山口 伸
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
パナソニックホールディングスは5月、グループ各社の営業や管理部門を対象に国内外で1万人の削減を発表していたが、先日、傘下の「パナソニック」による早期退職の募集内容が明らかとなった。勤続5年以上の40~59歳と64歳以下の再雇用者を対象に希望退職を募集するという。退職金の上乗せ分は55歳前後が最も多くなるように設定し、最大で数千万円が加算されるようだ。グループ全体ではすでに2000年以降、幾度か人員削減を実施しており、事業売却も含めればすでに10万人以上を削減してきた。しかし、ソニーのように業績は著しく好転せず、売上・利益ともに横ばいの状況が続いているが、この状況を引き起こしている要因は何なのだろうか。
コンビニの物販は食品・飲料が主で、全体の7割弱を占める。次に売れるのがタバコで、25~30%を占める。文房具や洗剤などの「非食品」は売上の1割にも満たず、また、粗利も食品より小さいため、あまり重要な商材ではなかった。だが近年になって、各社は非食品で特徴的な商品を導入し、差別化を図ろうとしている。セブンはダイソー商品を販売。ファミリーマートはコンビニエンスウェアを充実させ、ローソンはかつてファミリーマートがタッグを組んでいた無印良品を取り扱う。背景にあるのが1カ所で買い物を済ませられる「ワンストップショッピング」の需要増加で、コロナ禍の自粛の影響で、その利便性が認識されるようになった。各社の取り組みはどれほど効果があるのか、各社の非食品戦略の中身を探っていく。