もう1つ、VDIに「Cisco UCS」を選択するメリットとして挙げられるのが、「垂直統合で導入できること」だ。

現在のIAサーバは、コモデティ化が進んでいる。しかし、オープンシステムで様々なベンダーの製品を組み合わせて利用するには工夫が必要だ。特に仮想環境においては、サーバやネットワーク、ストレージをシームレスに統合する必要がある。個別機器が高性能であっても、ネットワークの運用がボトルネットになってしまっていれば、パフォーマンスは発揮ではきない。特に物理ネットワークの依存性が高い環境では、ケーブルだけが増加し、サーバ統合が進まないという新たな問題も発生している。

こうした課題にもCisco UCSは無縁だ。サーバもネットワークも論理的に統合し、システムすべてのコンポーネントを有機的に結合して運用できるように設計さている。

シスコでは、サーバ、ネットワークといった仮想化環境に必要なコンポーネントが揃っていますが、それらの整合性が図られており、相互運用が容易です。これは、単一ベンダーの強みでありメリットだと思います。（柴山氏）

シスコは2013年11月、「Application Centric Infrastructure（アプリケーション中心型のインフラ／以下、ACI）」を発表した。これは、物理環境と仮想環境にあるネットワーク上のITリソースを可視化し、アプリケーションからポリシーベースでそれらを統合管理できるようにする新しいアプローチである。

ACIという概念でデータセンターのリソースをすべて統合管理することで、管理コストと運用作業を削減できます。さらにAPI（Application Programming Interface）を公開し、サードパーティベンダの製品も連携して利用できるようにエコシステムが構築されています。残念ながら現在のデータセンターは、複数の仮想環境と物理環境が混在し、複雑化しています。そうした課題を解決するのがACIであり、そのACIを構成するコンポーネントの一つがCisco UCSだと思います（櫻井氏）

ACIはシスコだからこそ打ち出せた概念だと思います。ネットワーク技術からスタートした同社は、『ネットワーク構成やサーバの運用管理はシンプルであるべき』との理想があり、Cisco UCSは、その“解”の1つではないでしょうか。（柴山氏）

日本でCisco UCSの発売が開始されたのは2009年。それまでソフトバンク コマース＆サービスは、10年以上にわたりシスコの製品を取り扱ってきた。Cisco UCSだけでなく、同社のネットワークやスイッチなどに関する実践に基づいた知識とサポートには定評がある。実際、すでに先進的なお客様に対するCisco UCS導入支援を行っているという。

一般的に日本企業は、新製品／技術の導入に慎重だと言われている。しかし、成功した導入事例が登場すると、一気に普及する。

米国の導入実績から鑑みれば、今後、日本での導入も拡大していくと思います。（櫻井氏）

ユーザーはVDIを導入することで、いつでも、どこからでも、どんなデバイスからでもセキュリティを確保したうえで、自分がほしい情報にアクセスできるようになる。

お客様の要望は、現在のファットクライアントの操作性を損なわないで、かつ運用管理をシンプルにしたいということです。（柴山氏）

つまり、ユーザーには今までと同様に操作できる環境を提供し、管理者はVDI全体を一元的に管理できる環境が望まれているのだ。