グローバルでも中堅中小企業の悩みは同じ
中堅中小企業にとって、ITシステムの運用管理は頭の痛い問題だろう。多くの企業が、人的・コスト的な要因から専任の担当者を置けない中、効率化や機能の高度化、セキュリティ強化の要求は年々高まっている。そもそも社内事情だけでなく、対外的な取引条件としてITの運用管理体制を問われることも多い。
こうした問題は、実は日本だけの問題ではない。「海外の中堅中小企業も状況は日本と同じです。IT機器の運用管理は大きな課題としてとらえられており、効率的かつ効果的な管理方法を積極的に模索しています」と語るのは、日立製作所(以下、日立)の関芳治氏だ。
日本国内ではあまり知られていないが、日立では2009年4月から既に海外で中堅中小企業向けのIT運用管理ビジネスを展開している。今回、そのグローバル戦略に日本国内も組み入れ、新しい中堅中小企業向けブランドとして注力していくという。この狙いを関氏は次のように説明する。
「日立は、昨年から海外でIT運用管理製品を展開しており、すでに高い評価を得ています。一方、国内では2009年9月から『JP1/Desktop Navigation』という中堅中小企業向けの運用管理ツールを提供してきました。海外・国内と販売拠点の違いはあっても、『中堅・中小企業』のお客様が求めている価値は「使いやすさ」や「分かりやすさ」など共通です。そこで、両製品をブランド統合しグローバルにその共通的な価値を訴求していこうと考えたのです」
従来から国内で提供してきた「JP1/Desktop Navigation」は機能をさらに強化し、「Hitachi IT Operations Director」として提供される。また、主に海外で展開していたサーバの運用監視製品「Hitachi IT Operations Analyzer」が国内で初めて投入されることになる。海外で販売していたツールと聞くと、日本人には使いづらい印象を持つ方もいるかもしれないが、その点の心配は一切不要だ。
「海外で展開しているHitachi IT Operations Analyzerも日本国内で開発しており、国内の運用管理ビジネスで培ったノウハウを活かしつつ、海外現地法人からのフィードバックをもとに開発しているので、決して日本人に使いづらいということはありません」(関氏)