• 2026/03/31 掲載

【保存版】4月施行「物流効率化法」徹底解説、荷主が絶対に対応すべき「ポイント3つ」(2/2)

連載:「日本の物流現場から」

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【ポイント2】CLOの選任とその役割

 CLOの役割について、前出の「物流改正法ご質問への回答」では以下のように説明されている。

  • 「中長期的な計画」および定期報告等の作成。定期報告は7月末が提出期限となっているが、制度開始初年度である2026年に限っては10月末が提出締め日となっている。ただ計画に変更がなければ毎年度の提出を省略できるが、最低でも5年に1度(提出期限はその年の7月末まで)に提出しなければならない。

  • トラックドライバーの負荷軽減とトラックへの過度な集中を是正するための事業運営方針の作成や事業管理体制の整備。

  • トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成・実施・評価。

  • 社内の関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築や社内研修の実施等。

 CLOについては、「役員等の経営幹部から選任すること」が義務付けられている。実際、これだけの実務能力や社内調整能力が求められるわけだから、役員でなければ改正物流効率化法で定められた役割を果たすことはできないだろう。

 なおCLOを選任しなかった場合、100万円以下の罰金が科され、届出を怠った場合にも20万円以下の過料の対象となる可能性がある。

【ポイント3】書面交付・白トラ利用・優越的地位の濫用

 2026年から荷主に対して課されるその他の内容について列記しておこう。

  • 「運送契約締結時の書面交付」の義務化
    2025年4月1日より、荷主とトラック事業者が直接契約を結ぶ際、相互に書面を交付することが義務付けられた。次いで、2026年4月1日からは書面交付義務の対象が、貨物利用運送事業者(水屋・フォワーダー)」との契約にも拡大される。

  • 営業許可を持たない「白トラ」利用に対する罰則
    無許可で有償運送を行う「白いナンバーのトラック」(白トラ)を利用した荷主に対して、新たに100万円以下の罰金が科されるようになる(2026年4月1日施行の改正貨物自動車運送事業法)。
    改正前は運送事業者のみが処罰対象だったが、この改正では荷主側の確認責任も問うように改正された。

  • 「優越的地位の濫用」の拡大
    2026年1月1日に施行された取適法では、規制対象となる取引類型に「特定運送委託」が追加された。詳細は割愛するが、旧下請法では物流業務の委託取引が対象外だったため、「買いたたき」「自主荷役等、無償の付帯サービスの強制」などの「優越的地位の濫用」と思しき事案でも旧下請法による処分の執行が極めて難しかったが、取適法ではこれが改善されている。

 取適法について補足しよう。筆者の下には、「荷主担当者が居留守を使い、値上げ交渉に応じてくれない」「『値上げ根拠を提示せよ』と何度も資料提出を要求されるなど議論の先延ばしをされている」といった荷主に対する不満が、数多くの運送会社から寄せられてきた。

 取適法ではこういった行為はすべて禁止される。実はトラック・物流Gメンや公正取引委員会は、交渉内容をきちんと精査せず、運送会社側の言い分で荷主への処分を決定する可能性がある。

 本来、価格交渉とはお互いが協議の場を設けた上で、きちんと書面で要請すべきものだ。しかし運送会社の中には、こういった社会の常識に疎く、極論だが電話や対面の場で「そろそろ、運賃値上げをお願いしたいんですが…」とつぶやいただけのことを、運賃交渉だと主張するケースもある。

 トラック・物流Gメンや公正取引委員会は、運送会社側の主張だけを拾い、その内容を十分に精査しないまま「複数の運送会社が、◯◯という荷主に対して『価格交渉に応じない』という申告をしている」という状況だけで荷主をマークする可能性がある。

 荷主からすれば不満だろう。しかし「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(公正取引委員会)では、「受注者から労務費の上昇分に係る取引価格の引き上げを求められていなくても、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること」と定めている。

 つまり荷主は痛くもない腹を探られないように、今後は運送会社との協議を定期的に行うべきだろう。

荷主との「取引見直し」が急増中?

 運送会社の間に広まりつつある、物流改善への過剰期待にも注意が必要だ。改善には時間がかかる。「改善に着手しているものの、まだ結果が出ない」「改善はしたいが、諸事情で実現が難しい」といった事情を荷主が抱えていたとしても、運送会社からは荷主の努力が見えず、「この荷主は何も取り組んでくれない」と勘違いされてしまう可能性がある。

 ある運送会社は「今後、CLOに改善を申し入れても変わらない場合には、取引解消を検討する」という方針を打ち出したそうだ。こういった運送会社に対しては、苦しい社内事情も率直に明かし、理解と協力を求めなければならない。

 あくまで筆者の肌感覚ではあるが、特に2025年辺りから、運賃値上げに応じない荷主はもちろん、自主荷役や荷待ち・荷役時間の見直しに取り組まない荷主との取引を見直す運送会社が急激に増えている。

 つまり荷主は、運送会社から見限られないように注意する必要があるのだ。

 改正物流効率化法の順守は、スタートラインに過ぎない。単に法令を守っていれば、それで問題はすべて解決していると考えるのは、あまりに浅はかである。

 荷主にとって大切なことは、法改正を機会に10年後20年後も持続可能な物流を再構築すること。そのためには、運送会社を「すげ替えの効く取引先の一社」ではなく、大切なビジネスパートナーとして尊重し、物流効率化に協力してもらった上で、持続可能な物流を実現する仲間になってもらうことが大切なのだ。

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