ユニファイジャパンが提供するノーツ移行ソリューション 「Composer」は、従来のソリューションとはかなり異質だ。まず、ノーツのすべての機能を移行するわけではない。メールやスケジューラなどは、オープンなグループウェアやエンタープライズメールに移行することを前提としている。
Composerが移行するのは、独自のワークフローやビジネスロジックを持つ複雑な業務アプリケーションだ。その特長について、堀 氏は次のように説明する。
「Composerの特長は大きく3つあります。1つはコスト削減と移行期間の短縮を実現したことです。一般的なスクラッチ開発に比較するとコストは1/4~1/5、期間は1/3くらいですみます。その理由は、ツールを使って既存のノーツ資産を新しいWebアプリケーションに自動変換するからです。
2つ目は、ユーザーインターフェイスの再現性の高さです。ノーツアプリケーションの見た目と操作性をほとんどそのまま継承できますので、移行後の再教育が必要ありません。
3つ目は、コストを見積もるツールが用意されていることです。このツールを使うと、自動変換で対応できる部分とできない部分を事前に調査できます。当然、手作業による部分が最もコストがかかるわけですが、それを事前に確認できるので、精度の高い見積りをコストをかけずに短期間で出せるのです。」(堀 氏)。
実際に、ツールによる変換では90%を超える変換率を実現しているという。残りの数パーセントは人間による手作業が必要になるが、その部分についても、変換後のコード内に変換できなかった箇所が明示される仕組みになっている。
「コンバータを通すと、ノーツアプリケーションが.NET環境のアプリケーションに変換されます。具体的には、ビジネスロジック部分はC#で書かれたコードになり、ユーザーインターフェイスはASP.NETのコードに変換されます。そして、自動変換できなかった部分は、ソースコード中にコメントとして表示されます。我々はそれを『TODO』と呼んでいます。エンジニアはこのTODOの部分を分析し、新しいプラットフォーム上に手作業で実装することになります」(堀 氏)
ユーザーインターフェイスの再現性の高さについては、実際のサンプルを見てもらうのが早いだろう。100%同じではないが、日付指定のカレンダーや文字入力のテキストフィールドの操作性やデザイは、移行前よりもむしろ洗練される印象さえ受ける。
なお、Composerではマイクロソフトの.NETが採用されている。その理由について、堀 氏は次のように説明する。
「そもそもノーツ移行の目的は、情報活用基盤として耐えうるプラットフォームを構築することです。その意味で、.NETはWeb環境を構築するオープンでメジャーなプラットフォームです。
また、移行後はお客様サイドで必要に応じて維持・メンテナンスしていただくことになりますが、.NETであれば、高年齢化・高コスト化しているノーツのエンジニアに比べれば、人材の調達ははるかに容易です。このように、コスト、維持・メンテナンス性、将来の拡張性のすべてにおいて、.NETは有利であると思います」(堀 氏)。