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- 2026/05/12 掲載
「巻き込み力って何!?」B評価に打ちひしがれた社員を救う「スキルベース評価」具体例
デロイトトーマツコンサルティングでの14年間のコンサルティング業務において、さまざまな業界の大手企業から官公庁、自治体まで、のべ120社(団体)500万人の人材マネジメントを支援してきた“人事戦略のプロ”。独立・起業後も、大手電力・製薬・素材業や金融業等にて人事・組織改革、新規事業創出、業務効率化の戦略策定から実行・伴走支援まで幅広く手掛ける。経済産業省・IPAへの、デジタルスキル標準策定の支援経験もあり、デジタル時代の人材・リスキリング分野に特に強みを持つ。
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何十年も解決されない「納得できない評価」問題
「評価」と「処遇(給与・賞与)」。組織で働く人々にとってこれほど関心が高く、そして同時に、不満の温床となりやすいテーマもないでしょう。
皆さんの会社では、評価の時期になると、フロアの空気が少し重くなったり、チャットツールの反応がどこかぎこちなくなったりすることはないでしょうか。
半期に一度訪れる、あの「重苦しい密室」の光景を、部下の内面(心の声)にフォーカスしながら覗いてみましょう。
とある中堅企業の評価面談室です。夕暮れ時、ブラインドの隙間から西日が差し込んでいます。
上司:「Bさん、今期もお疲れ様。定量目標の達成率は110%。数字としては素晴らしい成果だね」いかがでしょうか。
部下B:「ありがとうございます。(よし、この反応ならいける。今期こそはS評価、悪くてもA評価は堅いはずだ。昨晩、妻にも「今回は期待してて」と言ってしまったしな……)」
上司:「……ただ、昨日の全部門評価調整会議での議論の結果、今回の総合評価は『標準(B評価)』となった」
部下B:「えっ……? 目標は達成しましたし、トラブルも未然に防ぎました。なぜでしょうか?」
上司は少し気まずそうに視線を逸らします。
上司:「うーん、数字は良いんだよ、数字は。ただ、部長陣からは、Bさんにはもう少し『主体性』を発揮してほしかった、という意見が出た」
部下B:「主体性、ですか。具体的に、どのプロジェクトのどういう行動が不足していたのでしょうか?」
上司:「それは自分で考えてほしいんだが……。たとえば、もっと会議で発言するとか、チームの空気を作るとかさ。隣のAさんは数字こそ未達だったけど、そういう『巻き込み力』が評価されたんだよ」
部下B:「…………(巻き込み力? 会議で大きな声を出せばいいのか? 結局、Aさんが上司の喫煙仲間だから気に入られているだけじゃないのか……。僕が裏でどれだけAさんの尻拭いをしたと思ってるんだ)」
上司:「来期は期待しているよ」
部下B:「……承知しました。来期は『空気』を作るように善処します」
面談を終え、会議室を出たBさんの背中には、いったいどのような感情が張りついていたでしょうか。おそらく、「悔しさ」よりも、深く冷めた「徒労感」でしょう。「何を頑張れば報われるのかわからないゲーム」に参加させられている感覚です。
なぜ、私たちは何十年もの間、この「納得できない評価」という問題を解決できないのでしょうか。 【次ページ】曖昧すぎる基準…従来型評価制度の「構造的な欠陥」
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