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  • 2020/11/06

ゼロからわかる「PLC」入門、シーケンサとは?種類やメーカーは?

世の中では、あらゆる場所で「機械」が使われていますが、さまざまな機械の制御に使われているのが、PLCと呼ばれる制御装置です。古くから使われている装置ですが今も進化を続けており、生産施設のIIoT(産業分野のIoT)化では基盤となる装置です。産業やビジネスではもちろん、私たちの生活を支える上でも重要な役割を果たしているPLCについて簡単に解説していきます。

フリーライター 三津村直貴

フリーライター 三津村直貴

合同会社Noteip代表。ライター。米国の大学でコンピューターサイエンスを専攻し、卒業後は国内の一部上場企業でIT関連製品の企画・マーケティングなどに従事。退職後はライターとして書籍や記事の執筆、WEBコンテンツの制作に関わっている。人工知能の他に科学・IT・軍事・医療関連のトピックを扱っており、研究機関・大学における研究支援活動も行っている。著書『近未来のコア・テクノロジー(翔泳社)』『図解これだけは知っておきたいAIビジネス入門(成美堂)』、執筆協力『マンガでわかる人工知能(池田書店)』など。

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PLCについて、図解や具体例を交えながら解説していく
(Photo/Getty Images)


PLCは、「あらゆる機械の制御装置」

 PLCは「Programmable Logic Controller(プログラマブルロジックコントローラ)」の略称(注)で、日本語に直訳すると「プログラム可能な論理回路の制御装置」といったところです。三菱電機が提供するPLCである「シーケンサ」がPLCの代名詞として呼称されることも多く、PLCが通じなくてもシーケンサなら通じるようなこともあります。

注:同じ略称を持つ「PLC:Power Line Communication(パワーラインコミュニケーション)」は電力線を通して通信をする技術の名称で全くの別物。

 一言で「機械を制御する」といっても具体的にイメージはつかみにくいかもしれません。しかし、難しく考える必要はなく、基本的には「AをしたらBをする」「CになったらDをする」と言った命令の組み合わせで制御します。

 この制御方法は「シーケンス制御」とも呼ばれます。これを行うのがPLCです。機械制御は複数のシーケンス制御の組み合わせで行われることが多いので、PLCが非常に重要な役割を担っていることがわかるでしょう。

 もう少し具体的な例で説明しましょう。機械が動作を行うためには、常に電流や圧力変化などある種の「きっかけ」が必要です。部屋の照明をイメージすると分かりやすいでしょう。スイッチをオンにすると、照明につながる配線に電気が流れてライトが点灯します。

 たとえばこのスイッチの配線に制御装置を取り付け「スイッチがオフなら18時から5時まで自動で点灯する」「スイッチを入れると4つあるライトのうち2つだけ点灯する」といった設定をすれば、それに応じて適切なタイミングと方法で照明に電気を流れます。

 PLCが無かったころには、そうした操作には専用の回路を用意して、その回路に対して1つひとつ職人が調整をしながら制御を行っていました。先程の照明の例で言えば、制御装置にタイマーを取り付けて時間を設定し、電気の流れを分岐させる部品を取り付け、それぞれを配線につなげて動作させるといった作業が必要になります。実際にはもっと複雑な制御が行われるので、かなり手間のかかる作業です。

 PLCでは、そうした操作がプログラミング言語を使って入力するだけで可能になります。機械を簡単に制御できるようになるだけではなく、従来の回路を使った方式ではできなかった複雑な制御もできるようになります。欠点といえば反応速度の遅さぐらいで、ほんのわずかな遅延も許されないような制御でない限りは問題ありません。

PLCはどこで使われているのか?

 では、具体的にPLCはどのような場面で使われているのでしょうか。実は、周りを見渡してみると本当にあらゆるところで使われています。

 たとえばエレベーターは良い例です。ボタンを押せばドアが開いて所定の階に着き、何かがドアに挟まりそうになったら開き、重すぎたらブザーを鳴らす。これら一連の動作の制御が、PLCの仕事です。エアコンや電子レンジのような家電の操作や自動車の制御、ゲームセンターや遊園地の遊具にも使われています。そのほかにも、工場で動く工業用・産業用機械、水道やガスのようなインフラ設備、道路に無数に立つ信号機などもPLCで制御されています。

 逆に、パソコンやスマホのような「コンピューターや周辺機器」にPLCは使われていません。パソコンそのものが制御装置なので、パソコンが関わるものにはPLCが不要なのです。パソコンは機械制御ではなく膨大な情報の管理に使われるもであるため、反応速度においてはPLCに劣りますが、誰でも使えるのでPLCの代わりに使われることも増えてきました。用途に応じて、さまざまな使い分けがなされています。

 ただ、最近の家電を見れば分かるように、機械は年々、より複雑になっています。それに応じてPLCにもできることが増えてきており、アナログ変換、無線通信、データ収集・分析までこなすようになりました。パソコンがPLCの代わりをするのではなく、PLCがパソコン並の情報処理をするようになっているのです。

 特にPLCが通信機能を持つことは、生産・インフラのIIoT化を進める上で必要不可欠な要素です。暗号化された通信を素早く処理し、膨大なデータを扱う能力に対する需要は日々高まっています。今後は今まで以上にPLCの多機能化が進んでくるでしょう。

PLCの仕組みは?理想の動作を実現する「機械の脊髄」

 PLCの構造は大きく分けて、信号の入力装置と出力装置、演算装置と記憶装置、電源装置、それに加えて通信装置等で構成されています。基本構造はコンピューターと似ていますが、PLCはコンピューターよりシンプルな方式で動いています。

 具体的にいうと、コンピューターが命令を順次実行していく「チューリングマシン(ノイマン型)」と呼ばれる方式で動いているのに対して、PLCはあらかじめ指定された状態に変化していく「ステートマシン」と呼ばれる方式で動作します。

 ポイントとして、万能型のチューリングマシンはステートマシンを内部で再現できるので、コンピューターがPLCの代わりをすることができる一方で、PLCが完全にコンピューターを代替することはできないということです。

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PLCの仕組み(一例)

 また、PLCはハードウェアのほかに、機械の制御プログラムを管理するソフトウェア(コントローラ)が内部に存在しています。このソフトウェアの仕様や使いやすさも、PLCの性能を分ける大きな要因となります。

 このPLCソフトウェア自体をコンピューターやPLCを問わず使えるようにすれば、使い勝手は変わらないまま状況に応じてPLCやコンピューターを使うことも可能です。

 PLCの機能自体はコンピューターで代用できるものの、前述のようにPLCは反応速度に優れるほか、安価で信頼性が高いという特徴があります。機械は長時間動き続ける都合、信頼性は機械制御装置として非常に重要な要件になります。

 最近はコンピューターの価格が下がり信頼性も向上していますが、PLCもコンピューター並に高性能化しているため、機械制御の基盤としての座は未だにゆらぎません。

 巨大な工場では膨大な機械が同時に動き続けているため、それを一括して管理する必要が生じます。そうした場面ではPLCではなくコンピューターが使われ、それぞれの機械の制御をPLCが担当し、PLCから送られてくる情報処理をコンピューターが担うことも増えてきました。生産管理に特化したPC上で動作するシステム「SCADA」なども普及するようになっています。


 人間の体で言えば、全体の管理を行うコンピューターやSCADAが「大脳」で、PLCが自律神経や体の動きをコントロールする「脊髄・小脳」と言えるかもしれません。

【次ページ】PLCの3つの種類、市場、主要メーカーを一挙解説

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