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  • 2023/08/10 掲載

Cofinity-Xとは? BMW・メルセデス・VWら欧州企業10社が設立した「新組織の目的」

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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これまで欧州では、企業・業界間の垣根を超えてデータを共有し、新たな付加価値の創出を目指す取り組みが推し進められてきました。たとえば、欧州統合データ基盤プロジェクト「GAIA-X」や、GAIA-X上のユースケースであり、自動車サプライチェーンに関わる企業間でデータ交換・共有が行えるプラットフォーム創出を目指す「Catena-X」などがあります。今回は、Catena-Xのユースケースの運用・採用を促進する目的で、欧州の自動車業界が立ち上げた「Cofinity-X」について解説します。
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Cofinity-Xとは何か?
(Photo/Shutterstock.com)

データ共有基盤構築に動く欧州、その理由とは?

 2020年6月に正式発足された欧州統合データ基盤プロジェクト「GAIA-X」は、その目的を、欧州域内外の企業のさまざまなクラウドサービスを単一のシステム上で統合し、業界をまたがるデータ交換を容易に行える標準的な認証の仕組みを通じて、インターオペラビリティ(相互運用性)を実現することにある、としています。

 この点から見ればGAIA-Xは、既存のクラウドベンダーを置き換えるものではなく、その補完的な役割を担うものと考えられます。

 この背景には、世界のデジタルデータの多くが、米国のGAFAM(グーグル〈アルファベット〉、フェイスブック〈メタ〉、アップル、アマゾン、マイクロソフト)や中国のBAT(百度〈バイドゥ〉、阿里巴巴集団〈アリババ〉、騰訊〈テンセント〉)などが提供する巨大プラットフォーム上に集積されてしまったという反省があると思われます。

 一方、欧州は結果として優劣がついてしまったクラウド基盤提供で戦いを挑むという消耗戦を避け、モノに関するデータの流通とデータガバナンスで社会全体にデータ社会の恩恵を配分する政策をとったようにも見えます。

Cofinity-Xとは

 世界最大級の製造業の国際展示会「ハノーバーメッセ2023」では、BASF、BMWグループ、ヘンケル、メルセデス・ベンツ、SAP、シェフラー、シーメンス、T-Systems、VW(フォルクスワーゲン)、ZFの10社が、自動車業界全体でCatena-Xのユースケースの運用・採用を促進する目的で、Cofinity-Xというジョイントベンチャーを共同設立したことを発表しました。

 Cofinity-X設立の目的は、アプリケーション用のオープンマーケットプレイスの運営、エコシステム内の参加者間の効率的かつ安全なデータ交換を可能にする製品とサービスの提供を行うことにあります。

 Cofinity-Xは、まず欧州市場を中心に事業を展開するとしています。Cofinity-Xは、バリューチェーン全体のトレーサビリティを実現するエンド・ツー・エンド・データチェーンのオペレーションと構築に大きく貢献すると期待されています。

 オペレーションの基礎になっているのは、信頼できるCatena-XGAIA-Xの原則です。オープン性、信頼性、協調性、かつ安全性の高い環境で、データ共有者は完全なデータ主権を確保できるとしています。

 Cofinity-Xの役割の中心は、アップルのiPhoneのAppStoreのようなアプリケーションのマーケットプレイスを運営することにあります。

 アプリケーションのマーケットプレイスを運営する企業が設立されたということは、データ基盤の取り組みが協調領域であるOSS(オープンソース)の共通基盤開発から、上位の競争領域であるアプリケーションレイヤーに移行しつつあることを意味しています。

 Cofinity-Xは、Catena-Xのユースケースや運用のための企業の1つとして発表されており、理論的にはほかにも競合となる企業が出ても良いということになります。

 ただし、運営においてはCatena-Xからライセンスを受け、ルールを守る必要があります。それができる企業の1つ目としてCofinity-Xが立ち上がったということではないでしょうか。Catena-Xとしては、さらに参画する事業会社が増えることを期待していると思われます。日本企業の参加も期待したいと思います。

Cofinity-XとCatena-Xの役割分担

 事業主体のCofinity-Xは、複数の利用者のお互いの信頼関係(トラスト)を担保したり、マーケットプレイスを作ったりしながら展開します。

 一方で、Catena-Xは、守るべき基本ルールを決めます。ルールを決めた事業体であるCatena-Xにクラウドサービスの立ち上げ、運用などまでを行う責任を持たせず、Cofinity-Xという企業に任せ、Catena-Xはルールメイクに専念するという役割分担をとっています。

 このように機能会社を切り離したことで、Cofinity-X以外にも、運用ルールに則って事業を担うことができる企業が出てくればライセンスを与えて、市場がどんどん動くような仕組みにしています。

 また、アプリケーション開発を行う企業も、Catena-X会員に限定されてはいません。ただし、Catena-Xのルールを守ってもらうための認定は必要となります。これは前述のアップルのiPhoneとAppStoreの関係に似ています。

 アプリケーションの代表的なものの1つとして、カーボンフットプリント・トラッキング・ソリューションが挙げられています。これは、バリューチェーンに沿ったカーボンフットプリントを簡易で正確に計算し、報告することを可能にするものです。これにより、顧客企業は、カーボンフットプリントの透明性を実現し、サステナブルな改善に向けたポイントが把握できるようになるとされ、さらに、ネットゼロに向けた世界的取り組みにおいて積極的な役割を果たすことができるようになるとしています。 【次ページ】Cofinity-Xの主要な製品・サービス

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