- 2026/01/29 掲載
310万円の家庭用ロボ「NEO」の知られざる正体、購入者の「プライベート丸裸」の衝撃(2/3)
軽くて力持ちで何でもできる「驚きの性能」
NEOと、先行したASIMOやペッパーくんとの決定的な違いは、「AIによる自律性」にある。あくまでも演出だと思われるが、プロモーション動画では、(1)おじいさんがどこに置いたか忘れてしまったメガネが、実は本人のシャツの首部分にかかっていることを、本人からの捜索指示がないのに指摘する、(2)およそ4時間の駆動が可能な自身のバッテリー容量が低下すると、自分から充電器に向かい、わき腹部分にあるレセプターにつないで高速充電を開始する、(3)命令されることなく、庭から家に戻って来た家族の姿を察知して、彼女のためにガラスのドアを開ける、などAIの「役に立つ」自律性を示す場面が紹介されている。
プラスチックや金属でできており、無機質な雰囲気を醸し出すASIMOやペッパーくんとは違い、NEOはポリマー合成繊維でできた「皮膚」と「衣服」をまとっている。これが、とても柔らかで親しみやすい印象を与える。また人間と接触しても安全なような素材で覆われており、この「衣服」には島精機製作所が1995年に世界で初めて開発した無縫製の立体編みニット技術を利用している。
身長は168センチあるが、体重はわずか30キロ。しかし、最大で68キロの物体を持ち上げ、25キロまでの荷物を運搬できる。
軽量化とパワーを両立できたヒミツは、超軽量かつ瞬発力に優れた高トルクの静音モーターを内蔵し、ボディにも軽量な材料を用いているからだ。これに生成AIが組み合わさり、物理的実体であるNEOを通して、デジタル上にとどまらず、現実世界で複雑なタスクを完了する「フィジカルAI」を実現したわけだ。
NEOは360°どの角度からも音声を拾うことができる4個のマイクを内蔵し、没入感のある音声再生を可能にする3個のスピーカーで「話す」ことができる。実際に、「冷蔵庫から水を持ってきて」「セーターをたたんで」「このカップを皿洗い機に入れておいて」「花壇の植物に水をあげて」などの音声コマンドに応え、仕事をこなす。
こなせるタスクの種類や質も驚きだ。2014年に発表されたペッパーくんにおいては、スマホやPCのようにゲーム、学習、音楽などのアプリをインストールして、「能力」を獲得させる形式が採用されていたが、こなせるタスクは極めて限定的であった。
これに対しNEOは、(1)スマホアプリでタスクを事前予約する、(2)直接話しかけて命令する、(3)勤務先や外出先から遠隔操作でタスクを命令・監視する、などインターフェイスと操作方法、こなせるタスクの種類・質が飛躍的に豊富になっている。
動作も人間的で、正面で向き合っているオーナーの視線に合わせて首を動かし、彼女がさっとNEOの横に移動すると、その動きを追って顔面が再び向き合う。AIで動作中のNEOは耳の部分のLEDが白色に光る。
人間が遠隔指導…?「嘘のような本当の機能」
NEOを制御するAIは万能ではなく、「進化」するものだと説明されている。そのため、オーナーの指示を理解できなかったり、やるべき動作を行えない場面も多い。NEOが扱う物体や機械はそれこそ千差万別で、同じものでもクセや特徴があり、扱い方に「コツ」が必要になることが多い。ユーザーの好みやこだわりも理解しなければならない。
たとえば、「大事な食器のここは壊れやすいのでつかんではいけない」「この紙袋の取っ手は今にも外れそうだから持ち上げてはいけない」「ジャムを触ってベトベトになった手で服をたたんではいけない」などといったシチュエーションは、人間であれば直観と経験ですぐにわかるが、AIは1つひとつ学習しなければならないのだ。
そのような場合にユーザーは、「指導付きモード(supervised mode)」を呼び出すことができる。このモードでは、キネティクスに習熟した1X Technologiesの人間の専門家「パイロット」が、オーナーの許可を得た上でNEOの操作を遠隔で引き受ける。この場合、NEOの耳部分はブルーに光る。
オーナーは、人間のパイロットと話してNEOにさせたいタスクを説明することができる。パイロットは全身をくねくねと動かし、新たに学習するタスクの「動作指導」を行い、その手本をNEOが遠隔でまねて「学習」する仕組みになっている。
ゴーグル型の3Dウェアラブルグラスを装着して、両手に持ったコントローラーを操作するパイロットには、NEOの目の部分に埋め込まれたカメラを通してオーナーが見えるが、プライバシー保護のため顔にはぼかしがかかるようになっている。
このような人間が介入する学習は、AIロボットの「成長」には欠かせないプロセスであろう。だがこれはアマゾンの無人店舗「Amazon Go」で、店内に無数に設置されたAIカメラを通して、インドから米国の店舗を遠隔監視していた事例を想起させる。
もともとは顧客の選んだ商品をカメラで認識することで清算を完了させるはずだったが、AI技術だけではすべての商品を認識できないケースがあった。そのため、一部では人間がカメラ映像を確認してレジ業務をサポートする「人海戦術」に頼っていたとの報道もある。 【次ページ】完全な自律性は「将来的に」…
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