- 2026/02/20 掲載
【衝撃】預金ではもう稼げない?MUFG・SMBC・PayPay・楽天が挑む「データ戦争」の標的(2/2)
あなたのデータはどう使われる?金融×非金融連携の現実
各社情報から整理できる視点は3つある。第1は接点の量だ。アプリのダウンロード数や更新状況は、顧客との接触機会の目安になる。楽天銀行と三菱UFJ銀行は500万以上、PayPay銀行と住信SBIネット銀行は100万以上というレンジにある。第2は接点の質である。振込や残高照会だけでなく、本人確認や投資商品取引、カードレスATMなど複数の機能を1つのアプリに集約するほど、取得できる行動データは細かくなる。機能の多様化は、そのまま分析可能な情報の幅につながる。
第3は外部連携の広がりだ。欧州では改正決済サービス指令と呼ばれるPSD2が電子決済市場の統合を進め、オープンバンキングを制度面から後押しした。英国では利用が拡大し、消費者や中小企業の5人に1人がアクティブに利用しているとする報告もある。2025年3月のオープンバンキング決済は3100万件と公表された。
一方、同時期のカード決済は19.2億件に上るとの指摘もあり、規模にはなお差がある。外部連携が進んでも、既存の決済基盤が直ちに置き換わるわけではない。
欧州PSD2の教訓、日本で問われる「同意の設計力」
データ競争の行方を左右するのは信頼だ。個人情報保護委員会は、第三者提供を含む個人データの取扱いについてガイドラインを示している。金融と非金融のデータ連携が広がるほど、利用目的の説明や同意の取得方法が問われる。アプリストアのデータセーフティ表示を見ると、PayPay銀行アプリは第三者と共有されるデータはない、データは収集されないと示す。一方、三菱UFJ銀行アプリは収集するデータの種別として位置情報や個人情報などを挙げる。いずれも開発者による申告だが、利用者が最初に接する情報である点は共通する。
PSD2は第三者が口座情報にアクセスし、決済を開始できる枠組みを整えた。銀行とフィンテック企業の境界を揺らす制度だが、利用が広がっても既存の決済市場をすぐに塗り替えるわけではないとの見方もある。
日本の金融機関に求められるのは、形式的な同意取得ではなく、何に同意したのかを後から確認できる仕組みや、同意と引き換えに具体的な利便性を示す設計である。利便性と信頼の均衡をどう保つかが、データ競争の帰趨を決める。
預金でも金利でもない、銀行競争を決める「動的データ」の正体
銀行の競争軸は、預金残高や金利条件といった固定的な数字から、日々の決済や購買、投資の動きを通じて顧客を把握し提案につなげる動的なデータへと移りつつある。楽天銀行やPayPay銀行は、親会社が持つ生活データを足場に接点を押さえ、住信SBIは証券との連携で資産形成の流れを取り込む。メガバンクは規模と既存の取引基盤を武器に対抗する構えだ。ただ、勝敗を分けるのは技術力だけではない。利用者が内容を理解し、納得した上で同意できる設計がなければ、データ活用は不信を招きかねない。利便性を高めながらも、金融の土台である信用をどう守るか。生活インフラとしての役割を広げるほど、そのバランスが問われる局面に入っている。
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