RAID機器のデータ復旧|障害発生時に潜む3つの落とし穴と正しい初動対応
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RAID機器に保存していたデータなくなり「全社停止」も…データ集約の盲点
データ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」を展開するデジタルデータソリューション社で、法人・個人を問わず、データ復旧に関する 相談窓口を統括するデータリカバリー事業部のアドバイザーグループ長を務める小林 賢伸氏は、こうしたデータ集約に伴うリスクを指摘する。
「サーバの統合やデータの一元管理は、運用効率やセキュリティの面でメリットがあります。一方で、重要なデータが1カ所に集まるほど、ストレージに障害が起きた際の影響も大きくなります。全社の業務が止まるだけでなく、取引先への納品が遅れれば信用問題にもつながります。目の前の売上だけでなく、将来の取引機会まで失いかねません」(小林氏)
データリカバリー事業部 アドバイザーグループ グループ長
小林 賢伸氏
中には、失われたデータを簡単には取り戻せないケースもある。エンジニア部門を統括する同社エンジニアリング部 部長の井瀧 義也氏は、データの種類によっては、金銭的な損失だけでは済まないと説明する。
「たとえば研究データなどは、同じものを一から作り直すことが難しい場合もあります。ストレージがハードウェアである以上、故障を完全になくすことはできません。だからこそ、障害が起きたときに、いかに正常なデータを取り戻せるかが重要になります」(井瀧氏)
エンジニアリング部 部長
井瀧 義也氏
しかし、現実には技術力の低いデータ復旧業者に相談したり、障害発生後に誤った操作をしたりして、復旧を難しくしてしまうケースが少なくないという。
では、企業は平時からどのように備えるべきか。そして、障害発生直後に何をすべきで、何を「してはいけない」のか。データ復旧の現場を知る両氏に、具体的な対策を聞いた。
RAID機器なら安心?復旧を困難にする「2つの思い込み」
「RAIDは、複数のストレージを組み合わせてデータを保存・管理する仕組みです。RAID 1(※1)やRAID 5(※2)などは、一部のストレージが故障しても稼働を継続できますが、RAID 0(※3)は1台でも故障するとデータにアクセスできなくなるおそれがあります。いずれの方式も、バックアップの代わりになるわけではありません。
※1 RAID 1:同じデータを複数のストレージに重複して保存する方式。1台が故障しても、もう1台に同じデータが残っていれば稼働を継続できる。
※2 RAID 5:3台以上のストレージにデータと復旧用の情報を分散して保存する方式。1台が故障しても、復旧用の情報を使ってデータを再構成し、稼働を継続できる。
※3 RAID 0:データを複数のストレージに分割して保存する方式。1台でも故障するとデータの一部が失われ、全体のデータにアクセスできなくなるおそれがある。
誤操作による削除や機器全体の故障まで対応できるわけではないのです。RAIDを構成するストレージのうち1台が故障していることに気づかないまま運用を続け、さらに別の1台が故障して、データ復旧が困難になったケースもあります」(小林氏)
こうしたバックアップに対する誤解や、体制・機器構成の不備は、ITの専門人材が不足しがちな中小事業者だけでなく、大手企業や大学、官公庁でも見られるという。
さらに注意したいのが、障害発生直後の初動対応だ。復旧を急ぐあまり自己判断で操作すると、かえって事態を悪化させる恐れがある。井瀧氏は特に、RAID機器のリビルド(再構築)を安易に実行することの危険性を指摘する。
「RAID機器は、再起動時に障害の状態を確認し、自動で復旧処理を試みることがあります。しかし、障害の状態によっては、再構築が進むことでデータが上書きされたり、復旧が困難になったりするおそれがあります。また、誤って初期化してしまい、データが失われるケースもあります。こうした事態を防ぐには、RAID機器を構成する各ストレージのデータを保全したうえで復旧作業を進めることが重要です。自分で判断して操作を続けず、まずは専門家に相談することをおすすめします」(井瀧氏)
特に避けるべきなのは、機器を自分で開けたり、再起動を繰り返したりする行為だ。これらの操作によって元のデータがさらに失われ、復旧が難しくなる可能性があるという。
つまり、障害発生時には「何とかして動かす」ことよりも、データの状態をこれ以上悪化させないことを優先すべきなのである。
専門業者ならどこでもいい?データ復旧業者選びで重要な「セキュリティ体制」
「普段のシステム保守を依頼しているパートナーに、まず相談する企業は多いと思います。ただ、システムの構築や運用に専門性があっても、壊れたものを元に戻すことに特化しているわけではない点には注意が必要です」(小林氏)
一方、データ復旧の専門業者に依頼する場合には、機密情報や個人情報の取り扱いが課題になる。特に大手企業や官公庁では、技術力だけでなく、厳格なセキュリティ要件を満たすことが不可欠だ。
「どの業者にデータを預けてよいかを、担当者の判断だけでは決められません。社外秘の情報が入っているストレージであれば、なおさらです。実際に、他社への依頼を検討したものの、機密情報の取り扱いやセキュリティ面に不安があり、最終的に当社へ相談されたお客さまもいらっしゃいました」(小林氏)
実際、問い合わせの際には「復旧できるか」「費用はどれくらいか」に加え、「NDA(秘密保持契約)を結べるか」と尋ねられることが多いという。
デジタルデータソリューションは、ISO 27001とプライバシーマークを取得しており、NDAの締結にも対応している。さらに、作業拠点では金属探知ゲートや54台の監視カメラを設置し、第三者の警備会社による警備体制を整備。不正な機器や情報の持ち出しを防止している。また、入館には森ビルのセキュリティゲートを通過する必要があり、事前申請も必須となっている。建物内に入った後も、複数のセキュリティ対策によって情報を厳重に管理している。
また、機器の受け入れから作業、返却までをシステムで一元管理することで、預かった機器の紛失や取り違えといったリスクも大幅に低減している。加えて、同社では顧客にデータ復旧ラボを公開しており、実際の設備やエンジニアが作業する様子を確認できる。機密データを預ける企業にとって、どのような環境で、誰が復旧作業を行っているのかを自分の目で確かめられることも、安心材料の一つとなる。
「実際に作業している様子をご覧いただくことで、価格やサービスへの納得感が高まり、喜んでいただけることが多いですね。もちろん、お客様が見学される際には、顧客データが見えないよう、作業メンバーの配置を工夫するなど、情報管理にも十分配慮しています。」(小林氏)
他社で「復旧不可能」でも諦めない、技術力の秘密
デジタルデータソリューションは、データ復旧専門業者17年連続データ復旧国内売上No.1(※4)のデータ復旧業者です。一部復旧を含む復旧件数割合92.6%(※5) に上り、希望するデータを完全に復旧できたのは52.0%となっている。
※4 データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを提供し、その売上が総売上の50%以上を占める企業のこと ※第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく(算出期間:2007年~2023年)
※5 内、完全復旧52.0%。復旧件数割合=データ復旧件数/データ復旧ご依頼件数。2025年9月実績
この数字の背景には、困難な案件も可能な限り受け入れる同社の方針がある。2011年以降の累計相談件数は50万件を超え、そのうち他社で復旧不可とされた相談は8,000以上に上るという(※6)。
※6 算出期間:2016年6月1日~
「1%でも可能性があれば、まず初期診断をさせていただきます。他社では門前払いで途方に暮れた方から『まず見てくれただけでも価値があり、助かった』と、うれしい言葉をいただくこともあります」(井瀧氏)
困難な案件に挑むほど、技術やノウハウが蓄積される。同社では海外の先進的な技術を持つエンジニアとも交流し、新たな技術や設備を積極的に導入してきた。
「たとえばHDDの円盤表面に傷がついたものは、従来は復旧不可能と言われていましたが、当社は業界に先駆けてこの課題を克服しました」(井瀧氏)
技術力に加え、同社が重視するのが対応スピードだ。データを復旧できたとしても、それまでに長期間業務が止まってしまえば、企業が被る損失は大きくなる。
そこで同社は24時間365日の受付体制を整え、復旧案件の約8割に48時間以内に対応しているという。
「HDDやメモリ媒体を修復するための部品やコピー用のドナーを7,000台以上そろえ、専門エンジニアが対応することで、迅速な初期診断を実現しています。熟練のエンジニアは、HDDの音を聞くだけで、どこが壊れているかが分かるほどです」(井瀧氏)
蓄積されたノウハウは、必要な作業の見積もりの精度や復旧までのスピードにも活かされている。同社では初期診断の結果を基に、復旧完了までに必要な費用を提示する仕組みを採用。初期診断は無償で実施することで復旧作業の必要性が判断しやすくなり、金額においても診断時点で予算が確定する。中には復旧作業が進むたびに追加費用が発生する業者もいるため、そういった不安にも応えている。
「金額の見通しが立てやすいため、稟議を必要とする企業の担当者の方からは好評です。また、見積額を超えて請求することはありません」(小林氏)
さらに、大手企業特有の事情を踏まえたサービスも用意している。たとえば、機密情報の管理や社内規定などを理由に機器を社外へ持ち出せない企業向けには、全国対応の出張診断を提供。基本的に出張費用は0円で 、条件が合えば最短2時間で現地に到着するという。
ランプは「正常」なのにサーバ停止…実例に学ぶ復旧の鉄則
ある企業(A社)では、停電後にサーバを再起動しようとしても立ち上がらなくなった。約200台のPCで共有するRAID 5のファイルサーバだったが、ステータスランプは正常を示す緑色のまま。外見上は異常が分からない状態だった。
ところが、デジタルデータリカバリーが診断したところ、4本のHDDのうち2本に物理障害が見つかった。そこで業務再開を優先し、必要な部署のフォルダと直近の更新データから復旧を進めた。
この事例が示すのは、機器の表示が正常だからといって、データが安全とは限らないということだ。A社では異常を感じた時点で専門家に相談したことが、さらなる状態の悪化を防ぐことにつながった。
では、企業はこうした事態に備え、平時から何をしておくべきなのか。小林氏は、日頃の小さな異常を見逃さないことと、初動対応の重要性を強調する。
「ご相談のほとんどは、機器の不調を認識しながらも『動いているから』と対応しなかったケースです。障害が発生したときには『データ復旧は一発勝負』だということを念頭に対応を進めてください。知識や技術力がなければ不用意に触らないこと、そして技術力があるデータ復旧業者に相談することが重要です。 」(小林氏)
そのためには、担当者個人の判断や経験に頼るのではなく、組織として対応手順を定めておく必要がある。井瀧氏は、日頃のバックアップに加え、障害が発生した際の対応を事前に決めておくことが重要だと指摘する。
「データを失わないためには、日頃からバックアップを取得しておくことが大前提です。その上で、障害が発生した際に機器の使用を中止すべきかどうかの判断基準や、相談先となるデータ復旧業者、復旧を依頼する際の手順などを事前に決めておくことが重要です。こうした備えが、万が一の際の被害拡大を防ぎ、業務への影響を最小限に抑えることにつながります。」(井瀧氏)
データの集約が進む今、ストレージ障害は単なるIT機器の故障にとどまらず、企業の業務全体に影響を及ぼすリスクとなっている。RAID機器による冗長化やバックアップだけでなく、障害発生時に安易な再起動や再構築を避け、適切な対応につなげられる体制を整えておくことが欠かせない。
万が一、RAID機器やストレージに異常が発生した場合は、無理に復旧を試みず、早い段階で専門家に相談することが重要だ。デジタルデータリカバリー では、データ復旧に関する相談を24時間365日受け付けており、初期診断・見積もりにも無料で対応している。大切なデータを失わないためにも、まずは同社に相談してみてはいかがだろうか。