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  • 2023/01/19 掲載

IoT通信プロトコルで押さえるべき「5大ポイント」、導入時は何を重視すべきか?

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現在接続されているグローバルIoTは122億にも上ります。あらゆる国や業界など垣根を越えて利用され、その数は現在も急速に増加しています。IoTで通信する際、特に重要なのがIoT通信プロトコルです。適切な接続を実現するには、プロトコルを理解しなければなりません。そこでこの記事では、ドイツの市場調査会社IoT Analytics(IoTアナリティクス)社の市場調査レポート「IoT通信プロトコルの導入(2022年)」から、IoT通信プロトコルについて知っておくべき5つのことについて解説します。

編集協力:グローバルインフォメーション

編集協力:グローバルインフォメーション

世界の主要調査会社250社以上とパートナー契約を結び、日本をはじめとする世界各所で市場調査レポートを提供している。パートナーが発行するレポートは複数産業の約10万点におよび、毎月2000点超の新刊が発行されている。レポートの販売のほか、提携先への委託調査の仲介も実施している。
企業URL:https://www.gii.co.jp/

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IoTプロトコルで知っておくべき5点とは

理解すべき「2つの理由」

 122億も存在するアクティブなグローバルIoTは、相互接続された無数のデバイスが互いに通信し合うことで、意味のあるデータを生成します。しかしデバイスが通信するには、接続されているだけでは不十分であり、同じ「言語」を話さなくてはなりません。そこでIoTプロトコルの出番となります。

 プロトコルとは、ネットワーク環境において、異なるマシン/デバイスの効果的な通信(データ交換)を可能にする一連の規則のことです。この概念は、私たちがコミュニケーションに使用する言語に似ています。もし2人の人間が同じ言語を話さなければ、そのやり取りに効果はありません。このようなプロトコルがなければ、データ通信における混乱が発生してしまうのです。

 ここからはこのIoTプロトコルで知っておくべきポイントについて、5点を解説します(図1)。

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IoTプロトコルで知っておくべき5つのポイント

 これを理解することは、以下2点のような理由から極めて重要です。

  • トピックの複雑さを理解することで、より使いやすい製品を世に送り出すことができます。
  • デバイスの通信方式を理解することは、プロジェクトの接続設定の成否を左右します。

ポイント1:世界標準のIoTプロトコルは存在しない

 現在、誰もが認める標準的なIoTプロトコルは存在しません。このため、複雑な問題が生じています。事実、調査回答者の73%が、色々なデータ形式とプロトコルの管理がプロジェクトの進展・拡大を妨げていると指摘しました。IoT市場は全体として細分化されており、IoTプロトコルも例外ではありません。グローバルスタンダードは存在しないのです。

 一方、特定の業界で使用されているプロトコルがあります。たとえば、CAN(Controller Area Network)は車両コンポーネント通信の定番であり、DNP3(分散ネットワークプロトコル)はインフラ、HART(Highway Addressable Remote Transducer)はプロセス産業で使用される一般的なプロトコルです。

 しかしIoTに関連するプロジェクトでは一般に、プロトコルの選択が適切なネットワーク構築を左右するので、多くの要件を考慮しなければなりません。

 たとえば、MQTT(Message Queueing Telemetry Transport)とNB-IoT(Narrow Band-IoT、LPWAN規格の1つ)には互換性があり、安定したネットワークであれば不備なく連携できます。ですが受信環境の悪さが加わると、そこからトラブルが発生します。

 プロトコルを決定する前には、「端末はバッテリー駆動なのか」「転送されるデータ量はどの程度なのか」「ネットワークは安定しているか」「メッセージに優先順位はあるか」など、明らかにすべき点が多数あります。遠目に見れば、エコシステム全体が見えてきますが、loTプロトコルはその一部なのです。

 下の図2からわかるように、IoTプロトコルの全体像は非常にわかりにくいものです。複数のレイヤーが含まれ、互いに互換性を持つ必要があります。

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図2:IoTプロトコルの構成要素

 たとえば通信プロトコルのレイヤー(接続、リンク、トランスポート、セッションなど)は、IoTのベースを構成するにすぎません。その上には、データ処理(Kafka、RapidMQなど)、ストレージ(MongoDBなど)、そして最後に、対応するアプリケーション(マシンビジョン、資産管理など)が存在します。

 さらに複雑なのは、特定のデバイスが独自のプロトコルのみをサポートしている場合があることです。これらのプロトコルは単一の組織または個人が作成・所有するもので、多くの場合、他の標準的なハードウェアと互換性がありません。

 その場合、プロトコル・コンバーターが必要になります。これらのさまざまなパーツはすべて、機能的かつ効率的な接続のために正しく設定されなければなりません。調査で接続設定について尋ねると、ほとんどの回答者が相互運用性を問題点として挙げています。

ポイント2:IoTプロトコルを使用した接続が急増

 IoT Analyticsの調査によると、IoTセットアップ用のプロトコルを使用した接続の割合は今後2年間で11%増加すると予想されています。MQTTとCoAP(Constrained Application Protocol)は、この成長をけん引するプロトコルです。どちらもあらゆる点でIoTネットワークの要件に適合します。

 低エネルギー消費・軽量(バッテリー駆動のデバイスに必須)であり、オーバーヘッドが低く(メッセージサイズが小さい)、損失の多いネットワークで動作します(センサーなどの多くのIoTデバイスはリモート セットアップが可能)。

 アセット/デバイスからミドルウェアへの接続については、MQTTの接続シェアは期間中29%の増加が見込まれます。ただし、ミドルウェアとアプリケーションの中で最も成長が見込まれるIoTプロトコルはCoAPであり、この2年間で30%増加しています。AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)もシェアが拡大しているIoTプロトコルであり、いずれの接続タイプとも全体的に成長しています。

【次ページ】もう3つのポイントを解説

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