高度化・複雑化するITシステム、その裏で進行中の深刻問題
現在、DXに取り組む企業で深刻な問題が起きている。それが「システムの運用」だ。端的に言えば、ITシステムが高度化・複雑化したことで、運用の負荷が急激に上昇しているのである。その結果、DXそのものが阻害される可能性さえ出てきている。
その深刻さは、現場の声に耳を傾けると実感できる。アラートの数が膨大でハンドリングできない、障害の切り分けを経験と勘に頼っている、○○さんがいないと対応できない、インフラとアプリケーションで部門が違うので原因調査が難しい……等々。こうした現場の声は、決して特定の企業だけのものではないだろう。
これは、運用担当者だけの問題ではない。DXによってITシステムがビジネスを牽引するクリティカルな存在になれば、そのトラブルはビジネスを直撃する。それが分かっている経営層は、担当者に「システムは大丈夫なのか?」と聞くだろう。聞かれた担当者は「大丈夫です」と答えるが、その担当者自身も複雑なシステムの全貌が分かっていないため、実はこれは何の保証にもなっていない。
また仮にインシデントが生じた場合も、現場から上長へ、インフラ担当からサービス担当へ、人を挟み組織をまたぐたびに伝達事項は増え、根回しも必要になり、対策会議に費やす時間ばかりが過ぎていく。実際、人の多い組織ほど、システム以上にコミュニケーションの煩雑さに頭を悩ませているのではないだろうか。
ではどうすれば良いのか。たとえば、近年はあらゆる製品に取り入れられているAIに任せるのはどうだろう。実はこれも容易ではない選択肢である。
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