• 2026/02/02 掲載

なぜANAとJALは“同じ道”をやめたのか? 主力機選定で起きた「決定的分岐点」の正体(2/2)

連載:北島幸司の航空業界トレンド

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ANAとJAL、判断が分かれた裏にある「経営の本音」

 ANAは、これまで築き上げた777の系譜を継承し、最新鋭機であるボーイング777Xの導入を決定した。

 一方のJALは、長年のボーイング機中心のフリート構成から大きく舵を切り、ライバルであるエアバスのA350シリーズを選択したのである。国内線では2019年からA350-900型、そして国際線にはA350-1000型が2024年から次々と導入され、新たなフラッグシップとしての地位を確立している。

ANAとJAL:主力ワイドボディ機の変遷
ANA L-1011→747→767→ 777 → 787 → 777X(予定)
JAL 747→DC-10→767 → 777 → 787 → A350
(注:767以降は現在も就航中)

 なぜ、これまで同じ道を歩んできた両社の判断が分かれたのか。そこには、単なる機体性能の比較だけではない、両社の緻密な経営戦略が隠されている。

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ANAのボーイング777-200型機
(写真:筆者撮影)
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JALのボーイング777-300ER型機
(写真:筆者撮影)
 ANAが777Xを選択した最大の理由は、運航の継続性と効率化にある。長年777を運用してきたANAにとって、パイロットの訓練体系や整備のノウハウを生かせるメリットは大きい。

 対するJALがA350を選択した背景には、リスク管理とブランドイメージの刷新がある。

 JALは経営破綻後の再建過程において、特定のメーカーに依存しすぎることの危機管理を考慮し、機材構成の多様化を図った。

 エアバス機という新たな選択肢を取り入れることで、メーカーとの交渉力を高めるとともに、最新の炭素繊維複合材を多用したA350の優れた環境性能と静粛性を、新生JALの象徴として打ち出したのである。

この「選択の違い」は日本の空をどう変える?

 今回ANAが祝った30周年という歴史は、決して過去の遺産ではない。それは、これから導入される777Xへとつながる強固な土台である。30年間積み上げられた安全運航のデータと、整備現場の熟練した技術は、最新鋭機を日本の空に最適化させるための貴重な資産となる。

 ANAが777の系譜を究める道を選んだ一方で、JALはA350で新たな時代を切りひらき始めた。日本の空を代表する2社が異なる翼を選んだことは、日本の航空業界に健全な競争と多様性をもたらすだろう。

 ボーイング777が日本の空で果たした役割は、777Xという新たな姿に形を変え、これからも安全と信頼を乗せて飛び続けていくに違いない。

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