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  • 2021/06/01 掲載

「OSSが当たり前」の時代、推進団体は何をすべきか? OBCI解散で見えた「今後の役割」

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OSS(オープンソースソフトウェア)の開発、導入、そしてビジネスでの活用においては、さまざまなコミュニティや非営利団体が活動しています。3月5日~6日にオンラインで開催された「Open Source Conference 2021 Online/Spring」において、OSS推進団体の1つであるオープンソースビジネス推進協議会(OBCI)が解散を発表し、13年間の幕を閉じることになりました。今回は、これに関連して開催された4つのOSS推進団体の代表者による座談会の様子をレポートするとともに、OSS推進団体の存在意義や今後の在り方を考えてみます。

執筆:OSSコンソーシアム 小林 敦 / オープンソースビジネス推進協議会 溝口 則行

執筆:OSSコンソーシアム 小林 敦 / オープンソースビジネス推進協議会 溝口 則行

小林 敦
OSSコンソーシアムの理事、副会長。三菱電機に入社し、コンピュータシステム製作所、情報通信システム開発センターなどを経て現在、分社化された三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)のデジタルトランスフォーメーション推進部長。主にクラウド、ビッグデータ領域でOSSの普及促進、利用促進に取り組む。なお、ここでの記述は個人の見解であり、所属する企業の公式見解ではありません。

溝口 則行
OSSコンソーシアム副会長、オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)副理事長。他にPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)や日本OSS推進フォーラムにも参画。勤務先のTISでは、PostgreSQLやZabbixなどに強みのあるエンジニアを抱え、自身はタレントマネジメント業務が中心となりつつある。

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「Open Source Conference 2021 Online/Spring」の様子


OSS全般の利用促進を掲げる推進団体、それぞれの特徴

 OSS(オープンソースソフトウェア)に関わる業界では、同じ目的や思いを持つ企業や個人が集まり、さまざまな立ち位置のコミュニティや非営利団体が運営されています。

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OSSに関わる業界の構造

 今回、座談会に参加した4つの団体は、特定のOSSの開発・利用に限定せずに、広くOSS全般の利用促進を掲げ、業界全体の底上げと支援を担ってきました。それぞれの団体の経緯や特徴について、代表者は次のように語っています。

オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)
「OSSの提供者側となるIT企業の集まりであり、技術の普及促進よりもプロモーションに比重を置き、会員企業から集めた会費でOSSのプロモーション活動を展開してきました。2008年の設立から13年がたち、当たり前のようにOSSが利用される時代となり、一定の役割を終えたと判断し、解散することとしました」(石井 達夫理事長)
OSSコンソーシアム
「1999年発足のLinuxコンソーシアムを母体とし、2009年にOSSコンソーシアムに改変しました。当初はOSSの啓発・啓蒙(けいもう)を掲げていましたが、最近はビジネス推進に移ってきています。特定の専門分野で活躍する国内ベンチャー企業が中心となり、7つの部会と支部の活動を通じて会員企業が自社ビジネスを展開しています」(山崎 実会長)
オープンソースソフトウェア協会(OSSAJ)
「2004年創立で、OSSを指向する個人の集まりです。特定のOSSに結びついているわけではなく、またビジネス領域をつかんでいるわけでもない点で運営が難しいですが、フリーソフトウェアと呼ばれていた頃からの歴史・経緯を踏まえて、OSSを理念的なものと捉え、その意義を追求しています」(橋本 明彦会長)
日本OSS推進フォーラム(JOPF)
「OSSで国内の産業を活性化すること、また北東アジア各国との情報交流を目的に、2004年に経済産業省のバックアップを得て発足しました。現在も、毎月の理事会には経済産業省に参加いただいて情報交換などを実施しており、OSSに関する産業界と政府の仲介役となることを心がけています」(黒坂 肇理事長)

 これら4つの団体は、競い合う関係ではなく、OSSの利用促進においてそれぞれの力を出し合って補完し合うような雰囲気で共存しています。OSSの利用促進を基本的な方向性としながら、それぞれの発足経緯や特徴に即した活動をしており、それが差別化となって各団体の存在価値となっています。


OSSが当たり前になった今、団体が担うべき役割とは

 「OSS推進団体って、何をしているのですか?」。今回の座談会にコメンテーターとして参加した吉田 行男氏(OSSコンソーシアム顧問、OBCI事務局長)は、最近このような質問を受けたそうです。座談会ではまず、各代表ともに時代の変化を振り返るとともに、これからの団体の役割について意見が交わされました。

 OSSAJの橋本会長は「以前、情報処理推進機構(IPA)でOSSの利用促進を図っていた時代は、OSS対非OSSという構図がありました。現在はOSSか否かに注目されることはなく、両者は混在して使用されるのが普通となりました」と変化を語り、OSSだけを支援することが実情に合わなくなっていると指摘しました。

 総じて、「OSSに焦点を合わせて啓蒙して盛り上げていくという団体の役割は変わらなければならないだろう」というのが、座談会参加者の共通の認識でした。

【次ページ】OSSネイティブ世代との「連携」と「継承」の必要性

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