今のままではDXはムリ、紙の業務が抱えるこれだけの課題
コロナ禍によるリモートワーク拡大をきっかけに「紙のデジタル化」を検討・導入する企業が増えている。紙のデジタル化そのものは、コロナ禍以前から企業にとって大きいテーマだったが、その取り組みがコロナ禍を契機に加速している。
背景には、紙が持つさまざまな課題がある。紙を使う作業は属人化しやすく、ミスも起きやすいほか、紙の処理に多くの人的リソースが割かれ、業務のピーク時や夜間に人を確保するのも難しい。また、紙の帳票をシステムに入力する作業に時間がかかり、本来の業務もおろそかになってしまう。
特に、大量の紙を扱う大手企業、金融機関や公共機関では、紙そのものがDXの妨げになっているケースも少なくない。もちろん、デジタル化だけでDXは実現できないが、デジタル化ができていなければ、DXに取り組むことすらままならないのだ。
こうした課題を認識している各企業はデジタル化の実現に向け取り組みを進めているものの、実際に着手すると、次のような問題に直面する。
- OCRやAI-OCR(注)を導入したが、読み取り時のフォーマット指定や認識結果の全件目視が必要となり、かえって業務効率が落ちる。
- 社外からフォーマットがバラバラな紙の請求書が大量に届き、対応が困難になる。
- 官公庁には紙で書類を提出する必要がある。しかもフォーマットが毎年変わる。
- 工場などの現場ではいまだに紙中心の業務が多い。
注:OCR(Optical Character Recognition)……紙文書をスキャナなどで読み取ってコンピューターで処理できる文字に変換する技術。AIを使って読み取り精度を向上したOCRを、特に「AI-OCR」と呼ぶ。
デジタル化を妨げる、こうしたさまざまな要因を、企業はどのようにして克服すれば良いのだろうか。
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・全国銀行協会のデジタル化の事例
・紙の業務「14500時間→7400時間」に削減できたワケ