- 2026/02/03 掲載
パナやシャープも震える…ダイソンと「掃除機王者」争うシャークが大逆転した“真因”(2/3)
新連載:家電で読むメーカー戦略図鑑
シャークニンジャの快進撃が始まった“必然”
シャークニンジャが最初に活路を見いだしたのは、同年9月に発売したハンディ掃除機「EVOPOWER」シリーズだった。それまでハンディ掃除機というと、ずんぐりむっくりしたフォルムであったり、スティック掃除機から延長パイプとヘッドを取り外したようなスタイルというのが一般的だった。しかしEVOPOWERシリーズはスリムでスタイリッシュなフォルムと充電のしやすさ、アタッチメントの豊富さや収納のしやすさも相まってヒット商品となった。
「スリムだけどパワーがあってしっかり吸えるところが非常に受けて、導入から3カ月くらいでハンディ掃除機カテゴリーでシェア1位になりました」(長瀬氏)
EVOFLEXも日本市場参入に向けて綿密なリサーチを行い、日本の家庭50世帯で約6週間にわたる試用テストを3回実施して発売に至ったのだが、結果は決して芳しいものではなかった。
一方のEVOPOWERシリーズはグローバル市場向けの製品として米国で設計されたが、米国市場では振るわず、日本市場では大ヒットとなった。現在、シャークは国内のハンディ掃除機市場で約7割ものシェアを占めているという。
大きくて重くて音がうるさくてもパワフルな掃除機を求める米国と、パワフルさよりも軽量コンパクトさと静音性を求める日本で同じものづくりが通用するはずもない。そこで日本の家庭環境に合った、日本のユーザーが求める製品を一から作る開発プロジェクトがスタートし、2020年8月に「EVOPOWER SYSTEM」シリーズが誕生した。
「EVOPOWERが非常に売れていたので、そのスタイリッシュなデザインやワンタッチで使いやすい利便性などを継承しながらEVOPOWER SYSTEMのデザインに生かしていきました」(長瀬氏)
強いダイソン、国内大手は軽さ競争…シャークがやったこと
日本市場ではダイソンのブランド力が高い上に、国内大手メーカーはシャープや日立、東芝などが「軽さ」を競い合っており、競合他社がひしめき合っている。そんな中でどのように差別化を図っているのだろうか。「競合分析などはしますが、競合がこの機能を入れているから当社も入れる、という考え方は基本はしません。ユーザーにどのような困りごとがあり、それを解決するためにはどうしたらいいかを考えて製品作りをしています」(長瀬氏)
その一例が、2019年6月に発売した「EVOPOWER Plus」だ。これはハンディ掃除のEVOPOWERに「フローリング用延長ノズル」が付属することで、フロア掃除もできるというものだ。スティック掃除機はブラシがモーターで回転するモーターヘッドを搭載するのが主流のため、EVOPOWER Plusはあくまでも“ハンディ掃除+α”といったところだが、ワンルームなどで1人暮らしする若者などにはぴったりだろう。
シャークニンジャは製品開発に向けて、自社製品や競合他社製品のユーザーの家庭に訪問し、掃除方法を実演してもらいながら掃除の困りごとなどをヒアリングしている。
「発売前の製品を使っていただいて、そのフィードバックを基に製品を改良するといったことも行っています。ハンディ掃除機の調査をしているときに、『机の上などを掃除するのは便利だけど、子どもを背負っているときに床を掃除するのが大変』という声をいただきました。そこからフローリング用延長ノズルが付属するEVOPOWER Plusが生まれました」(長瀬氏) 【次ページ】パナソニックの一歩先を読んだ──シャークが作った“新基準”
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