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- 2023/10/17 掲載
伝説の元F1ドライバー中嶋悟氏に聞く「自動車の未来」、EVや自動運転をどう見るべきか
Seizo Trendキーパーソンインタビュー
前編はこちら(この記事は後編です)
動力はエンジンでもモーターでも何でもいい
近年、EVが急速に普及する中、ガソリン車を軸にしたモータースポーツに関わってきた僕に対して、EVをどのように感じるかといった質問をいただくことがあります。個人的には、EVが嫌だとかいったネガティブな印象は一切持っていません。動力源がなんであれ、気にしていません。エンジンだろうと、モーターだろうと、ガスタービンだろうと、ジェットエンジンだろうと、何でもいいんですよ。
ただ、自分の用途に対して、どの車が最適なのかといった見方はしています。たとえば、僕は自宅のある愛知県岡崎市と東京をしょっちゅう行き来するわけです。また、全国各地にあるレース会場、たとえば、ここ(栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎ)や岡山国際サーキットくらいまでなら、自分で車を運転して移動します。
この場合、EVだと、残念ですが、途中で充電しなくてはいけません。そのため、今の段階では、ハイブリッド車のほうが、僕の生活に合っていると考えています。
しかし、航続距離を除き、動作の質に関しては、EVが悪いわけではありません。モーターはトルクが大きいし、加速もいい。街中で使う配達のクルマであれば問題ないだろうなと思います。仕事のない夜のうちに充電して、朝になったら出かけるという人にEVは向いているのではないでしょうか。
だからまあ、必要に迫られて変わってゆけばいいと思います(笑)。
やっぱり愛車は自分だけのものであってほしい
近年、クルマをシェアして使う人が増えているようですね。高速道路でも、「わ」ナンバー車が多いと最近は感じることが増えました。あれってシェアカーも含まれるんですね。個人的に、街中にあるシェアカーを利用したことはありませんが、飛行機で行った旅先での移動は、レンタカーを使っています。日本国内だけでなく、海外でもレンタカーはずいぶんと利用しています。
本音を言えば、昨日まで誰が乗ったのかわからないという部分は、ちょっと嫌ですね。商用車のレンタカーでも同じ。できれば、自分は自分のクルマに乗りたいし、自分のクルマをあまりほかの人に運転させたくもありません。
実際に僕のレーシングチームのメンバーで、僕のクルマを代わりに運転する人はいません。唯一あるとすれば、出先で僕がお酒を飲んだときだけ。そのときは、若いドライバーにご飯だけ食べさせて、その後は運転して送ってもらっています。彼らは運転もうまいしね(笑)。それ以外は、自分のクルマは貸しませんし、ほかの人のクルマに乗ろうとも思いません。
なんとなく嫌というか、やっぱり愛車は自分だけのものであってほしい気がするんですよ。
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