• 2026/04/01 掲載

悪口だらけ・3割退職…愛知の町工場&三重の運送会社が大復活「常識外れの人材戦略」(2/2)

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【カワキタエクスプレス】3つのルールで「3割超」退職

 カワキタエクスプレスは、三重県亀山市に本社を置くトラック運送会社。トラック輸送や国内外の引っ越し、国際物流などを手掛ける。若手ドライバーの育成や働き方改革にも積極的に取り組み、物流業界のイメージ刷新を目指している。自動車工場や宅配便配達などを経験した後、同社を立ち上げた代表取締役社長の川北 辰実氏はこう語る。

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カワキタエクスプレス 代表取締役社長 川北 辰実氏

「“運ちゃん”ってガラが悪いし怖いし、夢も希望もないなと思っていたんです。しかしある時、この仕事がなければ世の中が止まると気付きました。排ガスをまき散らす、交通事故を起こす、渋滞を起こす、ドライバーの柄が悪い──これらを全部逆転させたら、ひょっとすると世の中を変えられるんじゃないかと思ったんですね」

 2007年、川北氏は当時の年商規模の投資をして社屋を建てた。目指したのは輸入車を扱っているような会社のイメージだったという。そして高校新卒者を採用するため、歩合制から月給制への転換に踏み切った。

 しかし最初に行った改革では、大きな痛みを経験したという。「名札をつける」「脱いだ靴をそろえる」「携帯電話はイヤホンで話す」この3つのルールを導入しただけで、「何を小学校みたいなことをやらせるんだ」と反発が起きたという。

 半年ほどでナンバー2、ナンバー3を含む8人が辞めた。当時の社員は20数名。約3分の1を失ったことになる。

 しかし川北氏は「僕はみんなが働きやすく、みんなが幸せになるためにはこの方がいいと思ってやってるわけですよ。きっと理解してくれると思ってやってきた。今では残った社員が後輩に『うちの会社はこうだから』と教えてくれる。それだけでも孤独感はないかなという感じにはなりました」と語った。

【カワキタエクスプレス】働き方を変えた「360度評価」とは

 そんなカワキタエクスプレスでは360度評価を導入。評価項目には「安全運転」などの業務項目に加えて、「利他力」「思いやり」「人間力」といった項目が並ぶ。川北氏は「どういう人たちと一緒に働きたいか、どういうドライバーだったらいいのか、結局のところ人としてどんな人と一緒にいたいかを考えました」と説明する。

 守島氏から「ドライバーさんの働き方を変えることがビジネスとして利益を上げることになるというその信念はどこから来たのですか?」と問われた川北氏は、品質へのこだわりを熱弁した。

「100個の荷物を運ぶ時、お客さまが『ただ積んでくれたらいい』って言ったとしても、うちは必ず100個数えるんです。段ボールに傷がついていると返品になってしまうんです。なので、箱が崩れていないかも検品します。でも、これって、お客さんからしたら当たり前のことですよね。でも他社さんができていないので、『川北さんのところはすごいね』って言ってもらえるんですよ」

 2024年問題での運賃値上げ交渉でも、品質の高さが武器になったという。

「お客さまには『おたくのところは品質が高く、ちゃんと運んでくれるから値段を上げてもいいけど、それなくなったら駄目だよ』と言われました。利益面での課題は、理念に合わない社員が辞めていくことによる稼働率の低下ですが、それでも業界を良くするために信じるしかないです」(川北氏)

 カワキタエクスプレスでは、フェラーリの赤をイメージした真っ赤なトラックを導入している。既存のドライバーには敬遠されがちだが、新しく入ってくる若手には人気だという。


「見られてますよね。目立った車には乗れないという人もいますが、新しく入ってくる子たちはその車に乗りたくて来るので、当然行動が変わるんです。運転中の喫煙禁止や輪留めの徹底など、細かいことができて当たり前になり、愚痴や不平不満も随分減りました」(川北氏)

【カワキタエクスプレス】賞与を「年6カ月出したい」

 そんな川北氏の展望は「賞与を年間6カ月ぐらい出したい」ことだという。同氏は言う。

「大手の製造業はそれぐらい出しています。そこまで出したいのですけど、うちのような20、30人規模の会社では無理なんですよね。だから規模を大きくしないといけない。トラック100台が1つの目標です。しかし規模拡大は誰でもいいわけではありません。今求める人材の層を増やすことが大前提です」

 そんな川北氏は社長自ら作詞した楽曲をYouTubeやApple Musicで配信し、SNSやポッドキャストでも情報を発信しながら、若い世代に運送業の魅力を伝え続けている。

 最後にモデレーターの藤井薫氏(インディードリクルートパートナーズ HR統括編集長)は、イキイキという言葉に込められた意味を問い直した。

「心意気、息が弾む、粋。イキイキというオノマトペの中に大事なものが入っていると感じました。粋という漢字は“自分に心”と書きます。お2人ともハートドリブン経営で、心を真ん中に置いて、1人ひとりが自ら動ける職場を作っていますね」

 理想と現実のギャップに向き合い続ける2人の経営者の言葉は、イキイキする職場づくりの本質を示していた。

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