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- 2021/12/23 掲載
2022年のIoT市場で注目の6大トレンド、42%が積極投資に意欲も企業間格差拡大のワケ
- IoT Analyticsが行ったIoTの使用事例調査によると、投資利益率(ROI)の高いオペレーション改善における導入事例や、アジア太平洋地域(APAC)、特に中国でのIoTプロジェクトのけん引により、2022年はIoTの導入が加速する見込みです。
- IoT導入におけるリーダーとラガード(遅滞層)間のギャップは、ますます広がっています。
- IoTは、企業の最高情報責任者(CIO)や最高デジタル責任者(CDO)がアフターコロナのアジェンダを考える上で重要なトピックとなっています。
- ベンダーとユーザーにとっては技術スタックと使用事例のあらゆる領域にわたって多くのチャンスがあります。
IoT投資の成長率が2021年は2倍に
長年にわたり高い成長率を維持してきたIoT市場は、パンデミックに伴う不況に見舞われました。2020年の企業によるIoTへの支出は12%増で、2019年の成長率のほぼ半分となりました。しかし、2021年は企業がIoTの導入に非常に注力した年となり、企業のIoT支出額は24%増が見込まれています。
このため、IoT関連技術を有する企業の多くが、2021年に高い収益増を示しています。たとえば、半導体大手のクアルコムの発表によると、2021年度第3四半期のIoT事業の売上高は前年同期比(YoY)83%増となりました。
同時期に、シリコンラボはIoT事業において前年同期比39%増、NXPは産業・IoTエンドマーケットセグメントにおいて18%増を報告しています。IoTに力を入れるソフトウェア企業も同様に、大幅な増収を報告しています。たとえば、PTC社のIoTが大部分を占める成長セグメントは、前年同期比50%増となっています。
調査対象組織の79%がIoTプロジェクトに多額の投資
- 2022年のIoT導入トレンド1:IoT関連は、多数のエンドマーケット、導入事例、実現のための技術において、引き続き2桁台の力強い成長を示すでしょう。
実際、平均的な大企業は今後2年間で、9つの異なるIoT導入に向けた投資を計画しています。資産/プラントのパフォーマンス最適化のためのIoTは、ほとんどの企業が投資を予定しており、調査対象者の42%が積極的な投資へ意欲を示しています。
驚くことではありませんが、企業の投資意欲と全体的なROIには強い相関関係があります。資産/プラントのパフォーマンス最適化のためにIoTツールを展開している企業(つまり、ユーザーが設備全体の有効性を高めたまま、資産を運用・保守できるようにするツール)では、97%においてすでにROIはプラスとなっています。
しかし、現在はあまり主流ではない使用事例においても、力強い増加が見込まれています。たとえば、20%以上の企業がオペレーションにおける拡張現実(AR)に積極的な投資を予定しています。
すべての兆候から、今後数年間にIoT技術の採用が増加する、という図式は明らかです。
既存資産をソフトウェアで近代化
- 2022年のIoT導入トレンド2:企業は、既存の資産をソフトウェアで近代化することに注目。
資産やプラントのパフォーマンスのためのIoTに分類される事例に加えて、IoTを利用したプロセスオートメーションの事例(接続された設備から取得したリアルタイムデータを利用して業務プロセス全体を改善する)や、予知保全の事例(予定外の設備のダウンタイムを予測して設備稼働率を向上させる)は、今後2年間に積極的な投資が行われる可能性が高いでしょう。
これらの資産を中心とした事例を後押ししているのが、レトロフィッティング(古いシステムに新しいテクノロジーや機能を追加すること)というテーマです。企業は、長年使用してきた既存のインフラや設備をネットワークで接続し、ソフトウェアによる最適化を行っています。
導入コストは低下傾向、ROIの最大化が焦点に
- 2022年のIoT導入トレンド3:導入企業の疑問は、「IoTによりROIはプラスになるのか?」から「どのIoTソリューションや事例がROIを最大化するのか?」へとシフトしています。
調査対象の約1600件のIoTプロジェクトのうち、79%がROIにおいてプラスとなっています。主流の導入事例では、98%の企業がROIでプラスとなっています。
IoTプロジェクトの多くは複雑ですが(トレンド6を参照)、IoTの普及を阻害する要因は少なくなってきています。中でもとりわけ、導入にかかるコストが低下しています。ハードウェアの価格は低下し、たとえば、センサーにかかる平均コストは、2004年の約1.40ドルだったのに対し、2020年には0.50ドル以下にまで低下しました。
また、ソフトウェアも安くなっています。IoTプラットホームやクラウドサービスのおかげで、企業は必要なソフトウェアの多くの要素をモジュール方式や従量制で調達できるようになり、使用量に応じてコストがかかるようになりました。
IoT分野の人材不足は、今後も継続的な課題となることが予想されます。しかし、多くのシステムインテグレーターがIoTに特化した事業部門を確立していることから(IoT Analyticsの最近の分析では、700社以上のIoTシステムインテグレーターが稼働しています)、この課題はいまや解決できるのです。
【次ページ】リーダーと遅滞層の導入格差は縮まらない?
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