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  • 2022/09/16 掲載

DATA-EXとは? NTTデータ・NEC・富士通も参加する「日本版GAIA-X」を解説

連載:デジタル産業構造論

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ここ数年、世界全体で企業・業界間の垣根を超えてデータを共有し、新たな価値の創出を目指す取り組みが加速している。たとえば、欧州においてはIDSA、GAIA-X、Catena-Xといった枠組みが主導する形でデータ共有基盤の構築に向けた取り組みが広がる一方、米国ではマイクロソフトやフォードなど、企業単位で欧州の取り組みに参画する企業が出てきている。また、2022年に中国とIDSAの連携が発表されており、今後中国とIDSAの間でのユースケース開発が加速することが予想されている。こうした各国の動向が進む中で、日本でもデータ共有を推進する動きが出てきている。今回は、日本の取り組みを主導する「データ社会推進機構」の活動「DATA-EX」を紹介しつつ、日本が目指すべき方向性について解説する。

執筆:JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ 小宮昌人

執筆:JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ 小宮昌人

JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ プリンシパル/イノベーションストラテジスト、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員。

日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所を経て現職。22年8月より官民ファンド産業革新投資機構(JIC)グループのベンチャーキャピタルであるJICベンチャー・グロース・インベストメンツ(VGI)のプリンシパル/イノベーションストラテジストとして大企業を含む産業全体に対するイノベーション支援、スタートアップ企業の成長・バリューアップ支援、産官学・都市・海外とのエコシステム形成、イノベーションのためのルール形成などに取り組む。また、22年7月より慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員としてメタバース・デジタルツイン・空飛ぶクルマなどの社会実装に向けて都市や企業と連携したプロジェクトベースでの研究や、ラインビルダー・ロボットSIerなどの産業エコシステムの研究を行っている。

専門はデジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。

近著に『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)があり、2022年10月にはメタバース×デジタルツインの産業・都市へのインパクトに関する『メタ産業革命(仮)』(日経BP)を出版予定。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。

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図表1:データ共有経済圏に関するグローバルの動きと日本の立ち位置
(出典:筆者作成)




データ共有の取り組みの“本質”

 欧州では、産学官が連携し、企業や業界の垣根を超えたデータ共有の仕組み作りに向け、取り組みが加速している。これら動きを先導する代表的な組織・枠組みが下記の3つだ。

■IDSA(International Data Space)
データの主権を担保したデータ共有のルール策定を目的とした組織

■GAIA-X
中央サーバーを介さない分散型のデータ共有(Federation Service)の実現を目的に発足した組織

■Catena-X
自動車業界におけるデータ共有のエコシステム構築を目指すプロジェクト

 これらデータ共有基盤構築に向けた取り組みで表に見えるのは、標準策定などの協調領域の活動であるが、本質はその裏側にある。これらデータ共有が必須となる社会・事業環境を規制や標準を通じて創出するとともに、その裏でそれを前提としたソリューションを競争領域として着々と開発・準備を進めているのだ。

 そのため、上記などの標準化の取り組みを様子見や情報収集のスタンスで相対している間に、裏の競争領域のソリューション開発では「すでに勝負あった」の状態になることは避けなければならない。

 日本企業としてこれらの取り組みに積極的に参画している企業は一部に限られるが、自らルールを作っていき、自社のビジネスモデルやソリューションを創出するスタンスで臨む必要がある。

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図表2:Catena-Xにおけるアーキテクチャ
(出典:Catena-Xより筆者作成)

日本のデータ共有を推進する「データ社会推進協議会」

 日本におけるデータ共有を推進する機構として、2021年4月に設立された「データ社会推進協議会(DSA:Data Society Alliance)」がある。同機構は、企業・産業を超えたデータ連携の在り方の定義、標準・ルール策定を実施しており、170を超える企業・組織が参加している。参加企業を見ると、NTTデータ、NEC、富士通、電通国際情報サービス、日本オラクル、日本アイ・ビー・エム、日本マイクロソフト、グーグル、アマゾン ウェブ サービス ジャパンなど、大手企業がいくつも参加していることが分かる。

 CPS時代では仮想空間と現実空間をデータが行き来するようになる。DSAとしてはデータの流通・共有が業界を超えて産学官で行われることで、新たなイノベーションを創出することを目指している。

 従来までは幅広いデータを活用して意思決定に生かすことは多くのデータを有する大企業に限られていたが、中小企業も含めて幅広い主体が共有し活用できる仕組み作りが重要であると捉えている。

データ社会推進協議会の「DATA-EX」とは

 「DATA-EX」とは、分野を超えたデータ連携を実現するために、DSAが行う取り組みの総称だ。具体的活動としては下記の3つとなる。

  • 分野を超えたデータ連携に関わる基盤構築(標準化、基準策定など)
  • 分野を超えたデータ利活用サービスの創出(各種実証、ベストプラクティス共有など)
  • 分野を超えたデータ連携に関わる社会実装支援(開発支援ツール提供、人材育成など)

 先行する欧州では産業を超えた連携だけでなく、スマートシティをはじめ都市・社会など範囲が幅広くなったことにより、データ連携の主体の多様化が進んでいる。こうした中、日本においてはデータの競争領域・協調領域の振り分けが進んでおらず、自社や限られた企業間で囲い込む傾向にあった。また、コロナ禍でも政府・自治体や関係組織間でのデータ連携の課題が浮き彫りとなったのが現状だ。

 これら課題をクリアすべく、DSAでは取引相手の信用度や与信、データ記録、データ取引市場の形成などによりデータ共有の経済的インセンティブを生み出し、それによってCPS時代におけるデータ流通を促進する考えだ。

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図表3:DATA-EXで目指す異業種データ連携コンセプト
(出典:DSA)

 また、DSAはIDSAやGAIA-Xなどと国際標準化に向けた提携を行っている。IDSAやGAIA-Xとの連携においては、日本版のハブの設立も発表されている。今後、日本国内とともに、グローバルでのデータ共有の仕組み作り・標準策定に取り組む方針だ。

 ここからは、データ共有がなかなか進まない日本の課題を整理し、課題解決のヒントを解説していく。

【次ページ】遅れる日本…何から対応すべきか?

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日本に求められるアプローチとは?次のページで詳しく解説します

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