- 2026/06/01 掲載
昼は社長、夜はスナックのママ!? 国も大注目、33歳の町工場3代目「型破り経営術」(2/2)
時には「スナックのママ」にも…情熱ある仲間と積極交流
町工場プロダクツ、家業イノベーション・ラボなど、世の中にはが交流できる場や、各種コミュニティが数多くある。田城氏はこのような場に積極的に出向き、自分と同じような情熱を持つ経営者と接することを心がけている。
「アイデアの方向性や発想の仕方など、学ぶことが多いからです。実際、タシロが最初に自社商品を発表するための展示会に出ることができたのもの、ファミリービジネスコミュニティで出会った方からのヒントによるものでした」
中でも特に地元、神奈川県のコミュニティを活発化させたいと考えており、昨今は自分が出会うというよりも、同じく情熱を持つ仲間同士が知り合うような、ハブのような役割も担うようになっている。
ロボット開発に興味を持つ企業や、関連する大企業、部品業者、大学などが集まる神奈川県さがみロボット産業特区「ロボリンク」のアンバサダーはいい例だ。同施設は2024年に藤沢に設立されたもので、共同研究はもちろんイベントなども開催するなどして、関係者や興味を持つ人材の交流を推進している。
もう1つ、こちらも藤沢だが、これから起業や何か新しいことに挑戦したい、あるいは挑戦したけれど壁に当たっている、そのような人にアドバイスをしたり、メンターとなるような先輩経営者などがママとして店に立つ、「イノベーションスナックみらぼ」の取り組みだ。田城氏の役割はもちろん、ママ。月に1度店に立ち、以前の自分のような経営者にアドバイスをしたり、新たなネットワークの構築に寄与している。
一方で、先述したコミュニティを含め、単に集まって雑談をするような場は行かないし、そういう場になった際には距離を置くという。田城氏が目指しているのは先2つの実現だからだ。
目指すは「売上100億円」、田城氏のパワーの源は?
とはいえ田城氏自身も述べたとおり、以前から続くビジネスの手法を含め資本を粛々と続けている中小企業が大半である。なぜ、田城氏はこのようなバイタリティがあるのか。先にも少し触れたが、先代、先々代の存在が大きい。タシロの起源はトラック運転手をしていた祖父、俊雄氏が起源である。運転手だけでは物足りなかったのだろう。自動車全般の整備工場、販売事業を立ち上げる。それが1966年、タシロの創業である。さらには、自動車部品の製造にまで事業を転換する。
現会長、2代目に代替わりするとさまざまな工作機械を導入し、まさに今のタシロの強みにもつながる、複合加工をスピーディーに担える体制を整える。
中でも特筆すべきは、厚さ32ミリもの金属板をスピーディーかつきれいに自動で切断できる、数億円するレーザー加工機を導入したことだ。跡継ぎである田城氏がすでに家業に入っていたこと、複数の金融機関から融資を受ける、という条件で融資が通ったというから、まさしく挑戦である。
そして、現在の田城氏の挑戦は紹介した通りだ。ただ田城氏はほかにもチャレンジしている。たとえば、新規顧客先の開拓だ。
「最近ではAIも営業活動に活用したりしていますが、とにかく数を当たることが大事だと考えています」
田城氏が先頭を切って、言うなれば泥臭い営業を続けている。その結果、2025年度の新規顧客獲得数は目標数を大幅に上回る。以前は数件だったのが25件にまで引き上げているという。
「技術力はもちろんですが、さまざまなブランディングも含めて、タシロという会社だから取引したい、タシロと取引していることを誇りに思う、このような言葉をいただく機会が増え、うれしく、さらなる元気の素となっています。今後はさらに存在感を示すために、新社屋の建築も含めた事業の拡大を目指し、経営者人生の中で100億円の売上を達成したいと考えています」
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