- 2026/05/07 掲載
【IBMも決断】学歴フィルターが逸材を全員追い返していた…人材獲得の“新常識”
デロイトトーマツコンサルティングでの14年間のコンサルティング業務において、さまざまな業界の大手企業から官公庁、自治体まで、のべ120社(団体)500万人の人材マネジメントを支援してきた“人事戦略のプロ”。独立・起業後も、大手電力・製薬・素材業や金融業等にて人事・組織改革、新規事業創出、業務効率化の戦略策定から実行・伴走支援まで幅広く手掛ける。経済産業省・IPAへの、デジタルスキル標準策定の支援経験もあり、デジタル時代の人材・リスキリング分野に特に強みを持つ。
「優秀な人材」は市場から消えてしまったのか?
採用活動のピークシーズン、深夜のオフィス。デスクに積み上げられた履歴書の山を前に、採用管理ツールの画面を見つめながら深いため息をつく……。「優秀な人材が、どこにもいない」これは、私がコンサルタントとして接してきた、多くの経営者や人事担当者が抱える切実な悩みです。
「せっかく採用しても、現場から『期待外れだった』と言われてしまう」
「期待の若手が、わずか半年で辞表を持ってくる」
少子高齢化による労働力人口の減少は、もはや避けられない構造的な問題であり、採用市場における「椅子取りゲーム」は激化の一途を辿っています。有効求人倍率は高止まりし、かつてのように「待っていれば人がくる」時代は完全に終わりました。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
本当に、「いい人」は市場から消えてしまったのでしょうか?
世界中から才能が枯渇してしまったのでしょうか?
おそらく、そうではありません。才能はいたるところに存在しています。ただ、私たちが見つけられていないだけです。
皆さんの会社の採用活動を、少し振り返ってみてください。
新卒採用の現場では、エントリーシートの「大学名」を見た瞬間、無意識に期待値を上げたり下げたりしていませんか? 面接室のドアが開いた瞬間、「なんとなく元気がない」「服装のセンスが合わない」といった「印象」で、その人を評価してはいませんか?
もし心当たりがあるとすれば、皆さんは「欲しい人材」に出会える扉を自ら閉ざしてしまっているといえるかもしれません。
従来型採用の限界…無視できない機会損失リスク
従来の採用手法は、学歴や職歴、年齢といったわかりやすい「ラベル」で人を判断する傾向がありました。これは、ある意味仕方のないことでもありました。膨大な応募者を効率的にスクリーニングするために、ラベルは便利なフィルターだったからです。
日本的なメンバーシップ型採用では、「新卒」「有名大学」「体育会系」といったラベルが、組織への順応性やポテンシャルを保証する代理指標として機能してきました。しかし、その見極めはきわめて属人的です。「彼ならウチの空気に合うだろう」という直感は、往々にして「自分たちと似た人間」を選んでいるにすぎないというバイアス(偏見)を含んでいます。
一方で、ジョブ型採用の導入を進める企業も、新たな罠に陥っています。「即戦力」を求めるあまり、職務記述書(ジョブディスクリプション)に「競合他社での同一職種経験」を必須条件として書き込んでしまうのです。要件は明確ですが、過去の経験に固執するあまり、変化の激しい現代においては、その経験自体がすぐに陳腐化してしまうリスクがあります。また、「業界経験必須」という壁は、異分野で優れたスキルを磨いてきた、革新的な視点を持つ人材を門前払いすることになります。
このように従来の採用手法は、候補者が「過去に何をやってきたか(What)」や「どこに所属していたか(Where)」という履歴(ログ)に注目するあまり、その人が「今、何ができるのか(How)」、そして「将来、何を学び、どう化けるのか」という本質的な能力(ポテンシャル)を見落としてしまうリスクを孕んでいます。
この限界を打破するのが、「スキルベース組織」の考え方に基づいた「スキルベース採用(Skills-based Hiring)」です。 【次ページ】世界的に急速な広がりを見せる「スキルベース採用」とは
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