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- 2023/07/11 掲載
パナソニック コネクトが目指す「サプライチェーン改革」、280億円投資の知られざる価値
Seizo Trend創刊記念インタビュー
前編はこちら(この記事は後編です)
製造業は「ハード」から「ソフト」を売るビジネスへ
製造業はこれまで、製品(ハードウェア)を売るビジネスが中心でした。いまは「売って終わり」ではなく、ビジネスのソフトウェア化、すなわち、ハードウェア製品や現場の状況をソフトウェアで連携させ、稼働状況のデータを収集し、障害の予兆検知等といったサービスと一緒に売るビジネスへと移行しています。パナソニック コネクトでは、ハードウェアベースの事業とソフトウェアベースの事業の2軸で企業価値を向上させることを戦略としていますが、私はそのソフトウェアベース事業を通して、パナソニックグループや他企業さまといったお客さまの多様な「現場」における最適化に取り組んでいます。
この事業では、パナソニックの現場の状況を、センサー技術や画像技術を用いて可視化し、そこで得られた知見をパッケージ化して、ソリューションとして外販していく考え方がベースにあります。
パナソニックのDX事例
たとえば、パナソニックの物流現場である大阪の彩都パーツセンター(大阪府茨木市)での取り組みがあります。さまざまな保守部品をグローバルで25カ国に供給し、常時在庫点数は7万5000点に上るパーツセンターでは、多品種、小ロット対応が求められるため、現場の生産性を維持するのが困難だという課題がありました。
当社だけでなくどの現場も同じ状況かと思いますが、これまでの製造業や物流業の現場最適化の取り組みは、現場の作業を録画し、ストップウォッチなどで作業時間を計測したりしていました。また作業を分析して問題点を抽出するにしても、録画した動画を何時間も視聴して確認しなければならず、それだけでも大きな負荷がかかっていました。
そこで、360度撮影と録画ができる全方位カメラなどの機器を使って現場作業をモニタリングし、得られたデータから現場の状況を可視化・標準化する取り組みを行いました。またそれらの情報をダッシュボード化し、画面で「誰が、どの作業に、どの程度時間を要したか」を参照できるようにし、課題を特定しやすくしました。
随時、作業時間などのデータは自動的に計測・記録されていますから、基準より時間のかかっている作業があれば何か問題があったとすぐにわかります。そして、その問題のある作業の映像を確認しながら問題を特定し、すぐに手が打てるようにします。
これにより、現場のボトルネックを発見する作業時間がこれまでの600分からわずか15分に短縮されることが実証できました。また、ピッキング工数は年率で25%向上、コスト適正化の効果は10.8%向上することが確認できました。この実績を得て、パナソニックのグローバル300以上の全工場に展開しようとしているところです。 【次ページ】イオンリテールのDX事例
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