- 2026/05/28 掲載
売上5億円で急停止…誰も教えてくれない「拡大の谷」のコワすぎる構造と乗り越え方
大阪府立大学在学中、人材系スタートアップの立ち上げに参画した後、同校を卒業し、リブ・コンサルティングに入社。入社後は主にベンチャー企業向けのコンサルティングに従事、同社最年少でマネージャー、パートナーに昇進し、ベンチャー事業部を率いる事業責任者として事業を牽引。ベンチャー事業部では、累計100社以上、プロジェクト数では500プロジェクト以上のスタートアップ・ベンチャー企業の成長を支援。2024年、SaaS経営シミュレーションゲーム「T2D3」の開発。リリース1.5年で350社以上の企業に提供。
関西学院大学を卒業後、リブ・コンサルティングに入社。入社後は、大手企業の中期経営計画策定やビジネスデューデリジェンスなどに携わった後に、ユニコーン企業・ベンチャー/スタートアップ企業の事業開発・事業グロースの支援に従事。ベンチャーコンサルティング事業部のパートナーを務め、コンサルティング業務に加えて、自社の事業づくり・組織づくり・人材育成にも携わる。
前編はこちら(この記事は中編です)
売上5億円前後から成長鈍化…BtoB企業に訪れる「拡大の谷」
売上が数億円を超えると、経営者や投資家の間には「事業が形になってきた」という安堵感が広がります。社内でも導入事例が積み上がり、社員数も増え、会社としての存在感が増すでしょう。社内外の雰囲気は前向きです。ところが、この段階で多くの企業が「売上が思ったよりも伸びない」という停滞に直面し始めます。期待していた右肩上がりの曲線が徐々に寝ていき、売上の積み上がり方に陰りが見え出すのです。これが「拡大の谷」。急失速ではありませんが、当初の手応えからすると速度が鈍ります。その差分が経営陣に不安を呼び、次の手を模索させるフェーズになります。
このタイミングで事業の停滞が起きる理由は大きく3つあります。1つ目は「日本市場の特性」、2つ目は「顧客群の変化」、3つ目は「属人性による壁」です。
日本ではなぜ「最初の顧客」だけでは伸び切れないのか
まずは、1つ目の「日本市場の特性」から見ていきましょう。日本はアーリーアダプター層が米国に比べて薄く、初期の市場が早く限界に達しやすい構造になっています。
イノベーター層からアーリーアダプター層へ移行する段階には“小さな壁”があり、ここを越えるためには再びプロダクトと顧客をフィットさせ直す必要があります。
最初のPMFだけで事業が伸び続けていくわけではなく、その後の成長を見据えた形でもう一度PMF(=2nd PMF)させる必要があります。
このタイミングを見誤ると「すでにPMFしている」と考えて、同じ方法で成長を目指すうち、知らぬ間に成長が鈍化してしまいます。さらにこの段階ではリード獲得の構造も変化します。初期はSNSや展示会、紹介、Web広告などで伸びましたが、売上5億円を超える頃からはその限界が見え始めるのです。広告単価は上昇し、顧客獲得効率は落ち、商談数維持には攻めの開拓(テレアポなど)やパートナー連携といった新しい取り組みを仕掛けていくこととなります。
ここで「受動アプローチから能動アプローチへ」の転換が求められるわけですが、これが意味することとしては、“興味があった人”が流入してきたこれまでのリードに対して、“興味があるかは不透明だが、話す機会を得た人”と話していくことになる、ということです。
これが、次から説明する「顧客群の変化」につながっていきます。
【次ページ】創業者やエース営業の“個人技”が、売上10億円の壁になる
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