新宿線も沿線の状況を向上させていく必要がある。たとえば、中井~野方間の地下化(地上にある線路を地下に移す工事)や、東村山付近や井荻~西武柳沢間の高架化事業(地上にある線路を高架線に移す工事)を進められれば、地上にある31カ所の踏切を除却することができ、周辺環境を改善できるだろう。また、西武新宿駅に新宿駅へまっすぐ歩いて行ける地下通路を設けようという計画も検討されている。
このように、同一会社内での「沿線格差(池袋線と新宿線)」の状況を解消しようと取り組んでいるのだ。
消えそうな…西武新宿線の特急「小江戸号」とは?
そうした取り組みの中で、西武新宿線では特急「小江戸号」に使用されている10000系「ニューレッドアロー」を、座席指定制のライナー型車両に置き換え、停車駅など運行形態を変更しサービスを刷新すると発表した。2026年度中に運行開始することを予定しており、柔軟な運行形態や着席機会の拡充など、サービスを向上させようとしている。もともと、特急「小江戸(西武新宿・本川越)」は1993年12月に通勤などの利用をターゲットに導入されたものであり、使用されていた車両自体は、当時の池袋線の特急車両と同じであった。
時代は流れ、2019年3月、新型特急車両001系「Laview(8両編成で、7両編成の10000系ニューレッドアローより1両多い)」の導入により、小江戸号は、まず池袋線系から撤退することになる。その後、新宿線系では運行を継続していたが、先日の発表により2026年には「ライナー型車両への置き換え」と「運行形態の変更」が決定されたわけだ。
なお、当時、鉄道ファンの間では、「西武新宿線の終点・本川越駅の特急専用ホームは7両編成までしか対応していないにも関わらず、特急・小江戸号の代わりに8両編成の『Laview』が投入されることになったら、どうなるんだろう?」といったことが話題となっていた。短編成の「Laview」を開発するのか、まったく新しい車両をつくるか、さまざまな憶測が飛び交ったが、結果としては、座席指定制のライナー列車を運行する、ということで落ち着いた。
西武新宿線を走っていた小江戸号は、なぜこのタイミングで“特急”としての役目を終えることになったのか。背景には、あるライバル会社の存在も関係しているようだ。
小江戸号は使われない?乗客を奪ったライバル沿線はどこ?
あらためて西武特急が置かれた状況を整理しておきたい。まず、西武新宿から本川越まで47分程度かかる。ただ西武新宿駅は、新宿駅と離れており、ターミナルとしては使いにくい。そのため、高田馬場から西武新宿線に乗り換える人も多い。
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