• 2026/01/28 掲載

人手不足なのに…奈良の運送会社に「応募殺到」のワケ、秘密は「自由すぎる」YouTuber(2/3)

連載:「日本の物流現場から」

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【しみじゅん氏】バレて「社外から嫌がらせ」もあったが…

 同社 車両部 車両販売課 課長である清水 順一郎氏は、「shimijun-trucks」(しみじゅん)のアカウントで活躍する同社最初のYouTuberである。チャンネル登録者数は約12万1,000人、同社のトラックを始め、さまざまなトラックを紹介する動画を中心に活動している。

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フジトランスポート 車両部 車両販売課 課長 清水 順一郎氏(しみじゅん氏)
(撮影:山本マオ)

 もともと、清水氏は同社 厚木支店のトラックドライバーだった。YouTuberを始めたのは8年前のことである。子どもの教育費などに負担を感じていた清水氏は、次男から勧められ、副業としてYouTubeへの投稿を始めたのだ。

 当初は生活の一部を取り上げた動画を投稿していた。たとえば自宅に設置したタンクレストイレを紹介する動画が、5,000回以上再生されたという。そのうち清水氏は、トラックのキャビン(運転席)を紹介したり、あるいは運転中の様子などを投稿する動画を投稿し始めた。トラックのデフロック(左右車輪を直結状態にする装置。悪路走行時などに使用する)を紹介する動画は、10万再生を超えたという。


 だが、YouTuberをしていることが会社にバレて、清水氏は窮地に立たされる。トラックそのものや、客先の様子を動画投稿したことはなかったが、サイドミラーに映る車体の色や、被っているヘルメットから、富士運輸(旧社名)のドライバーであることがバレたのだ。

 社外の人から嫌がらせも受けるようになってきた。社内からは、YouTuberを辞めるように言われた。

 そんな清水氏を救ったのが、同社 代表取締役社長 松岡弘晃氏だった。周囲の反対を押し切って、松岡氏は「コソコソしないで、ウチの公認YouTuberとして活動すれば?」と声を掛けたのだ。

 実は、同社に採用応募したドライバーの中に、「しみじゅんさんの動画を見て応募しました」という人がいたこともYouTuberとしての公認を後押ししてくれた。

 やがて、トラックメーカーから新モデルがリリースされ、その1号車が同社に納車されるタイミングなどで、清水氏には「撮影においでよ」と声がかかるようになってきた。同社のトラックは、業務効率を高めるさまざまな工夫を施しており、業界でも注目されているというニーズもあった。

 新車は奈良市にある本社整備工場に納車される。だったら、厚木から奈良に赴任し、同社におけるトラックの中古販売事業に異動しないかと声をかけられたのだ。

 「常に新しいことにチャレンジしたいタイプなので、声をかけてもらってうれしかったです」と清水氏は当時を振り返る。

 もちろん、YouTuberとしての収益に対し、同社が口を挟むことはないそうだ。

【本舗なっか氏】「辞めろ!」と迫られ退職…今や「社長」に

 YouTuber「本舗なっか」として活動するのは、フジトランスポートのグループ企業である本舗レンタリース 代表取締役社長の中井 大介氏である。

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本舗レンタリース 代表取締役社長 中井 大介氏(本舗なっか氏)
(撮影:筆者)

 中井氏は18歳の頃から長距離を中心としたトラックドライバーとして働いていた。YouTubeに投稿し始めたのは、別の運送会社に勤務していた約9年前のことである。

 当時、在籍していた運送会社社長には、YouTubeを行っていることをきちんと報告していた。YouTuberとしての活動を応援してくれていたわけではなかったが、社長は中井氏の活動を黙認していたという。

 しかし雲行きが怪しくなってきた。YouTuberとしての知名度が上がるにつれて、社長は事あるたびに「YouTuberを辞めろ!」と言い始めたという。中井氏は当時をこう振り返る。

「当時の僕は、『貧乏トラックドライバー』としてYouTuberをやっていました。すると、ファンの方々からプレゼントが届くんですよ。その受取先を職場にしていたのも、よくありませんでした」

 結局、中井氏は退職し、しばらくはアルバイト生活を送っていたという。そんな時に声を掛けてくれたのが、フジトランスポートの松岡社長だった。


 松岡氏とは、あるイベントで知り合っていた。するとある日、松岡氏から「ラーメンを食べに行こう」と電話が掛かってきたそうだ。ラーメンを食べながら、松岡氏は「新しい会社を立ち上げるからおいでよ。YouTuberも続けなさいよ」と中井氏を誘ったそうだ。

 YouTuberであることが原因で仕事を辞めざるを得なかった中井氏が、YouTubeをきっかけに知り合った松岡社長から誘われ、今や社長である。人生とは実に不思議なものだ。

 ただし、これは中井氏がYouTuberだから特別扱いされたのではなく、あくまで中井氏の仕事能力が評価された結果であることには釘を差しておきたい。

「今は(ドライバーを辞めて)内勤ですから、戸惑うことばかりです。でも、苦労はしていますが充実していますよ。YouTuberとしての活動も、『どんどんやってよ』と言われています」(中井氏) 【次ページ】社員インフルエンサーがもたらした「スゴイ効果」
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